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原発地震動想定の問題点
- 初版年月日
- 2015年2月
- 書店発売日
- 2015年3月4日
- 登録日
- 2015年2月4日
- 最終更新日
- 2016年3月2日
重版情報
2刷 | 出来予定日: 2015-08-06 |
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紹介
本書は、原発の耐震設計における最大の問題点──「地震動想定」が、どれだけ不十分なものであるかを解き明かそうとするものです。脱原発弁護団が、全国各地の原発差し止め裁判、なかでも川内原発の再稼働差し止め裁判で論じている、もっともホットな考え方をまとめました。
目次
はじめに
第1章 地震と地震動
1 地震とは何か?
2 断層には、3種類ある
3 アスペリティとは何か?
4 マグニチュードは、地震の規模を示す
5 応力降下量とは何か
6 加速度は、物体が受ける力を表す
7 スペクトルは、地震が波であることを示す
8 固有周期・共振が、地震の揺れの想定では重要
9 短周期レベル
10 応答スペクトルは耐震設計の基本
11 地震現象についての基本的認識(地震学には予測の力はなかった)
12 地震動推定の困難さ
13 ではどうやって地震動の推定をしているのか
第2章 耐震設計は地震動の平均像で行っている
第1 原発の耐震設計の概要
1 原発の耐震設計の流れ
2 「震源を特定して策定する地震動」における地震規模の推定
第2 応答スペクトルに基づく手法
1 耐専スペクトル
2 耐専スペクトルは平均像を求める手法
3 応答スペクトルに基づく手法の出発点は
マグニチュードと震源距離の想定
4 応答スペクトルに基づく手法の詳細
5 応答スペクトルに基づく手法の誤差
(平均像からのかい離の程度)
6 観測値のバラツキの程度
7 標準偏差
8 平均像を基本ケースとした上で「不確かさの考慮」として
電力会社が行っていることは何か
9 電力会社が応答スペクトルに基づく手法の出発点に
松田式を使っていること
10 応答スペクトルに基づく手法の誤差を考慮した地震動評価
第3 断層モデルを用いた手法
1 手法の概要
2 スケーリング則とその誤差
3 入倉レシピと地震調査委員会レシピ(グリーン関数の誤差)
4 入倉レシピ
5 地震調査委員会レシピ
6 入倉発言
7 結論
第3章 震源を特定せず策定する地震動
(2004年留萌支庁南部地震の知見は十分考慮されているのか)
1 新基準の内容
2 2004年留萌支庁南部地震
3 地盤による増幅
4 敷地直下のMw6.5未満の地震は
最大限どこまでの地震動をもたらすか
おわりに
前書きなど
おわりに
本書では、原発の耐震設計が「平均像」で行っていることを取り上げ、平均像からのかい離が、その10倍以上にも達することを述べてきました。また、「震源を特定せず策定する地震動」、要するに直下地震の想定も、起こりうる最大の直下地震を考えようとせず、わずかな期間のほんのわずかな地震の観測記録をそのまま使うだけでしかないことを述べてきました。この「震源を特定せず策定する地震動」も、電力会社の想定の10倍以上の値を想定しなければなりません。
これらの問題点は、原発の耐震設計では避けて通れない点です。これを本当に真面目に考えるなら、基準地震動はすぐに10倍以上となってしまうのです。
電力会社も国も、このような問題点があることは良くわかっています。しかし、現在行われている原発の耐震設計は、この問題点を隠ぺいしたままなされているのです。想定を大幅に超える地震動が原発を襲ったときに、原発の施設が一気に大規模に破壊されてしまうおそれがあります。
福島第一原発での被害は、施設の破壊がそれほどではなかったこと、多くの放射性物質が陸地ではなく太平洋の方向に流れたことから、実は想定できる最大規模の被害ではなく、最大規模の被害よりもおそらく2桁程度小さな被害でしかありませんでした。もし、最大規模の施設の損壊が一気に起こったら、そのとき、日本はほぼ壊滅することもありうるでしょう。
直ちに、日本の全ての原発は廃炉にすることが必要です。
2015年2月 福島原発震災4年目を前にして
版元から一言
これで、原発は止められます! 再稼働はできません!!
上記内容は本書刊行時のものです。