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八幡神の正体 林順治(著) - えにし書房
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八幡神の正体 (ハチマンシンノショウタイ) 新装改訂版 もしも応神天皇が百済人であるならば (モシモオウジンテンノウガクダラジンデアルナラバ)

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発行:えにし書房
A5判
228ページ
並製
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-908073-58-8   COPY
ISBN 13
9784908073588   COPY
ISBN 10h
4-908073-58-9   COPY
ISBN 10
4908073589   COPY
出版者記号
908073   COPY
Cコード
C0021  
0:一般 0:単行本 21:日本歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年8月30日
書店発売日
登録日
2018年7月13日
最終更新日
2024年2月15日
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紹介

八幡神こそ日本の始祖神だった!
全国約8万の神社のうち半数を占めるほどの信仰を集めながらなぜ『記紀』に出てこないのか?
アマテラスを始祖とする万世一系物語の影に隠された始祖神の実像に迫り、天皇家、藤原家から源氏三代、現在に至る八幡神信仰の深層にある日本古代国家の起源を明らかにする。
そして、とりわけ桓武天皇以後歴代天皇家、藤原家が執拗にエミシ征伐を繰り返し、徹底して差別したその過程と理由も丹念に追い、日本古代史の定説を覆す。
2012年の初版(彩流社刊)を新装しわかりやすく大幅改訂。

目次

序章 日本および日本人の神
 1 八幡神の出現
 2 鹿島送りと八幡神社
 3 エミシは異人種か
 4 欽明天皇=ワカタケル大王
第1章 藤原不比等の子とその孫たち
 1 「倭」から「日本」へ
 2 律令国家日本と八幡神
 3 雄勝城に至る道
 4 持節大使藤原麻呂からの報告
第2章 古代日本の守護神八幡神
 1 藤原4兄弟と天然痘
 2 金光明最勝王経と八幡神
 3 蘇我馬子は大王だった!
 4 聖武天皇と光明皇后
第3章 皇位継承の危機
 1 廬舎那仏と東大寺建立
 2 雄勝城と保呂羽山
 3 廃帝淳仁天皇
 4 『続日本紀』の藤原仲麻呂伝
第4章 法王道鏡と八幡神託
 1 万世一系天皇と王位継承
 2 法王道鏡の出現
 3 八幡神託事件の真相
 4 藤原氏陰謀説
第5章 百済系渡来王朝とエミシ
 1 対エミシ38年侵略戦争
 2 俘囚伊治公呰麻呂の反乱
 3 天智系天皇桓武のトラウマ
 4 巣伏村の激戦
 5 坂上田村麻呂とアテルイ
第6章 “吾は日本の神となった”
 1 大神清麻呂の解状
 2 加羅系日神と百済系日神
 3 変身する八幡神
 4 僧行教と石清水八幡宮
 5 清和源氏の祖応神天皇
第7章 河内源氏と百済系渡来集団
 1 源経基、平将門を訴える
 2 桓武天皇の5世孫平将門
 3 藤原摂関家の軍事貴族源満仲
 4 藤原道長の妻倫子と父源雅信
終章 もし応神天皇が百済人であるならば
 1 平忠常の乱と源頼信
 2 河内国守源頼信と荘園坂門牧
 3 壺井八幡宮と通法寺跡

前書きなど

はじめに


 世界が注目するベルリンの壁が崩壊する3カ月前の1989年(昭和60、1月7日昭和天皇死去)当時、私の歴史認識は菅江真澄の「雪の出羽路」や「月の出羽路」によく引用される『陸奥話記』の源頼義や後三年の役の八幡太郎義家レベルの郷土史でした。

