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下山の哲学 竹内 洋岳(著) - 太郎次郎社エディタス
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下山の哲学 (ゲザンノテツガク) 登るために下る (ノボルタメニクダル)

スポーツ・健康
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四六判
256ページ
並製
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-8118-0843-7   COPY
ISBN 13
9784811808437   COPY
ISBN 10h
4-8118-0843-6   COPY
ISBN 10
4811808436   COPY
出版者記号
8118   COPY
Cコード
C0075  
0:一般 0:単行本 75:体育・スポーツ
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年10月30日
書店発売日
登録日
2020年9月26日
最終更新日
2023年9月10日
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書評掲載情報

2021-02-13 東京新聞/中日新聞  朝刊
評者: 酒井順子(エッセイスト)
2020-11-02 読売新聞    夕刊
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重版情報

2刷 出来予定日: 2020-12-04
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紹介

竹内洋岳最新刊にして、山岳書初(!)の「下山」ドキュメント

ヒマラヤ8000m峰14座完全登頂とは、14の山すべての頂から無事に下ってくるということ。「生きて還ってこなければ、下山しなければ、登山ではない」とつねづね語り、それを実現してきた竹内は、どのように山を下ってきたのか。疲労困憊のなかで頻発する危機、生死を分けた判断と行動、朦朧とする頭で考えていたこと……。敗退もふくめて、17年にわたる14座の全下山をたどり、現在に続く新たな挑戦を報告する。

世界的クライマー、ラルフ・ドゥイモビッツほか、本人を深く知る6人へのインタビューをとおして竹内洋岳を「解剖」するコラムも収録。

目次

Ⅰ▼「役割」(大規模登山隊)から「愉しみ」(少数精鋭チーム)へ
1995年 マカルー[1座目] 8000m峰初下山
1996年 エベレスト[2座目] デスゾーンからの逃避
1996年 K2[3座目] ベースキャンプへの「登頂」
2001年 ナンガパルバット[4座目] 切りひらいていく下山

Ⅱ▼クライマックスとしての下山
2003年 カンチェンジュンガ[敗退] ホワイトアウトのなかを
2004年 アンナプルナ[5座目] 二度と行きたくない山
2004年 ガッシャーブルムI峰[6座目] 身近にある死
2005年 シシャパンマ[7座目] ぐるり1周旅の締めくくり

Ⅲ▼生還するために
2005年 エベレスト[敗退] 死後の帰還
2006年 カンチェンジュンガ[8座目] 見失った帰路
2007年 マナスル[9座目] 灼熱のラッセル地獄
2007年 ガッシャーブルムII峰[敗退] 雪崩に飲みこまれて

Ⅳ▼ヒマラヤへの復活
2008年 ガッシャーブルムII峰[10座目] つぎの山への登り
2008年 ブロードピーク[11座目] 激痛と落石の恐怖
2009年 ローツェ[12座目] もっともつらい下り

Ⅴ▼14サミット完全下山
2010年 チョ・オユー[敗退] 新たなパートナーと
2011年 チョ・オユー[13座目] 幻覚のなかの軌道修正
2012年 ダウラギリ[14座目] 極限の夜を超えて

つぎの山へ――14サミッターの現在地

▼インタビュー
「登山家の突然変異」――シューフィッター 釣巻健太郎の視点
「妥協なき道具マニア」――登山用腕時計開発者 牛山和人の視点
「強くて繊細なlovely person」――14サミッター ラルフ・ドゥイモビッツの視点
「スマートな野心家」――医師 柳下和慶の視点
「つかまえちゃダメな人」――山岳気象予報士 猪熊隆之の視点
「つねに帰り道を知っている人」――山岳カメラマン 中島健郎の視点

前書きなど

はじめに 頂上に着いただけでは終わらない

 標高8000m を超える世界は「デスゾーン」と呼ばれます。そこは文字どおり、生命の痕跡すら感じない場所。私たちが続けてきた登山は、そのデスゾーンへ足を踏みいれ、登頂し、なんとか生きて帰ってくる、そのくり返しでした。大切なのは登頂することではなく、登頂して無事に帰ってくることです。

 頂上はゴールでも折り返し地点でもありません。登山の行程はひとつの「輪」のようなものです。頂上が輪のどこに位置するかは、ゴールしてはじめてわかること。頂上は地形的な最高地点ですが、登山という行為のピークは、かならずしも頂上ではありません。登山をひとつの輪と考えたとき、「登り」と「下り」は一体で、分ける必要もない。「登頂した」と言えるのは、頂上に着いたときではなく、ベースキャンプに帰ってきたときだと考えています。

 一方で、登山をテーマにした本やドラマで、下山の行程に光が当たることはあまりありませんでした。登頂をクライマックスとして物語が語られていく。たしかに、「山頂」はだれにとってもわかりやすい「ゴール」でしょう。しかし、じっさいに登山をしていると、山頂がゴールだと思うことはありません。

 私はよく、8000m 峰の登山を、底が見えない深い沼や池に潜ることに例えます。息を止めて水底まで潜っていき、息が続くうちに水面に浮上してくる。水底に達したからといって息はつけない。8000m 峰の頂上も同じです。着いたあとはあわてず、しかしスピーディーに、パニックにならないよう自制して、エネルギーが残っているうちにBCまで帰ってこなければなりません。息が続くうちに帰ってこなければならない下山中は、ゆっくりと記録をつけることすら許されないことがほとんどです。記録の少なさも、これまで下山に光が当たらなかった一因かもしれません。

 登山では「リタイア」ができません。どんなに苦労して登頂しても、あるいは途中であきらめるとしても、かならず自分で下山しなければならない。だから、「降りてくる」という行為は重要で尊いものです。降りてくるからこそ、つぎの登山ができる。下山はつぎの登山への準備であり、助走でもあるのです。

著者プロフィール

竹内 洋岳  (タケウチ ヒロタカ)  (

プロ登山家、14サミッター。1971年、東京都生まれ。立正大学客員教授。ハニーコミュニケーションズ所属。アルパインスタイルもとり入れた速攻登山で8000m峰に挑みつづけ、2012年に14座目となるダウラギリ登頂に成功。日本人初の8000m峰14座完全登頂を果たす。2013年、植村直己冒険賞を受賞。現在は、未踏峰への挑戦を続けながら、野外教室や防災啓発などにも取り組んでいる。著書に『標高8000メートルを生き抜く 登山の哲学』(NHK出版新書)、『頂きへ、そしてその先へ』(東京書籍)、聞き書きによる書籍に塩野米松『初代 竹内洋岳に聞く』(ちくま文庫)など。

川口 穣  (カワグチ ミノリ)  (構成

ジャーナリスト、編集者。1987年、北海道生まれ。2012年に山と溪谷社に入社し、登山雑誌の編集にたずさわる。18年に退社後は週刊誌『AERA』などで取材・執筆。宮城県石巻市の無料情報紙『石巻復興きずな新聞』副編集長も務める。編集・執筆を担当した書籍に『ヤマケイ登山学校 ロープワーク』(水野隆信監修、山と溪谷社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。