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成年被後見人の選挙権・被選挙権の制限と権利擁護 飯田 泰士(著) - 明石書店
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成年被後見人の選挙権・被選挙権の制限と権利擁護 (セイネンヒコウケンニンノセンキョケンヒセンキョケンノセイゲントケンリヨウゴ) 精神・知的障害者、認知症の人の政治参加の機会を取り戻すために (セイシンチテキショウガイニンチショウノヒトノセイジサンカノキカイヲトリモドスタメニ)

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発行:明石書店
四六判
240ページ
上製
定価 2,600円+税
ISBN
978-4-7503-3560-5   COPY
ISBN 13
9784750335605   COPY
ISBN 10h
4-7503-3560-6   COPY
ISBN 10
4750335606   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2012年3月
書店発売日
登録日
2012年3月21日
最終更新日
2012年3月21日
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紹介

認知症や精神・知的障害者の権利を守る制度である成年後見制度において、成年被後見人は公職選挙法によって選挙権・被選挙権が制限される。本書はその制限に関わる国会での政府の答弁や関連する国の制度を精細に検証し、その問題点を指摘する。

目次

I 序論

II 「成年被後見人」の制度
 1.「成年被後見人」の制度の概要
 2.「成年被後見人」とは
 3.「成年被後見人」の制度は、現実的に、全ての人に関わる制度
 4.「成年被後見人」の制度の目的
 5.「成年被後見人」の具体的な制度
 6.「成年被後見人」の制度のまとめ

III 「成年被後見人」の制度と選挙権、被選挙権の制限の関係
 1.「成年被後見人」と公職選挙法
 2.「成年被後見人」が、選挙権、被選挙権を制限される理由
 3.「成年被後見人」の制度と選挙権、被選挙権の制限の関係のまとめ

IV 「成年被後見人」の選挙権、被選挙権の制限に関する問題
 1.問題の類型
 2.「成年被後見人」の選挙権、被選挙権の制限自体に関する問題
 (1)導入
 (2)選挙から排除されてしまうという問題
 (3)日常的な政治参加の機会への参加が困難になるという問題
 (4)差別・心理的負担に関する問題
 (5)成年被後見人、認知症の者、知的障害者、精神障害者などの社会からの排除に関する問題
 (6)選挙への参加と、財産の選択を迫られるなど当事者を難しい問題に直面させるという問題
 (7)ノーマライゼーションに関する問題
 (8)「障害者の権利に関する条約」に関する問題
 (9)「市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)」に関する問題
 (10)問題のまとめ
 3.「成年被後見人」の選挙権、被選挙権の制限とその理由に関する問題
 (1)導入
 (2)「成年被後見人は判断能力を欠く常況にあり、そのため、通常、政治参画を期待できない」という理由と制限に関する問題
  i 問題の類型
  ii 後見開始の審判に関する問題
  iii 後見開始の審判の取り消しに関する問題
  iv 実務上の扱いに関する問題
  v 判断能力を一時回復した場合に関する問題
 (3)「選挙時に、個別に、判断能力について判断することは困難である」という理由と制限に関する問題
 (4)問題のまとめ
 4.「成年被後見人」の選挙権、被選挙権の制限の理由自体に関する問題
 5.「成年被後見人」の選挙権、被選挙権の制限の手続に関する問題
 6.「成年被後見人」の選挙権、被選挙権を制限しないことにより生じる問題
 7.「成年被後見人」の選挙権、被選挙権(問題のまとめ)

V 結語

 あとがき

前書きなど

 あとがき

 以上が、本書のテーマ、成年被後見人の選挙権、被選挙権の制限に関することである。
 成年被後見人の選挙権、被選挙権の制限は、現実的に全ての人に関わるものであるということ。
 成年被後見人の選挙権、被選挙権の制限は不合理であるので、成年被後見人に選挙権、被選挙権を認めるべきであるということ。
 その二つが本書で述べたかったことである。
 成年被後見人として選挙権、被選挙権を制限される可能性は、あなたにも、あなたの家族にも、あなたの友人にもある。
 それが現実になったとき、「民法の規定は、選挙権行使の能力についてとは関係ないと思います」と国務大臣が国会で答弁しているのを聞いたら、あなたはどう思うであろうか。「関係がないのに、なぜ、選挙権を制限されなければならないのか。納得できない。悔しい」、「民法の規定が選挙権行使の能力と関係がないなら、民法の規定は被選挙権とも関係がないはずである。それなのに、なぜ、被選挙権を制限されなければならないのか。おかしい」と思うのではなかろうか。
 それが現実になったとき、「その方は実際に投票権持っていただいていいじゃないかと思われる方は事実上入っているという恐らく実態があると思われます」と国務大臣が国会で答弁しているのを聞いたら、あなたはどう思うであろうか。「もしかしたら、選挙権を認められてもよい状態なのに、選挙権を制限されてしまっているのではなかろうか。納得できない」と思うのではなかろうか。
 本文で引用したように、その二つの答弁は、国会で実際に国務大臣によってされたものである。
 だから今、実際、そういう思いをしている人がいる。
 同じ日本人で、そういう思いをしている人がいることを決して忘れてはならない。
 全ての人がこの問題に関心をもつことが重要である。
 私自身が、この問題、成年被後見人の選挙権、被選挙権の制限に関心をもったのは、今から三年前の二〇〇九年春である。
 当時、世襲議員や政治家の世襲制限に関する問題がとても注目されていた。
 そのことに関して、ある世襲議員が、「世襲議員は選挙で当選している。だから、政治家の世襲は全く問題がない。有権者が認めたから世襲議員が存在する。民意を否定するのか。選挙を否定するのか。民主主義を否定するのか。政治家の世襲制限は不適切である」と発言するのを聞いたとき、ふと思った。
 「じゃあ、なぜ、被選挙権を制限されている人がいるのだろう。選挙で当選したら、それでよいと言うのなら、被選挙権を制限されている人に被選挙権を認めて、あとは選挙のときの国民の判断に委ねたらよいのに」、「成年被後見人に被選挙権が認められていて、その被選挙権が制限されそうになったら、成年被後見人である議員は、きっと、言うだろう。『成年被後見人である議員は選挙で当選している。だから、成年被後見人である議員の存在は全く問題がない。有権者が認めたから成年被後見人である議員が存在する。民意を否定するのか。選挙を否定するのか。民主主義を否定するのか。成年被後見人の被選挙権の制限は不適切である』」。
 それが、私自身が成年被後見人の選挙権、被選挙権の制限に関心をもったきっかけである。
 ただ、すぐに、成年被後見人の選挙権、被選挙権の制限に関して執筆するということにはならず、実際に執筆することになるのは、それから約二年後の二〇一一年夏であった。
 執筆のきっかけになったのは、複数提起された成年被後見人の選挙権確認訴訟である。「問題解決のために、何かできることはないかな」と思い、執筆することにした。
 様々な読者が想定されるので、執筆するにあたっては、具体例をあげたり、様々ないい方をしたり、条文や容易に参照できる情報を注に入れたり、可能な限り丁寧に書いた。


 (…後略…)

著者プロフィール

飯田 泰士  (イイダ タイシ)  (

東京大学大学院法学政治学研究科修了。
東京大学大学院医学系研究科生命・医療倫理人材養成ユニット修了。
主な研究分野は、医療に関する法制度、政治過程論。それに関する論文多数。

上記内容は本書刊行時のものです。