 この年(1989)の7月私の手許に『日本古代王朝の成立と百済』(並製、A5判、横組、300頁)が送られてきました。著者の石渡信一郎氏はまったく知らない人ではなく、数ヵ月前に著者仲間の1人M氏の紹介で山の上ホテルで面談した人でした。
 本を手にして一瞬、「少年時代に過ごした深井(郷里雄物川町深井)のはずれの雄物川の河原に接して高く聳える八幡神社とその神について何か知ることができるかもしれない」と思った私は、急いで頁をめくっていきました。すると212頁の見出しに「4 昆支の神格化・八幡神」とあり、また前の頁を繰っていくと124頁に「第6章 百済王族余昆(昆支)=応神天皇」とあります。
 もし百済から渡来した王子が日本全国津々浦々の八幡神社の応神=八幡神であるならば、いったい日本の歴史をどう見たらよいのでしょうか。それまで私は八幡神社には八幡太郎義家が祀られているのであって、源氏3代(頼信・頼義・義家)が応神天皇を最初祀ったのであることは知る由もなかったからです。
 本と一緒に氏の挨拶状が同封されていました。その内容は次の通りです。

 私はこの度『日本古代王朝の成立と百済』を私家版でだすことになりました。本書の特徴は、①古墳時代に朝鮮半島から多数の渡来者があったとする人類学者の新しい学説と、②応神陵の年代を5世紀末から6世紀初めとする地理学者日下雅義氏の学説に基づいて日本古代史の謎の解明を試みたことです。こうした試みはいまだになされていません。人類学者の研究成果によれば日本古代国家を建設したのは、概念の不明確な騎馬民族ではなく、朝鮮から渡来した古墳人だと考えるのが自然です。また、応神陵は5世紀から6世紀の初めの倭国王の墓です。
 私は学者が不当に無視している、これら人類学者や地理学者の古墳時代に朝鮮半島からの多数の渡来人があったとする研究成果に依拠して古代史の解明に挑んできましたが、崇神王朝が加羅系統、応神王朝が百済系統であることを解明しました。また応神陵も5世紀から6世紀初めの墓と見ることができます。また継体天皇は応神の弟で、八幡鏡(隅田八幡鏡)の男弟王であり、仁徳陵の被葬者であることを突き止めることができました。つまり記紀にみえる応神と継体の間の10人の天皇、すなわち仁徳から武烈までの10人の天皇はみな架空の天皇であることがわかりました。本書は記紀が隠した、このような古代大王家の秘密を明らかにしたものです。

 以来、私は石渡信一郎氏の『応神陵の被葬者だれか』(1990年)など12冊の編集体験を私の知的想像力のエネルギーとし、今年4月、23冊目の『干支一運60年の天皇紀』(えにし書房)を出版しました。私の23冊のすべては石渡氏の命題「朝鮮半島からの新旧2つの渡来集団による日本古代国家の建設」を念頭におかないものは1冊もありません。

 本書『八幡神の正体』は、もし応神天皇が百済人であるならばアマテラスを祖とし神武を初代とする万世一系天皇の系譜と矛盾することを明らかにした『八幡神の正体』(彩流社、2012年)の新訂判です。それゆえに誤植・錯誤を直し、新たな知見を加え大幅に書き換えました。

 尚、石渡信一郎氏は『倭の五王の秘密』(信和書房)の新訂判を2016年に出版し、2017年1月9日享年90歳で亡くなられました。謹んで読者の皆様にお伝え申しあげます。

2018年7月末日
                                                 林順治

著者プロフィール

林順治  (ハヤシ ジュンジ)  (

旧姓福岡。1940年東京生れ。東京空襲の一年前の1944年、父母の郷里秋田県横手市雄物川町深井(旧平鹿郡福地村深井)に移住。県立横手高校から早稲田大学露文科に進学するも中退。1972年三一書房に入社。取締役編集部長を経て2006年3月退社。
著書に『馬子の墓』『義経紀行』『漱石の時代』『ヒロシマ』『アマテラス誕生』『武蔵坊弁慶』『隅田八幡鏡』『天皇象徴の日本と<私>1940-2009』『八幡神の正体』『古代七つの金石文』『法隆寺の正体』『ヒトラーはなぜユダヤ人を憎悪したか』『「猫」と「坊っちゃん」と漱石の言葉』(いずれも彩流社)。『応神=ヤマトタケルは朝鮮人だった』(河出書房新社)『日本人の正体』(三五館)『漱石の秘密』(論創社)『仁徳陵の被葬者は継体天皇だ』(河出書房新社)『あっぱれ啄木』(論創社)『日本古代史集中講義』(えにし書房)『「日本書紀」集中講義』『干支1運60年の天皇紀』(えにし書房)。

上記内容は本書刊行時のものです。