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朝鮮王朝時代の世界観と日本認識 河 宇鳳(著) - 明石書店
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朝鮮王朝時代の世界観と日本認識 (チョウセンオウチョウジダイノセカイカントニホンニンシキ)
原書: JOSEONSIDAE HANGUGINUI ILBONINSIK

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発行:明石書店
四六判
484ページ
上製
定価 6,000円+税
ISBN
978-4-7503-2678-8   COPY
ISBN 13
9784750326788   COPY
ISBN 10h
4-7503-2678-X   COPY
ISBN 10
475032678X   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2008年1月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年8月22日
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書評掲載情報

2017-12-17 東京新聞/中日新聞  朝刊
評者: 四方田犬彦(比較文学者)
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紹介

14~20世紀の朝鮮半島の人々が日本をどう見ていたのか、当時の学者・官僚・日本へ渡った通信使・僧侶・武人・商人・漂流民らの記録から彼らの日本観や対馬に対する意識を探る。また当時朝鮮で描かれた地図を用い、彼らの世界観を視覚的に検討する。

目次

 日本語版への序文
 はじめに

第1部 朝鮮時代の対外認識の構造と日本認識
 第1章 朝鮮時代の人々の世界観と日本認識
  1. はじめに 
  2. 朝鮮時代前期の世界観と自我認識 
  3. 他者としての日本と女真 
  4. 向化政策とその意味 
  5. まとめ 
 第2章 朝鮮時代後期の対外認識の構造と推移
  1. はじめに 
  2. 十七世紀の対外認識 
  3. 十八世紀の実学派の対外認識 
  4. 十九世紀の対外認識 
  5. まとめ 
 第3章 朝鮮半島の人々の対馬認識――朝鮮時代を中心に
  1. はじめに
  2. 古代・中世の対日関係と認識
  3. 朝鮮時代の対日関係と認識
  4. 近代の関係と認識
  5. 解放以後の試み
  6. まとめ

第2部 日本認識の展開
 第1章 朝鮮時代初期における対日使行員の日本認識
  1. はじめに
  2. 李藝の日本認識
  3. 宋希・の日本認識
  4. 申叔舟の日本認識
  5. まとめ
 第2章 朝鮮時代後期の通信使使行員の日本認識――一七六四年甲申通信使の元重挙を中心に
  1. はじめに
  2. 元重挙の生涯と対日使行
  3. 『乗槎録』と『和国志』
  4. 元重挙の日本認識
  5. まとめ
 第3章 朝鮮時代後期の南人系実学派の日本認識
  1. はじめに
  2. 十七世紀南人系の日本認識
  3. 十八世紀南人系実学者の日本認識
  4. 十九世紀南人系実学派の日本認識
  5. まとめ
 第4章 朝鮮時代の漂流民の日本認識
  1. はじめに
  2. 史料に対する検討
  3. 漂流民の活動と日本認識
  4. まとめ
 第5章 開港期の修信使の日本認識
  1. はじめに
  2. 修信使行の構造と性格
  3. 修信使の活動と成果
  4. 修信使の日本認識
  5. まとめ
 第6章 東学教祖崔済愚の対外認識と日本観
  1. はじめに
  2. 崔済愚の生涯と東学の創道
  3. 崔済愚の西洋観と中国観
  4. 崔済愚の日本観
  5. 崔済愚の対外認識の影響と性格

 日本語版監訳によせて
 翻訳を終えて
 参考文献一覧
 事項索引
 人名索引

前書きなど

日本語版への序文(河宇鳳)

 まず最初に、拙著がこのような形で日本で翻訳・紹介されたことに大いなる喜びを感じていることを申し上げたい。本書のテーマに関心をもつ日本の研究者や教養豊かな方々にわずかながらでも参考になるなら、それだけでも本書の役目は果たされたのではないかと思う。
 朝鮮半島の歴代国家と日本の相互認識という研究テーマは、以前から両国で進められてきた。だが、そこには相手国の史料に対する制約︵読解能力も含めて︶や先入観などがあり、この問題を充分かつ客観的に研究する上で困難も伴っていた。実際に、朝鮮半島の国家と日本の相互認識を第三者的な立場から客観的に明らかにしていくのは簡単なことではない。相手国に対する自国民の認識については多くのアプローチがなされる反面、相手国が自国をどう認識していたかを考察する試みはそれほど多くない。私自身も朝鮮半島の人々と日本の人々の相互認識を通時代的に整理することを研究当初からの目的としてきた。しかし、現在に至ってもそれを達成できずにいる。

(…中略…)

