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心理療法の常識 定塚 甫(著/文) - 社会批評社
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心理療法の常識 (シンリリョウホウノジョウシキ) シンリリョウホウシノジッセンマニュアル

社会科学
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発行:社会批評社
四六判
並製
定価 2,800円+税
ISBN
978-4-916117-85-4   COPY
ISBN 13
9784916117854   COPY
ISBN 10h
4-916117-85-9   COPY
ISBN 10
4916117859   COPY
出版者記号
916117   COPY
Cコード
C0011  
0:一般 0:単行本 11:心理(学)
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2009年12月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

「心の病」の本格的な治療法として心理療法・心理カウンセリングの必要性が求められている今日、本書は、基本的かつ実践的な心理療法のマニュアル。また、その療法に必要な具体的心理学の基礎知識も叙述。心理療法士を目指す人々だけでなく、医師・看護士などの医療関係者にも必要な一冊。

目次

第1部 心理療法の常識  目 次
はじめに 12
第1章 インテーク(初回)面接における常識 17
  第1節 来談者を迎える 18
   (1) 初対面の挨拶と対応 19
   (2) 来談者へのねぎらい 19
   (3) 心理面接室への案内 19
   (4) 心理面接室への入室 20
  第2節 来談者を受け止める 22
   (1) 来談者の着席より 22
   (2) 初回面接の流れを作る 23
   (3) 来談者を受け止める 25
   (4) 心理療法士が受け止める内容 25


第2章 2回目以降の心理療法の常識 37
  第1節 2回目以降の心理療法 37
   (1) 2回目以降の来談者と心理療法士 37
   (2) 再来時の基本的な対応 39
   (3) 2回目の心理療法への心構え 41
  第2節 3回目以降の心理療法 48

第3章 心理療法の流れと心理療法士の常識 51 
  第1節 心理療法の流れとは 51
  第2節 心理療法の流れを作るための常識 55
   (1) 時間という常識 55
   (2) 心理療法の時間の流れ 57
   (3) 心理療法の流れを妨げるもの 62

第4章 心理療法士が交代するとき 91 
  第1節 心理療法士の交代の要因 91
   (1) 心理療法士としての基本的常識 91
   (2) 心理療法士の退職事例 93
  第2節 心理療法士としての習得課題 106
   (1) 心理療法士としての身体医学の学習 106
   (2) 来談者と心理療法士の不一致 114

第5章 心理療法士のプライヴァシー 121
  第1節 心理療法士の心の防衛 121
  第2節 心理療法士の私生活の防衛 125
  第3節 心理療法士の引き継ぎにおける自己防衛 131
  第4節 心理療法士と医師のプライヴァシーの違い 134

第6章 心理療法士の学習態度 141
  第1節 心理療法士の学習期間について 141 
  第2節 心理療法士は現場で学ぶ 146
   (1) 心理テスト 146
   (2) 面接での学習 150
   (3) 遊戯療法 156


第7章 心理学は変化する 163
  第1節 発達心理学の変化 163
  第2節 今日の発達心理学 170
  第3節 非常識が常識になった結果 172

結 語 心理療法士の任務 176

第2部 心理療法の常識  目 次
はじめに 182
第1章 カウンセリングと来談者中心療法 187
  第1節 来談者中心療法の常識的概念 187
  第2節 カウンセリングとは 188
  第3節 カウンセリングの技法 189

第2章 来談者中心療法 195
  第1節 非指示的療法 195
  第2節 来談者中心療法 195
  第3節 人間中心アプローチ 197
   (1) バージニア・アクスライン 197
   (2) 遊戯療法 198
   (3) 遊戯療法の発展 199
   (4) ユージン・ジェンドリン 204 
第3章 精神分析と心理療法 205
  第1節 精神分析の基礎知識 205
   (1) 思春期の不安を訴える16歳の少女A 206
   (2) フロイトの精神分析学 212
   (3) フロイトの治療過程で生じるとされる現象 214
   (4) フロイト治療の技法 216
   (5) 精神分析学派 217
   (6) 分析心理学派 218
   (7) 分析心理学 218
  第2節 ユング心理学の基本概念 219
   (1) 連想実験とコンプレックス概念 219
   (2) 魂の意味と分析心理学の成立 226
   (3) 精神分裂病における意味の発見 227
   (4) 無意識の研究とフロイトとの交流 228
   (5) 目標喪失と新しい理論の構成 230
   (6) 分析心理学の成立 231
   (7) ユング心理学の影響 232
   (8) リストカット 233

