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のこった
もう、相撲ファンを引退しない
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年11月
- 書店発売日
- 2017年11月17日
- 登録日
- 2017年10月26日
- 最終更新日
- 2017年11月18日
書評掲載情報
2018-01-14 |
朝日新聞
朝刊 評者: 原武史(放送大学教授・政治思想史) |
2017-12-03 |
毎日新聞
朝刊 評者: 中島岳志(東京工業大学教授・政治学) |
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紹介
かつて「貴乃花の引退とともに相撲ファンを引退した」作家・星野智幸が再び国技館を訪ねると、そこには「モンゴルへ帰れ」といったヘイト野次が公然と飛び交っていたーー。
大相撲を取り巻く社会と未来を「文芸界のファンタジスタ」が綴った相撲エッセイ集。
「スー女のみかた」などの著作がある和田靜香さんとの対談、90年代に著者が新人賞に応募した相撲小説(未公表)などを収録し、相撲に人生を託したことがあるファンには必読の書。
前書きなど
もっと言えば、 スポーツで起こることは、世の中で起こることを先取りしている、と思うのです。
どういうことでしょうか?
例えば、この本でも再三取り上げて批判している「日本人ファースト」。日常の社会でも、ヘイトスピーチなどで民族や人種の差別が目立つようになってきました。ただ、それを積極的に行っていたのは、極端な排外主義者たちでした。 問題は、そのような人たちの暴力的な言葉に対して、一般社会が多少眉をひそめつつも無関心な態度を取り続け、その結果野放しとなって、ひどい差別が大手を振ってまかり通るようになってしまったことです。つまり、世のマジョリティは「よいことではない」と思いながらも、「自分とは直接関係ない」と考え、そういう態度において、消極的に暴力に加担してしまったのです。
ところが、今、東京・両国の国技館に行くと、そのような状況が一変します。「日本人が日本人を応援して何が悪い」という発想のもと、外国人力士を「敵」のようにみなす応援があったり、ひどい場合には差別とも取れる声が飛んだりします。そしてそれを咎めるどころか、一緒になって笑ったり盛り上がったりしている。
そこには「よいことではないが、自分には関係ない」という最低限の感覚すらなく、むしろ当然の声援と捉えて一緒に乗っている人が多いように、私には感じられます。
上記内容は本書刊行時のものです。