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鴨長明と寂蓮 小林一彦(著) - 笠間書院
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鴨長明と寂蓮 (カモノチョウメイトジャクレン)

文芸
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発行:笠間書院
四六判
126ページ
並製
定価 1,200円+税
ISBN
978-4-305-70649-2   COPY
ISBN 13
9784305706492   COPY
ISBN 10h
4-305-70649-0   COPY
ISBN 10
4305706490   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0092  
0:一般 0:単行本 92:日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2012年9月
書店発売日
登録日
2012年8月13日
最終更新日
2012年9月7日
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紹介

うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の、鴨長明と寂蓮です。

内乱、天変地異、人災、飢饉...
暗澹たる時代だからこそ、
彼らはことばを磨きつくして、
自然のうつろいや人生の苦悩を、
美しくうたわずにはいられなかったのである。

鴨長明と寂蓮(かものちょうめいとじゃくれん)
新古今時代にあって、一世を風靡した個性豊かな二名の歌人。長明は言わずと知れた『方丈記』の作者である。富裕な少年時代を送るが、父の死で零落、青春の挫折を味わう。失恋や自殺をほのめかした歌が時をこえて現代に輝きを放つ。寂蓮は俊成の甥で、世を厭い若くして出家した自由人。ディレッタント風の和歌に才を発揮した。今様などの摂取にも鋭敏、狂歌も巧みで、後鳥羽院が「真実の堪能」と評した名手である。時代を駆け抜けた二人の芸術家、その魅力を読みとく。

目次

鴨長明
01 ほととぎす鳴くひと声や榊とる枝にとまらぬ手向けなるらむ
02 春しあれば今年も花は咲きにけり散るを惜しみし人はいづらは
03 桜ゆゑ片岡山に臥せる身も思ひし解けばあはれ親なし
04 住みわびぬいざさは越えむ死出の山さてだに親の跡をふむべく
05 する墨をもどき顔にも洗ふかな書くかひなしと涙もや知る
06 待てしばしもらしそめても身の程を知るやと問はばいかが答へむ
07 憂き身には絶えぬ思ひに面なれてものや思ふと問ふ人もなし
08 忍ばむと思ひしものを夕ぐれの風のけしきにつひに負けぬる
09 行く水に雲ゐの雁のかげみれば数かきとむる心地こそすれ
10 そむくべき憂き世に迷ふ心かな子を思ふ道はあはれなりけり
11 花ゆゑに通ひしものを吉野山こころぼそくも思ひたつかな
12 うちはらひ人通ひけり浅茅原ねたしや今夜露のこぼるる
13 よそにのみ並ぶる袖のぬるばかり涙よとこの浦づたひせよ
14 頼めつつ妹を待つまに月影を惜しまで山の端にぞかけつる
15 杉の板を仮りにうち葺く寝屋の上にたぢろくばかり霰ふるなり
16 見ればまづいとど涙ぞもろかづらいかに契りてかけ離れけむ
17 あれば厭ふそむけば慕ふ数ならぬ身と心との仲ぞゆかしき
18 いかにせむつひの煙の末ならで立ちのぼるべき道もなき身を
19 石川や瀬見の小川の清ければ月も流れをたづねてぞすむ
20 日を経つついとどますほの花すすき袂ゆたげに人まねくらし
21 過ぎがてに思はぬたびは梨壺のふるきなさけにすむ心かな
22 秋風のいたりいたらぬ袖はあらじただ我からの露の夕暮
23 ながむれば千々に物おもふ月にまたわが身ひとつの峰の松風
24 夜もすがらひとり深山の槙の葉に曇るも澄める有明の月
25 かくしつつ峰の嵐の音のみやつひにわが身を離れざるべき
26 沈みにきいまさら和歌の浦波に寄らばやよせむ海人の捨舟
27 右の手もその面影もかはりぬるわれをばしるや御手洗の神
28 草も木も靡きし秋の霜きえてむなしき苔をはらふ山風

寂蓮
01 思ひ出づる事だにもなくは大かたの物さびしかる宿と見てまし
02 数ならぬ身はなきものになしはてつ誰がためにかは世をもうらみむ
03 いにしへの名残もかなし立田山夜半に思ひし宿のけしきは
04 降りそむる今朝だに人の待たれつる深山の里の雪の夕暮
05 尾上より門田にかよふ秋風に稲葉をわたるさを鹿の声
06 津の国の生田の川に鳥も居ば身をかぎりとや思ひなりなむ
07 言ひおきし心もしるし円かなる位の山に澄める月影
08 和らぐる光や空に満ちぬらむ雲にわけいる千木の片そぎ
09 いかばかり花咲きぬらむ吉野山霞にあまる峰の白雲
10 越えて来し宇津の山路にはふ蔦も今日や時雨に色は付くらむ
11 さびしさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮
12 憂き身には犀の生き角得てしかな袖の涙も遠ざかるやと
13 牛の子に踏まるな庭のかたつぶり角あればとて身をばたのみそ
14 鵜飼舟たか瀬さしこす程なれやむすぼほれゆくかがり火の影
15 思ひあれば袖に蛍をつつみても言はばやものを問ふ人はなし
16 深き夜の窓うつ雨に音せぬは憂き世を軒のしのぶなりけり
17 もの思ふ袖より露やならひけむ秋風吹けば耐へぬ物とは
18 暮れて行く春のみなとは知らねども霞におつる宇治の柴舟
19 むら雨の露もまだひぬ槙の葉に霧立ちのぼる秋の夕暮
20 うらみわび待たじ今はの身なれども思ひなれにし夕暮の空
21 葛城や高間の桜咲きにけり立田のおくにかかる白雲
22 里はあれぬむなしき床のあたりまで身はならはしの秋風ぞ吹く
歌人略伝
略年譜
解説「激動・争乱の時代の芸術至上主義」(小林一彦)
読書案内
【付録エッセイ】あはれ無益の事かな(抄)(堀田善衞)

著者プロフィール

小林一彦  (コバヤシカズヒコ)  (

1960年栃木県生。慶應義塾大学大学院博士課程単位取得。現在 京都産業大学文化学部教授。主要著書『続拾遺和歌集』(明治書院)『歌論歌学集成七』(「無名抄」を担当。三弥井書店・共著)『前長門守時朝入京田舎打聞集全釈』(風間書房・共著)『詠歌一躰 影印二種翻刻一種並びに三本校異』(和泉書院・共著)

上記内容は本書刊行時のものです。