シルクロードの光と影
野口 信彦:作
発行:めこん
この版元の本一覧
四六判 256ページ 上製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-8396-0203-1 C0030
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年02月
書店発売日:2007年02月23日
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紹介

玄奘や鳩摩羅什が歩いた道をたどる。長期取材で綴った全シルクロードの歴史遺産の魅力と今そこに生きる人びとの哀歓。カラー写真60点。

目次

第1章 世界最大の国際都市であった長安
第2章 中央アジア最大の仏教遺跡・長安
第3章 世界でもっとも海から遠い都・長安
第4章 仏教遺跡の宝庫・トルファン
第5章 飛天が乱舞するクチャ
第6章 西域南道・北道の結節点・カシュガル
第7章 殉教のホータン

前書きなど

日本はいま、空前の旅行ブームといわれており、最近では、中高年層を中心にアドベンチャーツアーや秘境への旅などが盛んである。中でも人気があるのはシルクロードの旅であろう。NHKでは、二〇〇五年はじめから一年間にわたって「新シルクロード」を毎月一回放映し、四半世紀前の「シルクロード」ブームの再来をもくろんだ。しかし、私の見たところ、その内容には視聴者向けの演出が過剰で首をかしげるようなところが多かった。案の定、視聴者からは期待したほどの反応は得られなかったようだ。
現在、外国メディアによる新疆・シルクロードの取材には大きな規制がある。一つは、中国が「改革開放政策」を掲げ、市場経済制度を導入して驀進しているさなか、高額の取材料を求められること、二つ目は、中国政府当局にとって好ましくない出来事を取材・報道することは厳しくチェックされることである。したがって、NHKなど外国のマスメディアの取材では中国政府の基準に沿ったものしか放映されないということが常態になっている。
私は一九六五年初頭、北京体育学院へ留学したが、翌年五月に中国共産党主席の毛沢東によって発動された文化大革命の嵐に巻き込まれ、一〇ヵ月間にわたって日中両紅衛兵による理不尽な攻撃を受けた。しかし、それでも、中国は私が青春の一時期を過ごし学んだ第二のふるさとである。愛する中国が、日本や欧米先進国のように、人権、民主主義、出版・集会・表現の自由、そして政府・執政党を批判する自由が保障されるような民主主義国として進歩、発展し、アジアのみならず、世界にその範を示してもらいたいと心から望んでいる。
私が最初に本格的にシルクロードの風に触れたのは、一九九〇年夏、カザフスタン側の天山山脈へ山登りに行った時のことである。北京→ウルムチ→イリと飛行機を乗り継ぎ、やっとのことで陸路、国境を越えて、アルマ・アタ(当時のカザフスタン共和国の首都の名前)に着くと、カザフ登山委員会のメンバーがしびれをきらして待っていた。それまでの数十年間ではこのルートをたどって国境を越えた日本人は私たちが初めてだともいわれた。中ソ紛争の名残のトーチカや塹壕が生々しく残っていたことを覚えている。
それ以降、私は国際会議や山登りなどで何度もクルグズスタン(キルギス)、ウズベキスタン、タジキスタン、イランなどの国々を訪れた。新疆にはもう何回行ったか覚えていないが、おそらく二〇回以上、三〇回近くになるだろう。彼の地でのウイグル人をはじめとしたさまざまな民族の人々の交流を通じて、私は彼らの伝統的な文化や、それまであまり知らなかったイスラームという宗教の規範や教えなど、多くのことを知ることができた。そして、そこには多くの日本人が忘れかけている日本の「良き伝統、麗しい習慣」に共通するものもあったのである。

版元から一言

シルクロードの本は数多くありますが、影の部分も含めてその現状を伝えた本は初めてでしょう。街角や遺跡の写真がすばらしい。さすがシルクロードを30回近く歩いた著者です。

著者プロフィール

野口 信彦(ノグチ ノブヒコ)

日本ヒマラヤ協会会員、HAT-J(日本ヒマラヤンアドベンチャートラスト)評議員、パミール中央アジア研究会創立会員・理事、新日本スポーツ連盟副会長、日本中国友好協会理事、日本シルクロード倶楽部会員、日本シルクロード文化センター主宰
【著書】『幻想のカイラス』(東研出版、1997年)、『もうひとつのシルクロード』(大月書店、2002年)、日中友好協会の理論研究誌「季刊中国」に随時執筆、2005年1月から同協会の「日中友好新聞」に毎月連載。

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