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源氏物語の色 伊原 昭(著) - 笠間書院
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源氏物語の色 (ゲンジモノガタリノイロ) いろなきものの世界へ (イロナキモノノセカイヘ)

文芸
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発行:笠間書院
A5判
440ページ
上製
定価 4,800円+税
ISBN
978-4-305-70716-1   COPY
ISBN 13
9784305707161   COPY
ISBN 10h
4-305-70716-0   COPY
ISBN 10
4305707160   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年2月
書店発売日
登録日
2014年1月20日
最終更新日
2014年2月18日
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紹介

古典文学と色彩の関係を追い続けてきた著者の『源氏物語』色彩論集成。
絢爛とした美の世界とともに変容する、豊穣な色相の変遷を追う。

物語の深化の果てに辿り着いた究極の色とは?
それは色のない世界、すなわち、無彩色の思想ではないか。

【 古典文学と色彩の関係を追いつづけてきて、漸くうっすらと見えてきたものがある。自分なりの結論を検証してみようと思う。
 散文では『源氏物語』の豊饒な色の絢爛とした美の世界とともに、変容する色相の変遷がある。そして物語の深化の果てに辿りついた究極の色とは? それは色のない世界、すなわち、無彩色の思想といえる。
 平安時代に極まった『源氏物語』のネガティブなこの思想が時代を経て、享受され、昇華した律文がある。鎌倉から南北朝時代の『玉葉和歌集』『風雅和歌集』の色たち、いわゆる京極派の歌たちである。この京極派歌人たちは『源氏物語』を読んで読んで読み込んだ末、身につまされる受難の実体験から、自身の生か死か、極まった厳しい現実と『源氏物語』が重なり、やがて『宇治十帖』の宗教的命題へと両者は深化し、交錯してゆく。その情景なり哲学が一層凝縮されて、歌に表現されたもの、それはつまるところ、透明な色といっていいだろう。時代を隔てて、両作品は散文と律文ながら奇しくも色のない世界に到達する。】

目次

はしがき

Ⅰ 源氏物語の指向するもの―豊饒ないろから無彩色の世界へ

序にかえて―上代の人たちの色意識
王朝物語の色彩表現―『源氏物語』を中心に
 一 襲の発明
 二 多彩な衣装の配色と文芸
 三 「紫の上」の色―自然の色どり、人工の色、人のあり方を結実
『源氏物語』における色のモチーフ―〝末摘花〟の場合
 一 平安の色
 二 末摘花
 三 『源氏物語』における色の象徴
 四 “末摘花”という人物
 五 “末摘花”像の先蹤
 六 “末摘花”造型の意図
 七 『源氏物語』における色のモチーフ
 八 色そのものを名とする登場人物
『源氏物語』にみる女性の服色
 一 歌合にみられる服色
 二 左方が上位
 三 左方が赤系統・右方が青系統
 四 服装がその人の全体を表現
 五 光源氏をめぐる最も主要な女性方の評価
むらさき
『源氏物語』の色
 一 平安時代の色
 二 『源氏物語』の色
 三 光源氏の究極の白―黒の服色
このごろ摘み出だしたる花してはかなく染め出で給へる、いと、あらまほしき色したり。
『源氏物語』と色―その一端
 一 紫式部の自画像
 二 「人から」と服色
 三 一場面と色―「絵合」
 四 光源氏の無常観と服色
光源氏の一面―その服色の象徴するもの
 一 晴の服色を描かない源氏
 二 枕草子の華美な色彩表現
 三 地味で暗調の光源氏
 四 主人公光源氏、固有の服色
 五 超人的な美
 六 色を捨てた黒―白
 七 現世を超えた無彩色の世界
「山吹」について―宇治の中君の場合
 一 「山吹」は春季か
 二 不吉な色をとりつくろい、平常の色合に
宇治の大君
 一 色なきものの世界
 二 薫からみた宇治の大君
 三 薫―宗教と一体渾然となった深層の美
 四 美は倫理よりも高い
『源氏物語』の美―死にかかわる描写をとおして
 一 文芸世界での死者―源氏物語以前
 二 文芸世界での死者―源氏物語以後
 三 諸作品の容貌 白―赤、黒―青色
『源氏物語』―「すさまじ」の対象をとおして
 一 紫式部は「すさまじ」に何を見出したのか
 二 和歌、散文における「すさまじ」の用例から
 三 「すさまじ」の意味の変遷
 四 源氏物語の特異な或る境地
『源氏物語』の指向するもの―色なきものの身にしみて
 一 正月の衣裳はそれぞれの人たちの個性を表わす
 二 冬の夜の澄める月、雪の光(り)―色なきものゝ身にしみて
 三 冬の月光と、白雪の光りあう夜景に美を
 四 『紫式部日記』は色を超えた白―無彩色の世界
 五 紫式部、理解されぬ孤独の魂―精神は中世に向かっていた
 六 無彩色の白一色を、無上の美として見出す

Ⅱ 色なきものを指向する世界―散文から律文へ[京極派和歌たち]

「にほふ」―京極派和歌の美的世界
「すゞし」“色彩の固有感情”とのかかわり―京極派の和歌をとおして
「すさまじ」―『玉葉』・『風雅』の一世界
薄明の桜―『玉葉集』・『風雅集』にみる
ともし火―『玉葉』・『風雅』の歌人の心

初出一覧
あとがき

著者プロフィール

伊原 昭  (イハラ アキ)  (

神奈川県鎌倉市に生まれる。
東京女子大学卒業、日本大学大学院文学研究科修了。国立国会図書館主査、和洋女子大学、梅光女学院大学教授を経て、現在、梅光学院大学名誉教 授。文学博士。
著書 『色彩と文学―古典和歌をしらべて―』(桜楓社出版 昭32)、『萬葉の色相』(塙書房 昭39)、『平安朝文学の色相―特に散文作品 について ―』(笠間書院 昭42)、『色彩と文芸美―古典における―』(笠間書院 昭46)、『日本文学色彩用語集成―中世―』(笠間書院  昭50、風 俗史学会第一回「野口眞造記念染色研究奨励金」受賞)、『日本文学色彩用語集成―中古―』(笠間書院 昭52、風俗史学会第六回「江馬 賞」受賞)、 『古典文学における色彩』(笠間書院 昭54)、『日本文学色彩用語集成―上代一―』(笠間書院 昭55)、『平安朝の文学と色彩』(中 央公論社 昭 57)、『日本文学色彩用語集成―上代二―』(笠間書院 昭61)、『万葉の色―その背景をさぐる―』(笠間書院 平元)、『文学に みる日本の 色』(朝日新聞社 平6)、『王朝の色と美』(笠間書院 平11)、『日本文学色彩用語集成―近世―』(笠間書院 平18)、『増補版万 葉の色―そ の背景をさぐる―』(笠間書院 平22)、『色へのことばをのこしたい』(笠間書院 平23、「ビューティサイエンス学会賞」受賞)。
上記に明記した他に、以下の受賞がある。『日本文学色彩用語集成―上代一~近世―』(笠間書院 昭50~平18)全5巻に「エイボン芸術 賞」(平19 年度)受賞。『日本文学色彩用語集成―上代一~近世―』全5巻に「ビューティサイエンス学会賞」(平19年度)受賞。

上記内容は本書刊行時のものです。