第4章 現存在分析と心理療法 235
  第1節 現存在分析の基本理念 235
  第2節 現存在分析の技法 236
  第3節 現存在分析の具体例 239
  第4節 現存在分析についての考察 246

第5章 心理療法の総論 251
  第1節 心理療法の技法と基本理念 251
   (1) Aに分類される伝達・交流形態→治療法 257
   (2) Bに分類される伝達・交流形態→治療法 258
   (3) Cに分類される伝達・交流形態→治療法 259
   (4) Dに分類される伝達・交流形態→治療法 260
  第2節 認知行動療法 260


第6章 芸術療法 263 
  第1節 芸術療法の目的 263
  第2節 芸術療法の種類 264
   (1) 絵画療法 265
   (2) 音楽療法 276
   (3) その他の芸術療法 298 

第7章 箱庭療法 319
  第1節 箱庭療法の歴史 319
  第2節 箱庭療法の実践 321
   (1) 揃えるべき道具 321
   (2) 箱庭療法の実践にあたって 324
   (3) 箱庭療法の分析 328
   (4) 箱庭療法不適応及び禁忌 333

前書きなど

 心理療法といえば、ある種の特別な技法を修得しなければならない療法と考える向きも多い。しかしながら、この「療法」という名称が付いているゆえに、特殊技法として取り扱われるのであろうが、この療法というのは、ただの「人と人との付き合い方」を医療機関であったり、心理相談室であったり、いわば臨床と呼ばれる場面で、「常識(Common sense)」に基づいて、来談者への「心の援助」を行う行為である。
 それゆえ、心理療法というのは、必ず「常識」という平均的思考に基づいて、心の援助がなされるため、これを担う人間(時には、動物もこれを担う。アニマル・セラピーという)は、人間社会における最低限の「常識」というものに目を向けていなければならないと思われる。しかし、この「常識」という最も規定困難な代物に、全ての身を任せることを強調するわけではない。これを強調するあまり、来談者にこの規定困難な私的な「常識」を押し付けるなどという愚行を行うのは問題外である。
 それでは、一体、何ゆえ「常識」などというきわめて規定し難いものを習得しなければならないのだろうか。答えは簡単である。来談者が、何らかの援助を求めているゆえ、これを受け止める心理療法士という存在は、何がしかの「基準」になるものを持ち合わせていなければ、混乱した来談者と混乱した心理療法士との間では、さらに混乱をきたすということである。それゆえ、是が非でも来談者を受け止める心理療法士は、何がしかの「常識」という得体の知れない基準を念頭に持つ必要が出てくる。
 この「常識」という概念については、既に、木村敏が著書『異常の構造』で詳細に述べているので、ここで繰り返すこともあるまい。彼は、この「常識」という概念を全く正反対の「異常」という概念から論じ、規定している。簡略に記すなら、この「異常」というのは、「平均的概念から著しく除外される状況」として規定している。Common senseから、著しく離脱した状況とも表現される。
 簡略に表現するなら、来談者は、さまざまな基準の「常識」の世界に生活している人たちである。そして、彼らは、自らの「常識」を極端に言うなら、「世界の常識である」と信じていることが少なからずみられる。もし、彼らの常識なる状況と、心理療法士の持つ常識とがぶつかり合った場合、初回から別離ということになりかねない。
 それでありながら、心理療法士に求められる「常識」というのは、一体、いかなるものであろうかということを然るべき概念として持ち合わせなければならないのが、心理療法の基本的な取り組みである。
 ところで、ここで誤解を招きやすいのが、「常識」と「保守」である。全くディメンジョンの異なる「保守」と、ここで提示していく「常識」との混同は、厳に避けて学ばれんことを切に願う次第である。
 本書では、この「常識」という当たり前であり、当たり前とはならない得体の知れぬ概念を基礎に、心理療法の基本を提示していく。
 心理療法士たるものは、このような、あたかも哲学のごとき理念を維持しながら、来談者という人間の心を扱うべく心理療法に取り組むのを生業とする。
 心理療法士の一言により、来談者は生きていくことも、死んでいくこともあり得る。心理療法士は、ただただ「常識」を守りつつ、来談者の心の安寧を願うのを常とすべきであろう。
 多数見られる「心理療法」についての書籍の中で、著者は幸いにして近遠を問わず、木村敏、中井久夫、メダルト・ボス、パウライコフ、ドラ・カルフなどの高名な諸氏から、実践的に学ぶ機会を積んでいる。しかし今日、これらの諸氏から体験した心理療法とは、あまりにも遠い見解が、あたかも常識のごとく多く見られるため、あえてこの度、1冊のマニュアルを書き記す決心をせざるを得なかった。
 今日、「受容」「支持」そして、「保証」という、基本的・常識的な心理療法技法が通用しない社会になっていることは、現場の心理療法士であれば、十二分に受け止めているはずである(「傾聴」「受容」「保証」という考え方もあり、著者はこれを否定するものではない)。
 そのような社会にあって、未だ確固とした法的なバックアップを与えられないまま、心理療法士に求められる業務は増える一方という中で、1人でも多くの心理療法士が社会の要請に従い、病める人たちへの援助をされんことを願いながら、この執筆に及んでいる。他方では、増えすぎる心理療法士という問題も出てきている。
 本書は、いわば「いつでも潰しのきく心理療法士」、すなわち、いずれの機関であっても、然るべき心理療法士として生きていけるために書かれた。いつの時代にあっても、どのような場面に出会っても、「役に立つマニュアル」とならんことを願ってやまない。
 なお、医師不足の今日において、特に心療内科、精神科医師の補完物として心理療法士を代替として雇用しようとする動きがある。しかし、心理療法士のアイデンティティを考えるとき、決して、医師の補完物ではなく、ティームの一員を構成する重要な役割を持つ業務である。したがって、本書を読まれた人々が、そのような心理療法士となられることを願ってやまない。
                                     著 者

