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記紀万葉語の研究
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2011年8月
- 書店発売日
- 2011年8月22日
- 登録日
- 2011年8月5日
- 最終更新日
- 2015年2月4日
紹介
古事記や日本書記、万葉集に現れる上代語・万葉語の語彙や表現を、解釈の指摘変遷を辿りながら実証主義に基づき検討する。宮島達夫(国立国語研究所名誉所員)、鈴木泰(専修大学教授・東京大学名誉教授)各氏推薦。
宮島達夫(国立国語研究所名誉所員)「実証主義の模範ともいうべき水野先生の諸論文がこのような形でまとまったことを心から喜ぶ」/鈴木泰(専修大学教授・東京大学名誉教授)「古代語の研究への道案内として、上代語のみならず、古代の語学文学を研究する若い方々にも是非おすすめしたい一書である」
目次
●枕詞「あしひきの」三種について
上代特殊かなづかい/「あしひき」の問題点/「枕詞の詩学」/「あ・しひ・き」--「松反しひ」との関係--/「あ・しひ・き」の城/四字形式と家持/三字形式の「足日木」/二字形式の「足引」/「キ乙」の教えるもの
●記紀神武の歌謡「こき・しひ・ゑね。こき・たび・ゑね。」
●「ことさけば」「ことならば」「ことは」の歴史的展開
はじめに/奈良朝の「こと」/「ことならば」第一類/「ことならば」第二類/「ことならば」第三類/「ことならば」第四類/「ことならば」の新しい用例/『源氏物語』以前の「ことならば」と「ことは」/『源氏物語』の「ことならば」/『源氏物語』以後の「ことならば」/結び
●「かくばかり恋ひつつ有らずは」の「ずは」
橋本博士のズハ説とそれへの不満/年代別にしたズハ型の歌/橋本博士の未定稿「上代の国語に於ける一種のズハについて」と大岩正仲論文/仮定条件法としての理解のさまざま/現在の拒否「ズ」と将来に宣言される拒否「ジ」/仮定条件法のさまざまなタイプ/ズハ型の歌の時代区分/主な歌の口語訳例
●万葉語「しなふ」とその周辺
●万葉語への追跡
知草/巻一の難訓歌ーなさやぎのー/いつかしが本/(付)箸墓/百岐年 三野之国之/邑礼左変
●万葉語の終止形と連体形の同義性
「玉久世」/「我袖もちて隠まむを」「不服て」/「世蝶」/井堤の歌への若干の注ー作者類別・年代順萬葉集によるー
●記紀における「ウル」と「タク」など
「うれむぞ」の歌二首/「海幸山幸」のウル鉤/ウレムとウル/山田孝雄氏「うれ」の考/ウレシとウレフ・ウレタム/「悠々」と「タイダイシ」と/原田芳起氏のウタテ説と大野晋氏/タイダイシ説の検討/タギタギシとタク/タクの変形・種々相/料理のコースを選定する「タク」/神代記「うじたかれころろぎて」/たきそなひ(手寸十名相)/「たく」から「たいだいし」へ
●方言・地形にも注目
「たき」と「たぎち」/髪タクとタキ・タギツ/「さなづら」から「さのかた」へ/「さのかた」の特徴/しな立つ筑摩左野方/「しなだつ」/息長の越の小菅/生ひをゐをれる川藻/ヲヲルと明きらかな歌/乎為ルの「為」誤字説など/ヲヲルと確かに訓む例とその意味/鴬のヲヲリ/「ヲヲル」とラホ日辞典また島根方言
●橋本博士の「とほしろし」論など
登保・志呂之(とほ・しろし)/とほしろし(雄大)説への疑い/橋本説への吟味の必要/「とほし」と「しろし」/「とほし」(浸)と「しろし」(●)の合成/しら遠ふ小新田山
●連語にこめられた心情
