発行:彩流社
この版元の本一覧
A5判 191ページ 並製
定価:1,900円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7791-1301-7 C0026
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年11月
書店発売日:2007年11月07日
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日タイ修好120周記念出版!意外に知らないタイの歴史を郵便資料などの豊富な図版(400点以上)とエピソードで分りやすく知る。郵便学者、内藤陽介による普通のツアー旅行の楽しみを限りなく広げる「切手紀行書」第一弾!タイの切手(実物)のオマケ付!
目次
はじめに
第一章 曼谷三十六景
曼谷三十六景 9/景之一 チャオプラヤー川 10/景之二 タークシン王像 12/景之三 ラーマ一世橋 13/景之四 ワット・アルン 16/景之五 ワット・ポー 19/景之六 王宮 22/景之七 ワット・プラケオ(エメラルド寺院)25/景之八 国防省 29/景之九 ワット・ラーチャプラディット 30/景之十 ワット・ラーチャボピット 31/景之十一 サオ・チン・チャー(ジャイアント・スウィング)32/景之十二 ワット・スタット 34/景之一三 プーカオ・トーン 35/景之十四 ワット・ラチャナダー 37/景之十五 民主記念塔 38/景之十六 サナーム・ルアン(王宮前広場)41/景之十七 ワット・マハータート 43/景之十八 国立博物館 43/景之十九 国立劇場 45/景之二十 王室御座船博物館 46/景之二十一 海軍 49/景之二十二 タイ国立銀行博物館 52/景之二十三 テウェス市場 53/景之二十四 ラーチャダムヌーン・ボクシング・スタジアム 56/景之二十五 ワット・ベンチャマボーピット(大理石寺院)60/景之二十六 ラーマ五世騎馬像 61/景之二十七 旧アナンタ・サマーコム宮殿(旧国会議事堂)63/景之二十八 ウィマンメーク宮殿 64/景之二十九 戦勝記念塔 66/景之三十 ベンジャロン 72/景之三十一 スネーク・ファーム 74/景之三十二 ワット・トライミット 76/景之三十三 七月二二日広場 77/景之三十四 ヤオワラート通り 80/景之三十五 中央郵便局 82/景之三十六 スワンナプーム国際空港 85/番外編 水上マーケット 88
第二章 アユタヤ一日観光
アユタヤ一日観光 91/バーン・パイン宮殿 92/日本人町跡 95/ワット・ヤイ・チャイ・モンコン 100/ワット・マハータート 100/ワット・プラ・シー・サンペットと王宮跡 104/エレファント・キャンプ 106
第三章 バンコク発 チェンマイ一泊二日
一日目…ワット・ドーイステープとカントークディナー 111
チェンマイのパンダ 112/ドーイ・インタノンとラーンナー・タイ 117/メオ・トライバル・ビレッジ 121/ワット・ドーイステープ 127/カントーク・ディナー 131/ナイト・バザール 136
二日目…切手・寺めぐり 141
ワット・プラタート・ハリプンチャイ 142/ワット・チャイモンコン 144/ワット・クータオ 146/ワット・チェンマン 146/ワット・パンタオ 148/ワット・チェディ・ルアン 150/ワット・プラ・シン 151/切手博物館 153/ワット・スワンドーク 154/ワット・チェット・ヨート 156/残された一枚 157/サイアム・セラドン 159
第四章 泰緬鉄道一日ツアー
泰緬鉄道一日ツアー 165/泰緬鉄道とは 167/JEATH戦争博物館 170/クウェー川鉄橋 172/九〇分の列車の旅 175/タム・クラセー 178/連合軍墓地 181/註…フィクションとしての映画『戦場に架ける橋』185
主要参考文献
あとがき
前書きなど
はじめに
家に帰って来てポストを開けたとき、DMやら銀行引き落としの請求書なんかに紛れて、旅先の親類縁者がくれた絵葉書が混じっていたりすると妙に嬉しいものだ。
オフィスなどでの海外旅行の定番のお土産といえば、空港で売られているチョコレートやクッキーだろうが、この手のお菓子は、大体、パッケージの写真以外はどこで買っても似たりよったりの中身だと思う。だから、お土産をくれた人の義理堅さは記憶に残るけど、彼なり彼女なりがどこへ行ってきたのか、という印象はあんまり残らない。
これに対して、一枚の紙にすぎない絵葉書というものは、ストレートにその土地の風景なり名物なり、あるいは美男美女なりを取り上げることしかできないのがフツーだから、その分、受け取った側には、絵葉書をくれた人が“どこへ”行ってきたか、ということが強く印象づけられるような気がする。