版元から一言

「心の病」の本格的な治療法として心理療法・心理カウンセリングの必要性が求められている今日、基本的かつ実践的心理療法のマニュアルが求められている。また、その療法に必要な心理学の基礎知識も求められる。この本は、心理療法士を目指す人々だけでなく、医師・看護士などの医療関係者にも読んでほしい一冊だ。

著者プロフィール

定塚 甫  (ジョウヅカハジメ)  (著/文

 精神科・心療内科医師。1946年富山県高岡市にて出生。県立高岡高校、国立金沢大学医学部卒、名古屋市立大学精神医学教室にて精神病理学を学び、浜松三方原病院精神科医長、国立豊橋病院神経科医長・心療内科医員、県立保育大学講師、日本電電公社名古屋中央健康管理所神経科部長、カリフォルニア大アーヴァイン校客員講師を歴任し、心療センター矢作川病院副院長を経て、1994年より定塚メンタルクリニック院長。
公的資格:精神保健福祉法指定医、心身医学指導医、精神医学指導医。専門は精神神経免疫病理学、児童精神医学、社会精神医学、産業精神医学。
 著書に『サラリーマンのためのメンタルヘルス入門』(NTT出版)、『日本の医者は癌と闘えるのか』『やぶ医者の見分け方』(郁朋社)、『人格障害』『性科学』『医者になる前に読む本』(三一書房)、『医は仁術か算術か』『凍てつく閉鎖病棟』(社会批評社)他多数。
“Psychoneuroimmunopathology”(Maruzen Nagoya)“Introduction to Psychoneuroimmunopathology and Clinical practice”“Psychoneuroimmunopathology and Daseinsanalysis”“How to fall in love”“From the Conceptionto theAdolescent”(Biblio-Book Israel) 論文:日・英文専門論文多数

定塚江美子  (ジョウヅカエミコ)  (著/文

 定塚メンタルクリニック、JMCストレス医学研究所長。医療心理士、看護師 1955年新潟県新井市に生まれ。国立豊橋看護学校卒、慶応義塾大学文学部卒。京都市立病院、国立豊橋病院、西尾市立看護学校講師歴任。専門・心理療法、芸術療法。その他、定塚甫の著書の編集。

上記内容は本書刊行時のものです。