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出版者情報
外国人部下と仕事をするためのビジネス英語
指示・フィードバック・業績評価
- 初版年月日
- 2005年10月
- 書店発売日
- 2005年11月2日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2010年4月20日
重版情報
4刷 | 出来予定日: 2015-10-14 |
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言葉を超えた「異文化コミュニケーション」を基本から。海外赴任される方や外資で働く方から支持を集め、じっくりと売れ続けるロングセラーとなっております。 |
紹介
外国人社員が自分の部下となった時に必要となる英語をシチュエーション別に収録。「外国人が求める上司像」「仕事に関する感覚の違い」「トラブルの起こる文化的背景」など、外国人と働く上で不可欠な背景知識も豊富に解説してあります。本文で例としてあげた英文は付録CDに収録しました。
前書きなど
《はじめに》
「外国人部下をいかにマネージメントするか」。このテーマに興味をもったという共通点はあったとしても,本書を実際に手にとっている読者のみなさんのおかれている状況はさまざまでしょう。まずは次の5つのケースに目を通してみてください。いずれかのケースが自分の状況と似ているかもしれません。
【ケース1】 ある大手日本多国籍企業の大阪本社に勤める山田さんは,外国人社員を何人か管理したことがあります。「結構使いにくいですよ。文句ばかり言っているし,離職率も高い。どうやったら満足してハッピーに働いてもらえるのか謎です」。
【ケース2】 ある日本企業のアメリカ子会社に出向している広川さんによると,アメリカ人部下の管理が頭痛の種になっているそうです。「詳細にわたって指導しないと動きません。それに,『フィードバックがもっと必要だ』とよく言ってきて,それに対応するのは疲れます」。
【ケース3】 外資系企業の日本支社でマネージャーをしている川上さんは,この会社に入って初めて外国人部下を持つようになりました。「この職場は国連のようです。世界各国から人が集まっています。僕の10人の部下のうち,イギリス人が3人に,香港,フランス,ベルギー,アメリカ,カナダ,韓国とスイス人がそれぞれ1人います。これらの部下に共通することは,どんな国籍であれやはりコミュニケーションが難しいということです。優れた仕事をした時は感謝したいけれど,そうしようとしても彼らは喜ばないように見えます。また,仕事の問題を指摘したい時,適切な言い方を選ぶのに非常に苦労しています」。
【ケース4】 地方にある日本企業の工場では,作業人の25%は中南米の日系人です。そこで働いている現場の監督者田中さんは,彼らの扱い方に苦労しています。「顔は日本人に似ているけれど,発想はとても違うようです。間違いなど仕事上の問題を扱う時は特に難しいです。プライドを傷つけたら,やる気を失ってしまうので」。
【ケース5】 日本企業の開発センターで働いている谷口さんのチームは,来月に台湾から10人の技術者を特別プロジェクトのために迎えることになっています。谷口さんは彼らの担当者になると知らされたばかりです。もし彼らが満足できなかったり,プロジェクトが順調に進まなかったりすれば,谷口さんの責任になります。今まで外国人と机を並べて働いたことのない谷口さんはとても心配しています。
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本書は,このような立場にいる日本人のために書かれたものです。
私たちは経営コンサルタントとして,外国人部下を扱いあぐねて苦労している何千人もの日本人マネージャーを対象としたセミナーや一対一のコーチングを行ってきました。私たちがコーチングをしているマネージャーの勤務地,業界,職種,会社の規模,そして部下の国籍はさまざまですが,彼らの悩みの種になっているテーマは不思議と共通しています。部下を効果的に管理するにはかなり微妙なニュアンスを持った表現を使う必要がありますが,多くの日本人はそれを学ぶ機会がほとんどありません。そのため,慣れない表現を使って部下を指導するという難しさ自体がフラストレーションの原因になりがちです。そのうえ,外国人部下は上司からの言葉に非常に敏感である傾向が強いので,不適切な表現を使うことで誤解が生じやすくなるという危険性もあります。
また,上司と部下の関係のあり方や上司の役割に関して,日本の習慣と外国の習慣の間には大きなギャップがあり,その習慣の違いというものが,単なる言語の相違だけにはとどまらないさらに大きな文化的な問題の源になる可能性が高いと言えるでしょう。一般に外国では,上司はコーチのような存在であるべきだと考えられており,部下に言葉による指導とアドバイスを絶えず提供するべきだと考えられています。そのような一般的な「コーチ的」上司像にマッチしない日本人上司は,部下から尊敬を得ることができない,または部下を有効に使いこなせない,などの問題を抱えがちです。
本書では,意見の伝達,部下の仕事の評価,問題解決,職務内容の定義,苦情への対応など,章ごとにそれぞれ特化したトピックや状況に焦点を絞りながら,次の3つのポイントを中心に学習を図ります。
1.何を言えばよいか
2.どのように言えばよいか
3.そしてなぜ言うべきなのか
各章では,まず文化的背景と外国人の期待や考え方を説明してから,実践で役立つフレーズを紹介します。次に,上司と部下の英語による会話例を挙げて,その和訳と解説を述べます。この一連の流れを学習することによって,さまざまな状況において部下とどのようにコミュニケーションを図ればいいのかを確実に身につけることができます。本書を利用することによって,読者が外国人部下とのトラブルを避け,彼らと良い関係を築きながら効率的かつ効果的に働くことができたら幸いです。
ビジネスのグローバル化に伴って,今まで自分の分野は国内に限定されていると思っていた方でも,外国人と密接に働いたり外国人部下を持ったりする状況は,避けられないものになってきています。ひと昔前では珍しい存在であった外国人ですが,最近は日本国内のビジネスの至るところで見かけられ,将来,この傾向は加速する一方となるでしょう。
ここにひとつの大きなパラダイム・シフトを見ることができます。つまり,これまで日本の強みは「粒選りの労働力」というところにあったのですが,現在進行中の大きな歴史的変化が「労働力の多様化」を余儀なくしているのです。従来の「粒選りの労働力」を指揮する指導力と,一見混沌とした「多様な労働力」を指揮していく指導力とではまったくその質や哲学を異にします。これからの管理者に必要とされるのは混沌を指揮していく力,「1+1=3」にしていくような人材活用の管理力です。これは何も外国人管理だけに限りません。労働力の多様性は,性別や年齢,経験の差や正社員か契約社員かの違いなど,いろいろな領域に及ぶでしょう。つまり本書の中で書かれている内容は,日本のビジネス界がこれから採択していくであろう,多様性を持った労働力の管理に関する新しいパラダイムを,「外国人の管理」というひとつの特別な側面から見たものです。そういう意味では,本書の核になっているアイディアは,外国人だけではなく,今まで「労働力の中心」から離れたところに置かれていた女性や契約社員などの労働者の管理にも十分応用できるものだと思います。
この新しいパラダイムをしっかり把握した日本人上司が,外国人だけでなく多種多様な労働者をうまく指揮していければ,今後,国内外を問わずビジネスの舞台で有利な立場に立つことは確かだと思います。本書の読者が外国人部下の強みをうまく生かしながら管理していくことができ,さらに多様化・国際化するビジネス人材管理の先駆者となれるよう,私たちがそのお手伝いをすることができれば,こんなにうれしいことはありません。
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2005年10月
ロッシェル・カップ増田真紀子
関連リンク
上記内容は本書刊行時のものです。