 基本的に認識というものは、実際の外交関係や事実と異なり、自意識に関わる部分である。そのため、自分自身に都合のいい論理あるいはこうであってほしいという希望的見方、さらには感情的な慰めなど、いわゆる自民族中心主義(ethnocentrism)に陥りやすい。ある民族の集団的な認識は、一般的に神話や説話など神秘主義的な民族主義に基づいているが、古代の国家形成の時期につくられたこうした民族主義によって、その認識は体系化され、内部での伝承を通じて強化されていく。そして、一種の信念体系として共有されるようになるのである。ここには当然ながら普遍性というものは欠如しがちである。このように形成された認識から相手を見るとき、相互にギャップが生じるのは当然のことである。
 こうした相互認識のギャップが生じたことについては、メディアだけでなく関連分野の知識人の責任も大きい。だが、歴史的に見ると、朝鮮半島と日本で互いの情報が不足し、無知の状態の中で相互認識の隔たりが生まれていった。そして、その隔たりが大きくなったとき、双方の間に不幸な出来事が起こってきたのである。こうした側面から、今後の両国間の健全な関係を築いていくためには、多様で持続的な努力が必要とされるが、まず第一には相互の認識に対する「事実性の確認」の作業が行われなければならない。相手が自分をどう認識しているのか。それを知ることが相互理解でまず必要とされるからである。同時に、認識の中にある﹁非現実性﹂から抜け出すためには、認識と現実の間の関連性を明らかにしなければならない。
 私はこれまで、両国民の相互認識のギャップを埋め、真の善隣関係を築いていきたいという立場から、この問題にアプローチしてきた。朝鮮半島と日本のように長き交流を続けてきた隣国同士の相互認識は、数千年にわたる歴史の積み重ねの産物として、強い歴史性を持っている。こうしたことから、歴史的な考察を通じて相互認識の中の葛藤の要因を探っていく必要がある。
 相互認識の改善こそ、両国関係の鍵となるといっても過言ではない。またそれは、両国関係の未来に対する展望を得ることのできる有力な方法でもある。こうした点から、朝鮮半島と日本の相互関係を考察するのは現実的にも意義深いことなのである。
 本書は、そうした問題意識から生まれた成果の一つである。このテーマはこれからも私が関わっていく課題である。今後、日韓両国民の相互認識を、両国の関係史と絡めて考察し、日本人の朝鮮日本語版への序文半島に対する認識を明らかにし整理していくのが研究目標である。したがって本書に対する日本の読者の反応も気になるところであるが、何よりも多くの叱正を請う次第である。それが筆者の今後の研究によき刺激となり、羅針盤となってくれるからである。

(…後略…)

著者プロフィール

河 宇鳳  (ハ ウボン)  (

1953年生まれ。ソウル大学校国史学科卒業。西江大学校大学院史学科博士課程修了。文学博士。陸軍士官学校教授、東京大学客員研究員、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学訪問研究員を経て、現在、全北大学校人文学部教授(学部長)、国史編纂委員会委員。韓国の韓日関係史学会や韓国日本思想史学会の会長を歴任。専攻は朝鮮時代韓日関係史。
主な著書に、『朝鮮実学者の見た近世日本』(ぺりかん社、2001年)、『鏡のなかの日本と韓国』〔共著〕(ぺりかん社、2000年)、『朝鮮後期実学者の日本観研究』〔出版元:韓国〕(一志社、1989年)、『韓国と日本――相互認識の歴史と未来』〔出版元:韓国〕(サルリム出版社、2005年)などがある。

金 両基  (キム ヤンキ)  (監訳

1933年生まれ。哲学博士・評論家・比較文化学者。比較民俗学・国際関係論専攻。韓国文化勲章受章・(日本)芸術祭最優秀賞受賞。
主な著書に、『ハングルの世界』(中公新書、1984年)、『キムチとお新香――日韓比較文化考』(中公文庫、1987年)、『物語 韓国史』(中公新書、1989年)、『韓国神話』(青土社、1995年)、『ふだん着の人権論』(明石書店、1997年)『図説 韓国の歴史(新装改訂2版)』〔監修・共著〕(河出書房新社、2002年)、『韓国の歴史を知るための66章』〔編著〕(明石書店、2007年)などがある。

小幡 倫裕  (オバタ ミチヒロ)  (

1969年生まれ。韓国平澤大学校助教授。近世日朝関係史専攻。
主な著書・論文に、『韓国の歴史を知るための66章』〔共著〕(明石書店、2007年)、「申維翰『海游録』にあらわれた日本観とその限界」〔出版元:韓国〕(『韓日関係史研究』19号、2003年)、「雨森芳洲の異文化認識に対する再考察――『たはれ草』を中心に」〔出版元:韓国〕(『平澤大学校社会科学研究』10集、2006年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。