1920-30年代の文化詩学スポーツする文学
疋田 雅昭:編著, 日高 佳紀:編著, 日比 嘉高:編著
発行:青弓社 この版元の本一覧
A5判 338ページ 並製
定価:2,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7872-9189-9 C0095
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年06月 書店発売日:2009年06月22日
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紹介

大正から昭和初期、モダニズムと大衆文化の時代――。 新聞や雑誌、ラジオ、レコードなどのメディアを介して、文学/レトリックとスポーツ/身体が交錯した諸相をたどり、〈文学とスポーツのアリーナ〉を物語や表象などから多面的に分析する。

目次

はじめに  疋田雅昭/日高佳紀/日比嘉高

人工施設/体臭/モダニズム
スケートリンクの沃度丁幾――山口誓子『凍港』の連作俳句について  青木亮人
 1 日本スケート史の沿革
 2 スケート界の発展と成立
 3 俳句における「スケート」
 4 「スケート連作俳句」の新鮮さ
 5 「新しい「視角」」と映画理論
 6 「スケート」連作と映画

都市/スピード/中産階級
時を忘れる愉楽――疑似ゴルフに人々が抱いた夢想  天野知幸
 1 アメリカ体験としてのベビー・ゴルフ
 2 〝ひととき〟の楽しみとしてのスポーツ
 3 消費される時間とスポーツ
 4 「時」の忘却と文学的表現の共振

卓球/精神修養主義/遊戯性
〈肉体〉におびえるとき――モダニズム前夜のスポーツ小説として『友情』を読む  西山康一
 1 競技と娯楽のはざまで――卓球のおかれた位置
 2 卓球に仮託されているもの――作品内部から見えてくること
 3 同時代のスポーツをめぐる状況――作品外部から見えてくること
 4 〈肉体〉の「謀叛」、脅える〈精神〉
 5 〈精神〉修養主義の裏に潜む脅え――モダニズム文芸のスポーツとの連続性

モダン・スポーツ批評――アドルノ・神原泰・中井正一 西村将洋

ラジオ・アナウンサー/オーディエンス/野球
声の複製技術時代――〈スポーツ空間〉と複合メディア状況  日比嘉高
 1 声の争奪戦――スポーツ・アナウンサーと活字メディア
 2 スポーツ・ジャーナリズムの拡大と〈スポーツ空間〉
 3 声と〈鏡像〉
 4 呼びかける声の向こうに

メディア/少年野球/立身出世
ゴムボールを手にした子供たち――「少年倶楽部」に見る野球  松村 良
 1 二つの野球――硬式と軟式
 2 「あゝ玉杯に花うけて」のなかの野球
 3 一九一〇年代――「ゴムマリ団の遠征」
 4 一九二〇年代前半――小泉葵南および東京少年野球大会
 5 一九二〇年代後半――白井桃村と甲子園ブーム
 6 「野球もの」の減少と立身出世
 7 一九三〇年代以後――少年野球のゆくえ

テニス/メディア/スター・プレーヤー
テニス文芸のレトリック──田中純と月刊「テニスフアン」  日高佳紀
 1 日本における二つのテニス
 2 「テニスフアン」における〈文学〉の位相
 3 田中純「羅武君の球歴」の射程
 4 スターの死と日本テニス黄金期の終焉
 5 「羅武君の球歴」の批評性

「スポーツ小説」の盛衰――雑誌「アサヒ・スポーツ」の場合  波潟 剛

スタイル/ジェンダー/陸上競技
変奏される〈身体〉――女子スポーツへのまなざし  笹尾佳代
 1 生成される〈身体〉のモード
 2 スポーツ少女のゆくえ
 3 見出される〈身体〉
 4 喪われる〈身体〉
 5 饒舌な〈身体〉

水泳/コラージュ/視線
水際のモダン――身体と欲望の劇場へ  杉田智美
 1 泳ぐ身体/見られる身体
 2 〈健気〉で〈強い〉モダンガールを欲望せよ
 3 変容する身体――モダンか? プリミティブか?
 4 身体は誰のものか

プロレタリア文学とスポーツ  宮薗美佳

駅伝・マラソン/共同体/語り
「わたし」と「わたしたち」の狭間――「走ることを語ること」の意味  西川貴子
 1 〈走る〉ことはスポーツか?
 2 物語化される「身体」――駅伝をめぐる語り
 3 「わたし」と「わたしたち」とをつなぐもの――「少年」向け文章における語り
 4 新たなる〈走る〉表象の提示――牧野作品での試み

スポーツ・イベント/逸脱/ボート
スポーツしない文学者――祭典の熱狂から抜け落ちる「オリンポスの果実」  疋田雅昭
 1 オリンピック言説を支える「期待の地平」
 2 「異常」な小説
 3 「ノイズ」によるコノテーション
 4 「異常」な言説を生み出す構造
 5 オルタナティブからも抜け落ちる杏の実

死に至るスポーツを語る――一九三〇年代山岳雑誌のなかの「文学」とその周辺  熊谷昭宏

おわりに  疋田雅昭/日高佳紀/日比嘉高

「少年倶楽部」1915-45 野球関係資料リスト  松村 良
「アサヒ・スポーツ」の小説欄(1936-42)  波潟 剛
スポーツ文学年表 1914-40

著者プロフィール

疋田 雅昭(ヒキタ マサアキ)

兵庫県生まれ。長野県短期大学助教。専攻は近・現代詩、モダニズム、アヴァンギャルド。著書に『接続する中也』(笠間書房)、論文に「スポーツ、政治、そして詩人たち」(「昭和文学研究」2004年3月)など。スポーツ歴・好きなスポーツ:夏はウィンドサーフィン、冬はスノーボード、人生いつも不安定な板の上。

日高 佳紀(ヒダカ ヨシキ)

島根県生まれ。奈良教育大学准教授。専攻は日本近代文学。共編著に『文学で考える〈日本〉とは何か』(双文社出版)、共著に『谷崎潤一郎 境界を超えて』(笠間書院)など。スポーツ歴・好きなスポーツ:中高でテニス部に所属、現在もテニススクールに通う。某在阪プロ野球団の趨勢に“人生”の悲喜を重ねてしまう傾向あり。

日比 嘉高(ヒビ ヨシタカ)

愛知県生まれ。名古屋大学大学院准教授。専攻は日本近代文学・文化論。著書に『〈自己表象〉の文学史』(翰林書房)、共編著に『テクストたちの旅程』(花書院)など。スポーツ歴・好きなスポーツ:『ウイニング・イレブン』。やりこんだ直後、テレビで“本物の試合”を見ると指が動きそうになる。これも新しい〈スポーツ空間〉への参加か?

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