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妖精のささやき ボリス・シリュルニク(著) - 彩流社
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妖精のささやき (ヨウセイノササヤキ) 子どもの心と「打たれ強さ」

教育
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発行:彩流社
四六判
262ページ
上製
定価 2,500円+税
ISBN
978-4-7791-1260-7   COPY
ISBN 13
9784779112607   COPY
ISBN 10h
4-7791-1260-5   COPY
ISBN 10
4779112605   COPY
出版者記号
7791   COPY
Cコード
C0011  
0:一般 0:単行本 11:心理(学)
出版社在庫情報
在庫僅少
初版年月日
2007年8月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2019年7月26日
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紹介

「この書物は真の希望のメッセージである」――原書に付された紹介文にこう記されているとおり、本書は、どんな逆境にあっても人生をけっしてあきらめないための提案として書かれている。著者シリュルニクは、まず「序論」で、二十紀アメリカの女優マリリン・モンローと十九世紀デンマークの作家アンデルセンという、時代も場所も仕事もおよそかけはなれた二人を呼び出す。じつは、彼らには子ども時代にひどい虐待を受けたという、共通の過去があったのだ。そして、三十六歳で自殺したマリリンと、七十歳まで生きて多くの栄光につつまれ、今も世界中でその作品が読まれているアンデルセンとのちがいを、「打たれ強さ(レジリヤンス)」に求めて、女優がついに果たせなかった「打たれ強さ」の獲得に、作家が周辺世界と文化的環境の助けを得て成功する過程が強調される。
その後、第一部「ちびっこたち、あるいは絆づくりの年齢」では、親や周囲から虐待を受けた幼少年期の子どもたちが、彼らをとりまく人びととの絆をつくりあげることをつうじて、みごとに立ち直り、再び立ち上がっていく実例が感動的に描き出される。第二部「青い果実、またはセックスの年齢」では、思春期の子どもたちの、もう少し複雑な虐待からの復帰体験が、やはり豊富な実例とともに語られる。そして、「結論」で、著者は、誰もが「打たれ強さ」の熾火を奥底に秘めているのだが、熾火に息を吹きかけてやらないと火は消えてしまうことを指摘したうえで、現代人の大多数が体験している「トラウマ(心の傷)」を縫い合わせることで、熾火を燃え立たせて「打たれ強さ」を形成できれば、「想像もつかない太陽のような幸せ」が待っていると、私たちに呼びかけるのである。
本書の各章は「驚きがなければ現実からは何も生まれない」とか「家族と文化がその力をあたえるとき、学校は打たれ強さの要因となる」といった、具体的な提案に満ちた表題で、それぞれが三、四ページ程度のコンパクトな構成になっているので、読者は思わず先へ先へと読み進むことになるだろう。そこにあげられた数々の実例は、日本社会での子どもの虐待とは必ずしもぴったりと重なるものではないが、かえって新鮮な視点から、私たちの現実を見なおす手がかりを提供してくれる。
この書物の最大の特色は、シリュルニク自身が第二次大戦中に両親をナチの強制収容所で失った孤児であるということだろう。その後、さまざまな困難を乗り越えて(と言い切ってしまうには、あまりにも過酷な出来事も当然あっただろうが)パリ大学医学部で学び、精神医学から比較行動学までの広範な研究をつうじて、現代フランスを代表する知識人となった著者の人生そのものが「打たれ強さ」のみごとな例証となっているのである。
(本書「訳者後記」より)

