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PPSのすすめ 布施 哲也(著) - 七つ森書館
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PPSのすすめ (ピーピーエスノススメ) 電力会社の電気を買ってはいけない (デンリョクガイシャノデンキヲカッテハイケナイ)

自然科学
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発行:七つ森書館
A5判
96ページ
並製
定価 1,000円+税
ISBN
978-4-8228-1251-5   COPY
ISBN 13
9784822812515   COPY
ISBN 10h
4-8228-1251-0   COPY
ISBN 10
4822812510   COPY
出版者記号
8228   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2012年5月
書店発売日
登録日
2012年4月26日
最終更新日
2012年4月26日
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紹介

電力自由化の目玉として誕生したPPS(新電力)制度を導入すると、どうなるのか?
電気の供給先や料金、電気の由来、停電への対応、脱原発との関係など、わかりやすく解説します。

目次

はじめに

第1章 電力会社の電気を買ってはいけない
 1 PPSが電力自由化の風穴を開ける
 2 経済産業省は脱電力会社へ突き進む
 3 競輪場では電気料金が安くなった
 4 意外にも自治体はPPSを知らない
 5 静岡の県と市では中部電力離れが進んでいる
 6 ひそかに自治体にPPSが広がっている

第2章 電力自由化からPPSが生まれる
 1 日本の電気料金はこんなに高い
 2 これがPPSの仕組みだ
 3 マンションでもPPSを導入できる
 4 自治体のPPSはどうなっているか
 5 電気事業者の種類はどれくらいあるか
 6 六本木ヒルズはPPSではない

第4章 これがPPS環境と問題点だ
 1 PPSは、なぜ50キロワット以上なのか
 2 送電・配電設備の利用料が高い
 3 インバランス料金という罰金があるのをご存じだろうか
 4 これでは電気を買いたくても買えない
 5 卸電力取引所とスマートグリッドが投資効果を生み出す
 6 二酸化炭素の排出量で比較するのは時代遅れだ

第4章 PPSは脱原発への第一歩だ
 1 電力会社は絶大な力をもっている
 2 電気料金が電力会社の力の源泉だ
 3 電力会社が発送電分離に抵抗するのだ
 4 原発をなくすためには発送電の分離が一番だ
 5 危ないPPSといらないPPS
 6 資源エネルギー庁を自然エネルギー庁にしよう

あとがき

前書きなど

はじめに

 電気の販売者である供給元は、東京では東京電力で、大阪では関西電力というように、10社ある電力会社に限られていた。それが、2000年から特定規模電気事業者(PPS)という、電力会社ではない電気の小売業者が誕生した。
 制度の発足時の利用者は、2000キロワット以上の特別高圧という、電気の大量需要者に限られていた。その後に制限が緩和され、現在では50キロワット以上の高圧電力までが対象となっている。小規模工場、コンビニ、そして一般家庭は利用できないが、その範囲はかなり広い。
 PPSの普及は、全体の電気の需要量では3~4%ほどだが、東京電力や関西電力の営業範囲では、その普及割合は高くなっている。福島第一原発の事故と、それにつづく電気料金の値上げがあって、電力会社への不信感が高まり、電気の新しい購入先に関心が向かう。
 PPSという名称ではわかりにくいので、略称は「新電力」となるようだ。今後ますますこの制度は普及する見込みだが、名称もわかりにくいが、制度そのものもわかりにくい。
 執筆にあたっては、電力会社関係者でも、電気の専門家でも、法規を熟知した官僚でもない、市民の目線の説明を心がけた。
 電力会社の力の源泉は、販売エリアに競争相手がいない地域独占、発電と送配電の一体所有、そして電気料金を決める総括原価方式の3つだという。電力自由化は、これらを撤廃させることだが、それにはPPSの普及が大きな意味を持つのだ。
 電力自由化の目玉として誕生したこの制度は、まだ道半ばの段階だ。50キロワット以上という制限を取り外し、一般家庭も利用できるようにしたい。電力会社は抵抗するだろうが、それが実現すると、PPS制度は身近なものとなり、活用の道が広がってくるのだ。

 電気の供給先をどうするのか。
 料金はどうなっているのか。
 その電気の由来は何なのか。
 停電事故の対応はどうなるのか。
 脱原発とどう結びつくのか。

 電力が完全自由化する前に、これらのことを知っていただきたいのですが、PPSが名実ともに新電力になることに、本書の普及が少しでも役に立つのなら望外の幸せです。
 本書の執筆には、反原発自治体議員・市民連盟のみなさんの活動が後押しとなりました。PPSに関する調査と研究、そして議会における発言・提言が、各自治体におけるPPS導入という結果を導き出しています。
 もうひとつの後押しは、前著『福島原発の町と村』の読者の方々です。同書はPPSについても記述していますが、もっと詳しく説明をしてほしいとの声が、少なからずあったからです。お役に立てることを願っています。
 最後に、出版の機会を与えていただいた、七つ森書館のみなさんに感謝します。

   2012年4月   布施哲也

著者プロフィール

布施 哲也  (フセ タツヤ)  (

反原発自治体議員・市民連盟共同代表。
1949年、千葉県生まれ。狭山事件の再審を求める市民の会、障害者の教育権を実現する会などで活動。2011年まで清瀬市議会議員。
著書に、『清瀬異聞』(社会評論社)、『官製ワーキングプア』『官製貧困社会』『官製クライシス』『福島原発の町と村』(七つ森書館)など。

上記内容は本書刊行時のものです。