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俊成卿女と宮内卿 近藤 香(著) - 笠間書院
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俊成卿女と宮内卿 (シュンゼイキョウジョトクナイキョウ)

文芸
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発行:笠間書院
四六判
122ページ
並製
定価 1,200円+税
ISBN
978-4-305-70650-8   COPY
ISBN 13
9784305706508   COPY
ISBN 10h
4-305-70650-4   COPY
ISBN 10
4305706504   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0092  
0:一般 0:単行本 92:日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2012年12月
書店発売日
登録日
2012年11月9日
最終更新日
2014年8月14日
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紹介

うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の、俊成卿女と宮内卿です。

情緒纏綿(てんめん)な空気をまとう俊成卿女
爽やかで理知的な歌を詠む宮内卿
新古今和歌集を彩る二人の才媛

新古今時代の女流のうち、後鳥羽院に見出されて才を誇った二人の女性歌人。伊勢や和泉式部などの女歌の伝統とは異なる題詠の世界に、新たな才能を開花させた歌人。俊成卿女は俊成の子八条院三条の娘だが俊成の養女に入り、歌人としてのデビューは遅かったものの纏綿たる恋の情緒を定家風の巧緻優艶な風にうたい、源師光の娘宮内卿は、若くして没する四年余ではあったが清新な自然詠や恋歌を切れのあるタッチでうたった。新古今和歌を彩る対立的な二人の個性を見比べたい。

目次

俊成卿女
01 梅の花あかぬ色香も昔にて同じ形見の春の夜の月
02 風かよふ寝覚めの袖の花の香にかをる枕の春の夜の夢
03 恨みずや憂世を花の厭ひつつ誘ふ風あらばと思ひけるをば
04 橘の匂ふあたりの転た寝は夢も昔の袖の香ぞする
05 大荒木の森の木の間を洩りかねて人頼めなる秋の夜の月
06 理の秋には敢へぬ涙かな月の桂も変はる光に
07 千々の秋の光りをかけて和歌の浦の玉藻になびく有明の月
08 里の名の秋に忘れぬ月影に人やは辛き更級の山
09 隔てゆく世々の面影かき暗し雪と降りぬる年の暮かな
10 今はさは憂き世の嵯峨の野辺をこそ露消えはてし跡と偲ばめ
11 古里も秋は夕べを形見にて風のみ送る小野の篠原
12 葛の葉の恨みにかえる夢の世を忘れ難みの野辺の秋風
13 下燃えに思ひ消えなむ煙だに跡なき雲の果てぞ悲しき
14 面影の霞める月ぞ宿りける春や昔の袖の涙に
15 降りにけり時雨は袖に秋かけて言ひしばかりを待つとせし間に
16 通ひ来し宿の道芝枯れ枯れに跡なき霜の結ぼほれつつ
17 夢かとよ見し面影も契りしも忘れずながら現ならねば
18 人なみに君忘れずは和歌の浦の入江の藻屑数ならずとも
19 巡り逢はむわが予言の命だに心にかなふ春の暮かは
20 払ひかね曇るも悲し空の月つもれば老いの秋の涙に
21 流れての名をさへ忍ぶ思ひ川逢はでも消えね瀬々の泡沫
22 暮れなばと頼めてもなほ朝露の置き敢へぬ床に消えぬべきかな
23 干しわびぬ海人の苅藻に塩たれて我から濡るる袖の浦波
24 馴れ馴れて秋に扇をおく露の色も恨めし寝屋の月影
25 眺むればわが身一つのあらぬ世に昔に似たる春の夜の月
26 亡き数に身も背く世の言の葉に残る浮き名のまたや止まらん

宮内卿
01 かき暗れしなほ古里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり
02 薄く濃き野辺の緑の若草に跡まで見ゆる雪のむら消え
03 花さそふ比良の山風吹きにけり漕ぎ行く舟の跡見ゆるまで
04 逢坂や梢の花を吹くからに嵐ぞ霞む関の杉むら
05 柴の戸にさすや日影の名残りなく春暮れかかる山の端の雲
06 軒白き月の光に山かげの闇をしたひて行く蛍かな
07 片枝さす麻生の浦梨初秋になりもならずも風ぞ身にしむ
08 思ふことさしてそれとはなきものを秋の夕べを心にぞ問ふ
09 心ある雄島の海人の袂かな月宿れとは濡れぬものから
10 月をなほ待つらむものか村雨の晴れ行く雲の末の里人
11 まどろまで眺めよとての遊びかな麻の狭衣月に打つ声
12 霜を待つ籬の菊の宵の間に置きまよふ色は山の端の月
13 龍田山嵐や峰に弱るらん渡らぬ水も錦絶えけり
14 唐錦秋の形見や龍田山散りあへぬ枝に嵐ふくなり
15 淋しさを訪ひ来ぬ人の心まであらはれ初むる雪の曙
16 わが恋は人知らぬ間の菖蒲草あやめぬ程ぞ音をも忍びし
17 落ちつもる涙の露は小夜衣冴えても袖に見えけるものを
18 聞くやいかに上の空なる風だにも松に音する習ひありとは
19 さてもまた慰むやとて眺むべきそなたの空も薄霞みつつ
20 津の国の御津とな言ひそ山城の訪はぬ辛さは身にあまるとも
21 問へかしな時雨るる袖の色に出でて人の心の秋になる身を
22 竹の葉に風吹き弱る夕暮の物のあはれは秋としもなし
23 時雨つる木の下風に音づれて山路の末に雲ぞなりゆく
24 杣人の取らぬ真木さへ流るなり丹生の川瀬の五月雨のころ
歌人略伝
略年譜
解説「新古今集の二人の才媛」(近藤香)
読書案内
【付録エッセイ】夏・宮内卿(丸谷才一)

著者プロフィール

近藤 香  (コンドウ コウ)  (

1970年ハンガリー・ブダペスト生。立正大学文学部国文学科卒業。同大学院文学研究科満期退学。現在 龍谷大学仏教文化研究所所属。主要著書・論文『貫之集・土佐日記全歌各句索引』(共編、新典社、1995年)「『千五百番歌合』の源通具の和歌―他文献への採録をめぐって―」(「立正大学大学院日本語・日本文学研究」2004年)

上記内容は本書刊行時のものです。