働けど働けど……ぢっと手を見る日常を過ごしている僕にとっては、手紙を書いて封筒に入れ、切手を貼ってポストに投函するなり、郵便局に持って行ったりするのは、電子メールの送信に比べるとかなり億劫な作業で、本音を言わせてもらえば、よっぽどの必要に迫られないとやる気にならない。それでも、たまに海外に出かけたりすると、急に絵葉書を買って家族や友人に出したくなるから不思議なものだ。
もちろん、これは旅という非日常の時間と空間の中では、いつもと違う一手間をかける余裕が出てくるからなんだろうけれど、そう考えると、手紙や郵便の役割というものが、現在では実用的な通信手段というよりも、不便で非日常的であるがゆえに心を和ませてくれるもの、大げさにいえば“文化”の一翼を担うものへと変質してきているということなのかもしれない。
“文化”なんてたいそうなことを言ったが、旅先からの絵葉書の文面なんて、たいていは「○○に来ています。そちらはどうですか?」という感じの他愛のないものばかりだ。それゆえ、手紙の内容面に何がしかの高尚さを求めるのは無理というものだろう。それよりも、切手を貼られた郵便物がその国の欠片として僕たちの手元に届けられ、そこから僕たちが遠い異国に思いをいたすということのほうが、よっぽど文化的な営みだと僕は考えたい。
ある国のことを知ろうと思ったら、その国で実際に生活してみるのがベストだろうが、そんなの現実的ではない。となると、本を読んだり、インターネットで調べてみたり、映画を見たり、その国の人と友達になるなり、日本にいてもやれることをやってみるしかないのだが、“切手”だって十分にその手段の一つとなるはずだ。
日本の郵政は民営化されてしまったが、歴史的に見ると(現在でも多くの国では)切手は国家の名において発行されてきた。一般に政府というものは、ありとあらゆるチャンネルを使って自分たちの主義主張や政策、イデオロギーなどを宣伝しようとするものだ。当然、多くの国では切手もそうしたメディアのひとつとして使われ、戦争が始まれば国民の戦意昂揚をねらった切手が発行されるし、オリンピックなどの国家的行事に際しては、記念切手も発行される。また、歴史上の事件や人物が切手上に取り上げられる場合、そこには発行国の歴史観が投影されるし、そうした政治的・社会的な文脈を離れたとしても、切手に描かれた風景や野生の動植物、人々の服装などから、僕たちは、その切手が使われている国や地域について、より具体的なイメージを持つことができる。
もちろん、世の中の森羅万象が漏れなく切手として表現されているわけではないから、切手を見ればそれで事足れりとは僕も言わない。それでも、僕たちがこれから行こうとしている国、あるいは、旅行がきっかけで今まで以上に興味を持つようになった国について、一九世紀以来、連綿と発行され続けてきた切手を丹念に調べていけば、その国が自分たちのことをどう表現しているか、そのアウトラインくらいは理解できるんじゃないかと思う。
僕が小学生だった三〇年前に比べると、切手収集家の数が減ってきているのは事実だ。それでも、全世界ではどんなに少なく見積もっても数十万人、気に入った記念切手があれば買うこともあるという層まで含めると、おそらく、軽く億単位で切手に関心を持っている人間は存在しているだろう。それだけのマーケットがあれば、当然、切手の売買もそれなりに盛んに行われているわけで、日本にいてもインターネットのオークションなどを通じてあらゆる国の切手を手に入れることは十分に可能だ。もちろん、旅先で郵便局に立ち寄れば切手を買うことはできる。切手は小さな紙片だから、フツーはスーツケースの重量制限を気にせずに気軽に持って帰ることができるのも、旅行者にとっては嬉しいメリットだ。
さて、旅人が現地の郵便局で手に入れた切手の多くは、葉書や封筒に貼り付けられ、地元の消印を押されて送り出される。そうした消印の文字やエアメールの表示、貼られている切手の料金や印刷のレベル、さらには封筒や葉書の品質なんかもまた、その国の人々の生活を僕たちに想像させてくれる材料だ。特に、戦争や内乱、自然災害などで郵便物が遅れたり、途中で検閲を受けたり、さらには配達されずに差出人に返送されてしまうようなことがあれば、郵便物はそれ自体が歴史の証言者にもなっている。その意味では、切手や郵便物は、手紙の文面とは別の次元で、その国のありようを僕たちに伝えてくれるメディアになっていると言って良い。
時間をもてあましている学生ならともかく、フツーの大人がスケジュールをやりくりして旅行に出かけられるのは、せいぜい、一週間か一〇日といったところだろう。