ニヨブかニヨフか/懐風藻と岡山方言/サマヨフとサマヨフ/接尾辞「~ヨフ」の付く四動詞/連語論から見た日本語動詞のありかた/人に対する働きかけの連語/よびかけの結びつき/「のどよふ」は「喉喚ぶ」か/遣新羅使人の「ヨビヨセテ」の歌/「喚・呼」の意の「ヨブ」/付「今は王良まし木積来ずとも」―「たとひ」と「たとへ」―/ノミト(甲)とノミト(乙)/外・門・戸・処(ト甲)と跡(ト乙)/斉明紀「射ゆ鹿猪をつなぐ川上(乙)の」/生けるともなし/「ノド・ヨブ」と「ニ・ヨブ」/「ニ・ヨブ」の場面いろいろー殉死者の血泣ー/頸を切られつつ呻ぶ仏像/難船・孤立・病苦/人を食う鬼、人の血をしぼる長者の世界/強盗団に縛り上げられた仲だちの侍/付 宇治拾遺の再話/平家「緒環」の女と蛇神/徒然草、酒の害による「によび伏し」/詩歌苦吟の「によび」/ラポ日辞典の日本語「ニヨウ」/「け・によばず来ぬ」の「け」/万葉の「ニ・フブカ・ニ」/名義抄のフブク/「ニフブク」「ニフブニ」/「フブキ」の語史と辞書/「斑雑毛」と「ふりふぶく」/私家集に見る「ふぶき」/フブキの由来
●上代語における「ヘ甲」と「ヘ乙」
表は勿さかり/「表」の字を用いたわけ/「辺・方」(へ甲)と方角/特定の「床の辺」/「戸・経」(へ乙)の綜合的非特定的特徴/「焼大刀の隔(甲)」などの歌/「剣大刀磨ぎし心」と「焼刀の利心」/焼刀と剣大刀と/湯原●王と焼大刀の歌/湯原王と「娘子」との贈答歌/「男子名は古日……」の歌/「立ち阿射里われ乞ひ祈めど」/「かたち都久保里」/「楫つくめ」/「握飯 筑波=筑●」の論―付「鹿島の神」―/「つくめ、むすぶと夜ぞふけにける」/訓点語「アフツクム」の論/図書寮本名義抄その他から/『音訓篇立』(汲古書院)の「覯マル」/覯=遘=構=●について/人妻ゆゑに/「殊更」(此ト改メテ)と「ことならば」/「あつらへ」の「なむ」/万葉の「あづきなく」/遊仙窟の「アヂキナシ」/和泉式部の歌の「あぢきなく」/文選の訓の「あぢきなし」/「たづきなし」と「あづきなし」/「あぢきなし」の主情性・客観性/「嘱」なしと「四端」/枕草子・源氏物語の「あぢきなし」/世の中、あぢきなし
●「みつれ」と「うたかた」など
「みつれにみつれ」と契沖説・『注釈』説/「みつれ」の意味と活用/● (みつる)と三礼(みつれ)/「みつれ」の歌の解釈/終止形「みつる」の傍証/末 わわらばに置ける白露/山田孝雄氏「ひさかた考」/「うたかたも」と詩経「素冠」/遊仙窟の「うたかたも」/万葉集の「うたかたも」/万葉の「うたかた わが背」/「うたかた花」「うたかた人」―古今六帖と源氏―/「うたかたも」論のさまざま/「うつたへに」と万葉集/平安期の「うつたへに」/結びー「不必」の訓―/雨莫(な)零行年(そね)
●枕詞からの問題語の究明
枕詞の問題語についてー清音と濁音―/「玉くしげ芦毛」/「衣袖あしげの馬」/「夏麻引く海上瀉」/「うなかみ」と夏麻
/「うなひ」と「神奈備」―ヒ甲とビ乙―/「夏麻引くうなひを差して」/ウナヰ・小放り・うなひ/ウナヒの意味/童の髪(ウナヰ)から成人の髪(ハナリ)へ/「よぢ子」から「うなひ」へ/卯名手の森/ウミとウナとの交渉/紀歌謡120斉明の歌「ウナ・クダリ」/同上歌謡についての土橋説/神武の歌の末句「ヱネ」と「ウウ」/「ナミ」(波)と「ナサ」(波驚き)/「渡つ海」の潮汐・海流とその神霊視/「ウナヅ」「ウナサカ」/ウナとウミの交替説/「夏麻引く命なづみて」/「なづみて」の例歌/「息の緒に」/「命に向かふ」/「あな気衝かし」/「憂ひは緒を成す」/「気の緒に」の例歌―第二期―/「気の緒に」の例歌―第三期―/「気の緒に」の例歌―第四期―/冒頭の歌「刈りこもの心もしのに」(3255)―今までの解釈―/「しなふ」と乱ル・乱フ・繽紛/旧来の説への山崎氏の批判をめぐって/「心モ乱レテ」説の検証
●「くすむ」の深意
初出一覧
あとがきにかえて
上記内容は本書刊行時のものです。