
発行:オフィスエム この版元の本一覧
A5判 206ページ 並製
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-904570-00-5 C0055
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年03月 書店発売日:2009年04月06日
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住み飽きない家とはどういう家か。設計職人が住まい手とともに汗をながした家づくりとその後の家族のライフスタイルを紹介。家は住む人と共に育ってゆく。
藤森照信、降幡廣信、土本俊和との建築をめぐる興味深い対談。大工や左官など職人たちの横顔も紹介。
目次
第一章 ふるさとと建築
地域に還していく建築
[対談] ふるさとと建築 お相手 藤森照信
◆20代で建てた田園の中の民家の香りがする住まい 2005年新築 野澤邸
◆ぶどう畑のまん中に建つ、三世代同居の平成の民家 2004年新築 林・二宮邸
◆本棟づくりの古民家を移築再生して二世帯住宅に 2007年移築再生 吉原民家
◆終のすみかをふるさとに、今こそ大切な本当の民家づくり 2008年新築 【古桑庵】佐藤邸
◆ふるさとの先輩の住まいは土蔵造りの「平成の民家」 1994年新築 藤村邸
◆大正ロマンのまち並みが蘇る『母と子のハイカラ写真館』の再生 2008年再生改築 白鳥邸
〈まちづくりのお手伝い〉
◎松本市/ナワテ通り
◎松本市/大正ロマンのまち 上土
◎松本市/蔵のあるまち 中町
第二章 民家と文化
民家のなかに未来の答えがある
[対談] 民家と文化 お相手 降幡廣信
◆時代を経て思いを受け継ぐ二百年民家 2006年再生 宮坂民家
◆里山に生まれ風雪に耐え二百年、価値を増し生き続ける再生民家 2001年再生 小林民家
◆築80年の養蚕農家が現代の民家として融合 1997年再生増築 百瀬民家
◆築百年の町家を欧風に移築再生。犬と姉妹と母の暮らす家 2006年移築再生 飯島民家
◆長野市の郊外に建つ伝統的りんご農家の再生 2007年再生 森山民家
◆安曇野の里山に建つ土壁伝統工法の現代民家 2008年新築 曽根原邸
〈民家再生のプロセス〉
第三章 人のこころを育てる建築
正しく存在しつづける建築を
[対談] 人のこころを育てる建築 土本俊和
◆遠くに北アルプス、川を眼下に、共につくった温もりハウス
◆家族3人が楽しく暮らす和モダンな洋風民家
◆花や緑をまとい、高台に建つレンガと出窓の現代洋風を
◆日本文化の伝統をくむ数寄屋の住まい
〈憩う 迎える 包み込む 建物たち〉
◎鹿教湯温泉/三水館 ◎美ヶ原温泉/酒井屋旅館 ◎松本市/グループホーム ハーモニー
家づくりを支える職人の手仕事
◎工務店 ◎大工 ◎左官 ◎建具 ◎塗装 ◎家具 ◎造園
住まい手が語る家づくり
◎栗田照美さん ◎瀧澤 功さん
かわかみ建築設計室 紹介
前書きなど
「家のあるべきかたちをもとめて」
学業を終えて信州に戻り、設計を生業として30年余りが過ぎました。その間、住まいを中心に約300軒の建築を造ってきました。30年前、戻った当時は右肩上りの高度経済成長期で、質より量の時代でした。家のデザインもカラフルで、思い思いの新しい「夢の住まい」が村や町にどんどん出現しました。半永久的・メンテナンスフリー・軽薄短小・消費が美徳……などという言葉とともにライフスタイルも激変して、全て新しくすることが正統とされていました。 21世紀に入る直前、流れに急ブレーキがかかり成長は停止むしろ下降し、人口減や資源の枯渇など、地球環境と人間の経済発展のバランスの限界を目の当たりにすることになりました。それから10年、今や世界の経済がさらに急降下しています。
設計という仕事は、「時代」という大きなうねりのなかで海に浮かぶ小船のようなものです。時代が求めるもの、その時代の空気、経済力など、これほど影響を受けるものはないかもしれません。しかし私は、いつの時代であっても本来あるべき「住まいのかたち」はあるはずだ、という気持ちを持ち続けてきました。その、あるべきかたちを求めて先人が残してくれた足跡を見ているうちに、おぼろげに答えのようなものが見えてきました。時代に流されることなく貫いている3つのことが確信できたのです。それは、地域には風土と折り合う独特なかたちがある、地域には手頃に使える素晴らしい材料がある、地域にはその土地に根を張って生きる人と技がある、ということでした。
住まうということは、生きていくということです。毎日の暮らしを営むことです。その地ならではの自然環境や地域文化のなかに身を置いて住まうには、知恵や工夫が必要です。住まうことを通して未来への対応力・想像力が育つのです。耐震、バリアフリー、省エネなどの機能はもちろん大切ですが、それはあくまで手段であって住まうことの目的ではないでしょう。本来の家づくりとは、豊かにしっかり末永く暮らすためにこそあるべきだと思います。
今まで関わった家は、それぞれの住まい手の個性や生き方・暮らし方を反映して、ひとつとして同じものはありません。造った時に、そう感じてきたのですが、引き渡した後も、その家族の生活に合わせて、ますます個性的で魅力的になっているということを知りました。家は生きている……。無垢の赤ん坊が、いろいろな環境のなかで人格を育てていくように、造る行為とその後の使う行為があってはじめて魅力的な個性が作られ続けるのだと思い知らされました。
家づくりの仕事を通して出会った家族たちには、それぞれに語り尽くせないほどの物語があり、学びがあります。先輩や職人に学び、施主と共に汗を流した家づくりとその後の家族の素晴らしい物語を紹介しようと思います。
版元から一言
信州松本で根を張り家をつくり続けて30年。師匠・降幡廣信に民家を学び、藤森照信と焼き杉ハウスをつくり、土本俊和と信州大学で学生を育てながら、とことん地元にこだわった建築をつくり続ける川上恵一。長く親しまれる家とは何なのか。川上の作品はもちろん、施主・職人・スタッフも参加して作り上げた集大成。
著者プロフィール
川上 恵一(カワカミ ケイイチ)
952年長野県塩尻市生まれ。
1975年早稲田大学理工学部建築学科卒業。
北野建設(株)・(株)降幡建築設計事務所を経て1993年、(有)かわかみ建築設計室設立、現在に至る。
2002年より信州大学非常勤講師、2005年より塩尻市文化財審議委員、2006年より長野県建設工事紛争審査会委員。
松本市、長野市都市景観賞など受賞多数。
(社)JIA日本建築家協会会員。
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