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地震予報のできる時代へ
電波地震観測者の挑戦
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2009年11月
- 書店発売日
- 2009年11月5日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
巨大地震の予知は可能だ
「森谷さんは電波観測にも優れた希有の地震学者。電波伝搬異常を捉えての地震予知に成功しており、
今後の発展が期待される。」
―上田誠也(東京大学名誉教授)
<東海地震の予報も可能だ>
壊滅的な被害をもたらす大地震。その大地震を予報できる時代がついにやって来た。北海道大学の地震火山研究観測センターで観測をつづけてきた著者は、北海道の地震や房総半島南部沿岸の地震などいくつかの予報に成功している。
地震の前に地表付近の電磁気的異常が原因でFM電波の伝播異常をひき起こす。その異常をいくつかの観測点から観測して、地震発生場所、震度、およその期日を予報する。
その精度にいま学界等で注目が集まり、過日はフジテレビで紹介されて大きな反響を巻き起こした。
東海地震、東南海地震、南海地震が近未来に起こると予想される今日、地震予報についてのこれま
での成果の紹介とこれからの大いなる希望を語る、渾身の一冊。
目次
はじめに
第一章 地震とはどのような現象か
1 地震の前・同時・後に起こる現象
2 地殻変動とそれに付随する現象.海面変動,地下水の異常
3 発光現象
4 電離層の震動・擾乱
5 電磁気的な異常現象―電磁波の異常伝播と雑音の発生
6 動物の異常行動
7 ラドンガスの発生
8 大地震を中心とした時空間的な集団としての統計的性質の変化
9 地震予報に有用な前兆
第二章 電波伝播異常と地震
1 1995年兵庫県南部地震が社会も地震学も変えた
2 どのようにしてFM放送の電波で地震予報ができるのか
3 なぜ電波伝播異常が起こるのだろう
第三章 北海道大学地震火山研究観測センターの挑戦
1 観測の動機
2 2003年9月に起きた二つの地震
3 VHF電波の地震エコー生成のメカニズム
4 2008年7月からのドキュメント
5 2009年2,3月のドキュメント
6 静穏期の持つ意味
第四章 他の電磁気的方法による地震前兆の研究
1 ギリシャのVAN法
2 日本におけるVAN法
3 早川研究室のLF・ULF帯電波観測
4 LF帯電磁放射パルス波の観測(京都大学の尾池研究室)
5 LF帯電磁放射パルス波の観測(東海大学の浅田敏研究室)
6 串田嘉男氏のVHF帯観測
7 宇田進一氏の漣雲の解析
第五章 VHF電波観測の評価と将来の展望
1 学会での評価
2 地震予知計画研究の発展と大学の研究
3 地震学会の体質,理学と実学
4 地震学と電波工学との交流
5 日本におけるVHF観測網の基本設計図
6 地震予報の試験的情報発信
7 地震予知研究者が守るべき「地震予知指針」
8 将来の展望
あとがき
参考文献
前書きなど
阪神淡路大震災以降、地震予知不可能論が声高に言われるようになったが、私は充分な観測も行わずにあき
らめの結論を出していることに失望していた。(中略) 電波観測で前兆を検出できるらしいという研究に対して、
地震学界の反応は鈍かった。(中略) 私以外に地震学界メンバーで電波観測を行おうとするものがいないのなら
ば、やってみるしかないだろう、という使命感のような気持ちが湧き上がってきた。(「はじめに」より)
版元から一言
FM放送の電波観測により、地震前兆と電波伝播異常の関係をついに捕まえることに成功した。前兆現象とは
なにかを観測から発見し、経験則をつくりだし、逆に前兆現象から地震予報を行う。そして北海道での地震発生
を震度、時間を限定して的中させてきた。
観測網さえ整備すれば、この方法で首都圏の大地震の予報も可能になるはずだと著者は主張する。
「地震の直前予知を大学の研究者が本気で行うことは、レベルの低い研究者と見られる覚悟が必要であった」と
述懐する。硬直した地震学界の鈍い反応のなか、孤高の地震学者のこれまでの試行錯誤と注目すべき成果を
報告する。
上記内容は本書刊行時のものです。