『ノルウェイの森』から『ねじまき鳥クロニクル』へ村上春樹と物語の条件
鈴木 智之:著
発行:青弓社 この版元の本一覧
四六判 352ページ 上製
定価:3,000円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7872-9190-5 C0095
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年08月 書店発売日:2009年08月26日
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紹介

村上春樹の主要作品のうち『ノルウェイの森』と『ねじまき鳥クロニクル』を取り上げ、2つの物語に私たちが生きている現実世界の痕跡を読み取っていく。記憶・他者・身体というキーワードから、恐怖に満ちたこの世界を生き延びるスタイルを模索する。

目次

物語をめぐる物語、としての小説


第1部 記憶・他者・身体――『ノルウェイの森』と自己物語の困難


序 章 自己物語の氾濫/困難

第1章 想起(の物語)の失敗
 1 記憶のための物語/証言のための物語
 2 共有された死者の記憶
 3 物語の座礁と語りの再編成
 4 第一の企図の放棄
 5 物語の破綻と残された問い

第2章 身体/他者――自己物語とそのさまざまな困難
 1 自己物語の困難
 2 他者とともにあることの困難――「永沢」と「ハツミ」
 3 身体を生きることの困難――「レイコ」
 4 重要な共演者の死

第3章 「直子」――沈黙する身体
 1 病いの語り
 2 行き違う物語
 3 「再入場への恐れ」と「待望者」の誤謬
 4 神話化する身体/夢想化する記憶
 5 証言の失敗

第4章 「緑」――語り続ける身体
 1 語り手としての「緑」
 2 物語を受け取ることの困難
 3 作り話、あるいは嘘つきの戦略
 4 境界画定のゲーム
 5 コンティンジェント・セルフ

終 章 忘却の忘却としての物語
 1 生存の論理/死者の物語
 2 忘却としての語り直し
 3 ループする語り
 4 浮上し続けるものとの闘い


第2部 災厄の痕跡――日常性をめぐる問いとしての『ねじまき鳥クロニクル』


序 章 日常性への問い

第1章 他者の同一性=正体をめぐる物語
 1 他者の徴候――「泥棒かささぎ編」
 2 横滑りする問い――「予言する鳥編」
 3 他者に物語(名)を与える物語――「鳥刺し男編」
 4 他者性の寓意としての「電話の女」
 5 他者の行方

第2章 偶発的身体
 1 身体が呼び起こす物語
 2 身体とその二つの状態
 3 身体をめぐる権力とその二つの顔
 4 変身
 5 闘争の二つの文法
 6 身体・権力・日常性

第3章 飽和する記憶
 1 戦後の物語/戦時の記憶
 2 挿入される戦場の記憶
 3 戦時の記憶とその両義性
 4 無の贈与/記憶の贈与
 5 開かれた物語/飽和する記憶
 6 時を損なう者/時を繕う者
 7 可能なる起源
 8 〈起源〉への降下
 9 記憶/時間/生命
 10 災厄の記憶と再生への賭け

終 章 恐怖の持続

そして、物語は続く

あとがき

著者プロフィール

鈴木 智之(スズキ トモユキ)

1962年、東京都生まれ。法政大学社会学部教授。専攻は理論社会学、文化社会学。共編著に『ケアとサポートの社会学』、訳書にジャック・デュボア『現実を語る小説家たち』(ともに法政大学出版局)、アーサー・W・フランク『傷ついた物語の語り手』(ゆみる出版)、共訳書にジグムント・バウマン『個人化社会』(青弓社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。
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