版元から一言

(社)日本図書館協会 選定図書

著者プロフィール

ボリス・シリュルニク  (シリュルニク,ボリス)  (

Boris Cyrulnik(ボリス・シリュルニク)フランスの精神科医、神経科医、比較行動学者、作家。1937年仏・ボルドーでポーランド系ロシア人移民の子として生まれる。五歳のとき、両親がナチの強制収容所に移送される。彼自身も捕らえられていたが脱走し、奇跡的に助かり、孤児院で育てられる。その後、農家で働いたり、水難救助訓練の教師をしながら、学業を続ける。少年時代にファーブルの『昆虫記』に感銘をうけ、生物学に関心を抱いて、パリ大学医学部で学ぶ。その後、神経医学・精神分析・心理学・比較行動学など多岐に亘る分野で研究を続けながら、逆境に負けない「打たれ強さ」を説いて『情愛の糧』『すばらしい不幸』などの多くのベストセラーを執筆している。訳書等に『壊れない子どもの心の育て方』(ボリスシリュルニック著、抄訳再構成書(原題『みにくいアヒルの子たち』)、柴田 都志子・訳、斎藤 学・解説、KKベストセラーズ、2002)、「専門家はいかにしてレジリエンスを導く人になれるか」(ボリス・シリュルニック、桑田光平・訳、雑誌「現代思想」2007.05、青土社、2007)、『 憎むのでもなく、許すのでもなく――ユダヤ人一斉検挙の夜』( ボリス シリュルニク著、 林 昌宏訳、吉田書店、2014) 、『心のレジリエンス―物語としての告白』( ボリス・シリュルニク著、林 昌宏訳、吉田書店、2014)がある。

塚原 史  (ツカハラ フミ)  (共訳

1949年東京生まれ。現在、早稲田大学法学部(法学学術院)教授。早稲田大学政治経済学部卒業。京都大学大学院文学研究科フランス文学専攻修士課程修了。フランス政府給費留学生としてパリ第三大学博士課程を経て、早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程修了。著書・共著に『プレイバック・ダダ』(白順社、1988)『終末のソリチュード』(紀伊國屋書店、1992)『言葉のアヴァンギャルド』(講談社現代新書、1994)『アヴァンギャルドの時代』(未來社、1997)『シュルレアリスムを読む』(白水社、1998)『記号と反抗』(人文書院、1998)『人間はなぜ非人間的になれるのか』(ちくま新書、2000)『ダダ・シュルレアリスムの時代』(ちくま学芸文庫、2003)『ボードリヤールという生きかた』(NTT出版、2005)『村山知義とクルト・シュヴィッタース』(水声社、2005)『 荒川修作の軌跡と奇跡』(NTT出版、2009)『 切断する美学―アヴァンギャルド芸術思想史』 (論創社、2013)などがあり、
訳書・共訳書に『消費社会の神話と構造』『透きとおった悪』『湾岸戦争は起こらなかった』『ボードリヤール×吉本隆明=世紀末を語る』『世紀末の他者たち』『完全犯罪』『不可能な交換』(ボードリヤール著、紀伊國屋書店)『象徴交換と死』(ボードリヤール著、ちくま学芸文庫)『パスワード』『パワー・インフェルノ』『暴力とグローバリゼーション』(ボードリヤール著、NTT出版)『建築と哲学』(ジャン・ヌーベルとの共著、鹿島出版会)『種子と表皮』『ツァラの仕事II』(トリスタン・ツァラほか著)『ブルトン伝』(アンリ・ベアール著)(思潮社)『パサージュ論』(ベンヤミン著、岩波書店)『ダダとシュルレアリスム』(ゲール著、岩波書店)『ジャン・ボードリヤール-現代思想ガイドブック-』(リチャード・J・レイン著、青土社)『人間という仕事』(アレクサンドル・ジョリアン著、明石書店)『知識人の時代―バレス/ジッド/サルトル』(ミシェル・ヴィノック著、紀伊國屋書店)『 トリスタン・ツァラ伝―ダダの革命を発明した男』 (フランソワ ビュオ著、塚原 史、 後藤 美和子訳、思潮社、2013) ほか多数。

後藤 美和子  (ゴトウ ミワコ)  (共訳

1964年生まれ。詩人。早稲田大学、昭和女子大学等非常勤講師。早稲田大学第一文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻修士課程修了。同大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程単位取得。「ユリイカの新人」受賞(2002年)。詩集『極地』(2003年、第9回中原中也賞最終選考作品)。『フランス語の道具箱』(共著、早美出版社、2003年)、『大地の黄身』(後藤美和子著、書肆山田、2007)、『 プティ・フランセ』 (添田里子、 後藤美和子、早美出版社、2008)、『 サンプリシーム』( エリック・バンキエ著、 後藤美和子訳、早美出版社、2012)、『 トリスタン・ツァラ伝―ダダの革命を発明した男』 (フランソワ ビュオ著、塚原 史、 後藤 美和子訳、思潮社、2013) 。

上記内容は本書刊行時のものです。