デジカメの写真を撮ることだけが目的の旅行ならともかく、限られた時間を有効に使って、自分にとってより意味のある旅を楽しもうと思えば、出発前の予習なり帰国後の復習なりをしておいた方が良い。そういうときに、僕たちが子供の頃から慣れ親しんできた切手や郵便物という具体的なモノを手にとって、そこから読み取れる情報をいろいろと組み合わせていけば、無味乾燥な教科書や、専門書の難解な文章をうんざりしながら読んでいくよりも、その国の歴史や文化、国家や社会などについてのリアルで具体的なイメージをはるかに鮮明に(そして気軽に)体感できるにちがいない。
こういう視点に立って、僕たちは“切手紀行シリーズ”を発刊することにした。その第一弾として、本書で取り上げるのは、今年(二〇〇七年)、日本との修好一二〇年を迎え、観光客にも人気の高いタイである。
パタヤやプーケットといったビーチ・リゾートも行ってみればそれなりに楽しいのだろうだが、僕のように、マリン・スポーツに関心がなく、なおかつ歴史好きの人間にとっては、バンコク・アユタヤ・チェンマイの三都市が定番の旅行先となると思う。
その場合、三都市をすべてガイドつきで巡るパッケージ・ツアーに参加するのも一つの方法だろうが、“三都周遊”を謳ったツアーの多くはかなりのハード・スケジュールで、次から次へと椀子そばのようにいろんなものを見せられるので、最後には何がなんだか頭の中が混乱して消化不良になってしまう。かといって、僕を含めて標準的な日本人は、タイ語はまったく読めず、会話もほとんどわからないというのが相場だから、貧乏旅行のバックパッカーたちのように、現地の人たちと同じスタイルで旅行を楽しむというのは難しい。となると、とりあえずバンコクに滞在して、気が向いたら現地発着の一日ないしは一泊観光のツアーに参加するのが現実的だろう。
そこで、まず、第一章では、「曼谷三十六景」と題して、切手に取り上げられたバンコク市内のスポットをチョイスしてご紹介してみた。ここに取り上げている場所を全部回ろうとしたら四〜五日は見ておいた方が無難だろうが、それぞれのご興味・ご関心に応じて、適宜、取捨選択していただけば良い。
続く第二章と第三章は、バンコク発のアユタヤ一日観光とチェンマイへの一泊旅行の体験記で、最後に番外編として旧泰緬鉄道観光の体験記をご紹介している。タクシーをチャーターしたチェンマイ二日目の寺めぐり以外は現地ツアーに便乗している。細かい部分は旅行会社によって違うかもしれないが、基本的な旅程に大差はないだろうから、現地のグループ・ツアーがどんなものか、おおよそのイメージをつかんでいただけるものと思う。
これらのツアーで取り上げられた観光スポットの紹介と並行して、本書では、タイの歴史のあらましについても一通り盛り込むように努力したつもりだ。
切手を通じて得られた知識やイメージを、旅という具体的な行動の中にフィードバックしていけば、いままでとは違った旅の楽しみ方が可能になってくるだろうし、その結果として、切手の知られざる面白さを多くの人に理解してもらえれば、僕としてはこれに勝る喜びはない。
二〇〇七年一一月 内藤陽介
著者プロフィール
内藤 陽介(ナイトウ ヨウスケ)
内藤陽介 (ないとう ようすけ)
1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。郵便学者。切手の博物館・副館長。日本文藝家協会会員。切手などの郵便資料から、国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し、活発な研究・著作活動を続けている。
『北朝鮮事典』、(竹内書店新社)『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)『切手と戦争』(新潮新書)『反米の世界史』(講談社現代新書)、『皇室切手』(平凡社)『これが戦争だ!』(ちくま新書)『満洲切手』(角川選書)『香港歴史漫郵記』(大修館書店)
<解説・戦後記念切手>シリーズ(日本郵趣出版。現在、第5巻まで刊行)ほか著書多数。
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私にとってタイはとても親しみの持てる国です。
また行きたいと思い、タイの寺院などをテーマにした本を検索していたときに、本書に出会いました。
早速購入して読み始めると、「まえがき」からはじまる、筆者のかの国に対する優しさ溢れる思いと、親しみやすい文章に惹かれて、思わず読み進みました。
切手を題材にされているので、切手集めをしていた私にとってはさらに興味深いものとなっています。
普通の観光案内書には見られない違った観点から、現地の見所を教えて貰えるもので、ぜひ、みなさんにお薦めしたいですね。
コメント by 大西徹典 — 2008/1/17 木曜日 @ 11:16:55