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宣長はどのような日本を想像したか 裵 寛紋(著) - 笠間書院
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宣長はどのような日本を想像したか (ノリナガハドノヨウナニホンヲソウゾウシタカ) 『古事記伝』の「皇国」 (コジキデンノミクニ)

文芸
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発行:笠間書院
A5判
268ページ
上製
価格 5,500円+税
ISBN
978-4-305-70834-2   COPY
ISBN 13
9784305708342   COPY
ISBN 10h
4-305-70834-5   COPY
ISBN 10
4305708345   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年6月
書店発売日
登録日
2017年5月29日
最終更新日
2017年6月19日
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紹介

日本思想史上での宣長再評価に向けて。
『古事記伝』は『古事記』の解釈を通して、宣長による新たな神話を成立させたテキストであった。つくり出された〈古事記〉はいかなる物語となったのか。『古事記伝』の読みが『古事記』と最も乖離している箇所「外国(とつくに)」に着目し、ひるがえって、自国日本に対して用いた語「皇国(みくに)」の意味を追究する。神について語る『古事記』を、人に適用して読もうとした『古事記伝』の本質が明らかに。

【日本最古の書物や国民の古典として知られる『古事記』も、本居宣長の『古事記伝』も、昭和の戦争期を経由するまでは一般の人々に重んじられる書物ではなかった。それはちょうど、近代的学問の一つとして国文学が形成され、国文学科のなかで『古事記』が本格的に研究されることとも深く連動している。国文学が「国民の学」を担う際に、国文学者は国学との連続性をことさら強調した。……近代日本において国文学が国学という伝統を背負って誕生するところに、近代的学問としての宣長「学」の発見もある。……しかしながら、宣長の学問と思想とを峻別する「宣長問題」といったような問題設定はあまり有効ではない。……再考すべきは、宣長の「皇国」を国学的な思考の典型として批判しながらも、宣長「学」の方法を様々な近代学問の伝統として受け入れようとした国文学の方かも知れない。……国学から国文学へと単純な延長線の上に宣長を置くことから一旦離れてみる。それは近代学問の在り方そのものに対する批判的な省察の契機にもなるはずであろう。】……「はじめに」より

目次

はじめに
凡例

序章 『古事記伝』で「皇国」を問うこと
一 『古事記伝』の〈古事記〉
二 「皇国」を問う

第一章 『古事記伝』のつくった「外国」
第一節 「常世国」から拡大した「外国」の物語
一 神話の上の「常世国」
二 歴史のなかの「外国」
第二節 地球的世界における「外国」と「皇国」
一 世界の始まりの物語
二 古伝説と地球説との合致
三 万国の上たる「皇国」
第三節 「皇国」の物語のためにつくられた「外国」
一 「外国」を語らない『古事記』
二 「外国」を必要とした『古事記伝』

第二章 『古事記伝』における「カラ国」の克服
第一節 「韓国」の解決
一  「韓国」は「空国」なり
二 「韓国」の排除だったのか
三 「国覓ぎ」という文脈のなかで
四 「皇大宮」の起源の物語
第二節 固有なる起源を求めて
一 「韓」をめぐる論争
二 「漢」のなかに収斂された「韓」
三 熊襲偽僣説と征韓
四 「漢国」への対抗

第三章 『古事記伝』のつくった「皇国」
第一節 「事」としての世界
一 「皇国」の古の「事」
二 神代と現代との連続
三 「君臣の差別」による皇統の存続
第二節 世界の原典としての〈古事記〉
一 文字無き世の「言伝」
二 あるべき天皇記の完成
第三節 「皇国」の選択
一 「御国」から「皇国」へ
二 「皇国」の「真の道」

終章 宣長学の解明に向けて――「皇国」の物語の達成が導くもの
一 まとめ
二 宣長以後の「皇国」
三 宣長問題の始まり

参考文献
初出一覧
あとがき
索引(人名・書名)

前書きなど

各章解説
第一章:
『古事記伝』は、『古事記』には何の説明もない「常世国」に対し、それが他ならぬ「外国」であるという独特な注を施している。「常世国」を「外国」の起源とする同説は、『古事記』上巻の神話的物語から、中巻以降の歴史として語られる記事の解釈にいたるまで終始一貫している。もとの『古事記』にはない『古事記伝』のつくる「外国」の物語である。『古事記伝』がいかにして「常世国」を「外国」へつなげていくのか、宣長の方法に沿って確かめたい。

第二章:
宣長が万国の上たる「皇国」というときに、実際意識している「外国」は「カラ国」以外にはない。しかもそれは「皇国」を語るにあたって第一に克服すべき存在としてある。もちろん『古事記』にあらわれる「蝦夷」なども、宣長にとっては「皇国」と区別される「外国」であったが、それを「カラ国」ほど強く意識することはなかった。『古事記伝』の「皇国」が「カラ国」に対峙する形でつくられる以上、「カラ」の問題を避けて通ることはできない。

第三章:
「皇国」の「皇国」たる所以はどこに求められるのか。ここでは「御国」から「皇国」へと書き替えられた意味について、宣長の注釈の対象として『古事記』が選ばれたことと関連して探っていきたい。「皇国」はやはり天皇の国たることを含意する語と考えられる。とすると、『古事記伝』は『古事記』を天皇記として読もうとした、というような見当はつく。だがそれだけで、宣長が半生をささげた『古事記伝』の営みを充分に説明できるだろうか。

著者プロフィール

裵 寛紋  (ベ カンムン)  (

1978年、韓国忠清南道生まれ。2001年、韓国外国語大学日本語科卒業。2011年、東京大学大学院総合文化研究科博士取得。翰林大学生死学研究所研究教授を経て、現在、高麗大学民族文化研究院研究教授。専門は近世国学思想。
論文:「近世国学における死後世界論の始まり――本居宣長の遺言書(근세일본 국학에서의 사후세계 담론의 시작)」(『日本思想』25号、韓国日本思想史学会、2013年12月)、「日本的霊性論と国学の生命観(일본적 영성론과 국학의 생명관)」(『東アジア古代学』33号、東アジア古代学会、2014年3月)。
著書(共著):『キーワードで読む源氏物語(키워드로 읽는 겐지 이야기)』(2013年)、『東アジアの文化表象Ⅰ:国家・民族・国土(동아시아의 문화표상 Ⅰ)』(2015年)、『東アジア古典学と漢字世界(동아시아 고전학과 한자세계)』(2016年)
訳書:『日本人の死生観を読む:明治武士道から「おくりびと」へ(일본인의 사생관을 읽다)』(島薗進著、2015年)、『良い死(좋은 죽음)』(共訳、立岩真也著、2015年)、『もののあはれ:日本的な美学理論の誕生(모노노아와레)』(共訳、本居宣長著、2016年)
その他多数。

上記内容は本書刊行時のものです。