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認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾 野嶋 剛(著) - 明石書店
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認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾 (ニンシキタイワンデンエイ エイガデシルタイワン)

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発行:明石書店
四六判
288ページ
並製
定価 1,600円+税
ISBN
978-4-7503-4119-4   COPY
ISBN 13
9784750341194   COPY
ISBN 10h
4-7503-4119-3   COPY
ISBN 10
4750341193   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年1月
書店発売日
登録日
2015年1月23日
最終更新日
2015年1月23日
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紹介

急速に活気を取り戻す台湾映画。本書は元朝日新聞台北支局長が映画という窓を通して台湾を覗き込んだ「台湾論」である。「日台」や「外省人」「格差」など、今の台湾社会を映し出す映画を紹介しながら、台湾社会のトレンドや現実を、監督や俳優のインタビューを交えながら描き出す。

目次

はじめに


Part1 映画に描かれた素顔の台湾

Scene1 映画で「台湾と日本」を問い続ける
 [CINEMA]「海角七号」「セデック・バレ」「KANO」
 [Interview1]魏徳聖 監督

Scene2 台湾ドキュメンタリーの力
 [CINEMA]「天空からの招待状」「抜一条河」「刪海経」
 [Interview2]斉柏林 監督

Scene3 外省人2世の思い
 [CINEMA]「軍中楽園」「白銀帝国」
 [Interview3]鈕承沢 監督

Scene4 格差社会の矛盾を突く
 [CINEMA]「郊遊〈ピクニック〉」「あなたなしでは生きていけない」「白米炸彈客」
 [Interview4]蔡明亮 監督 李康生 氏

Scene5 「環島」による「認識台湾」
 [CINEMA」「練習曲」「遠い道のり」「不老騎士」
 [Interview5」陳懐恩 監督

Scene6 台湾文化を知る
 [CINEMA]「祝宴!シェフ」「モンガに散る」「父の初七日」
 [Interview6]陳玉勲 監督

Scene7 「あの時代」を照らし出す
 [CINEMA]「あの頃、君を追いかけた」「GF*BF」「九月に降る風」
 [Interview7]九把刀 監督

Scene8 台湾の優しさ、台湾人の優しさ
 [CINEMA]「聴説」「光にふれる」「白天的星星」
 [Interview8]李烈 プロデューサー兼女優

Scene9 台湾映画に欠かせないアイテム
 [ITEM]「バイク」「喫茶店」「同性愛」「軍人教官」
 [Interview9]侯孝賢 監督

Scene10 台湾映画の歴史と課題
 [Interview10]龍応台 前文化部長


Part2 必見! おすすめ台湾映画はこれだ!

2007年
 「言えない秘密」◎高校で出った二人の切ないパラレルワールド
 「練習曲」◎自転車で台湾一周をする聴覚障害の若者が見た世界
 「遠い道のり」◎「フォルモサの音」を通して近づいた人々の距離

2008年
 「海角七号 君想う、国境の南」◎台北から逃げ出した若手ミュージシャンの再生の物語
 「Orzボーイズ」◎大人になりたくない子供たちの成長物語
 「九月に降る風」◎台湾プロ野球を伏線にした少年たちの青春物語

2009年
 「陽陽」◎「フランス」を背負った少女の葛藤と救い
 「聴説」◎傷ついても相手を思いやることの大切さを伝える
 「あなたなしでは生きていけない」◎絶望的な貧困のなかの親子の愛
 「白銀帝国」◎台湾のトップ経営者が撮らせた「晋商」の栄枯盛衰を描く歴史大作

2010年
 「モンガに散る」◎台湾ヤクザの若者の友情と破滅の物語
 「父の初七日」◎父の死をめぐる家族の心模様と台湾人の宗教観
 「第四張画」◎10歳の少年のまわりで起きる身近な人の「消失」
 「獵豔」◎台湾における初めての本格的サスペンス
 「台北の朝、僕は恋をする」◎台北のある一夜に起きた不思議な物語

2011年
 「セデック・バレ」◎台湾先住民族による抗日暴動の歴史
 「ナイトマーケットヒーロー」◎宅地開発に抵抗する夜市の人々の奮闘
 「あの頃、君を追いかけた」◎90年代の台湾の若者たちの生態を描き出す

2012年
 「狼が羊に恋するとき」◎学習塾が集中する南陽街に集う若者の青春
 「陣頭」◎伝統芸能の復活に賭ける若者たち
 「GF*BF」◎時代に翻弄された若者たちの喪失と救済
 「光にふれる」◎障害の克服をめぐる静かでさりげない小品
 「白天的星星」◎先住民族のなかで暮らす罪を負った女性の再生

2013年
 「阿嬤的夢中情人」◎1960年代の台湾語映画の映画人たちの物語
 「祝宴!シェフ」◎台湾風大宴会「バントー」をめぐる料理対決
 「一首搖滾上月球」◎難病の子供たちを抱える父親たちのロックにかける思い
 「失魂」◎「別人」に乗っ取られたある男をめぐるサイコサスペンス
 「聽見下雨的聲音」◎雨の音を通奏低音とした切ないラブストーリー
 「被偸走的那五年」◎記憶喪失をきっかけに取り戻される夫婦の愛の絆
 「大尾鱸鰻」◎台湾語の言葉遊びの世界
 「天空からの招待状」◎「鳥の目」で見た台湾の美しい風土と環境破壊への警鐘
 「抜一条河」◎子供たちの綱引きをきっかけに再生に向かうコミュニティ
 「郊遊〈ピクニック〉」◎格差社会の悲しみはキャベツをかじって表現

2014年
 「逆轉勝」◎台湾の人気スポーツ・ビリヤードをめぐる人間ドラマ
 「寒蟬效応」◎レイプ事件を題材にした法廷劇
 「痞子英雄二部曲:黎明再起」◎人気ドラマ「Black & White」の映画化2作目
 「KANO 1931海の向こうの甲子園」◎日本統治時代の「三族共和」を描く
 「大稻程」◎100年前の台北を舞台とするタイムスリップ映画
 「共犯」◎ある少女の死で狂い始める三人の少年の運命
 「等一個人珈琲」◎カフェに集う三組の男女の物語
 「想飛」◎パイロットに憧れる若き軍人たちのストーリー
 「南風」◎自転車の旅でふれあう日台の若者たちの友情
 「白米炸彈客」◎米の輸入解禁にテロで抗議した男の信念
 「刪海経」◎カブトガニの生態系を守るために立ち合がった人々


 あとがき


(一部漢字が正しく表示できない箇所があります)

前書きなど

 はじめに

 映画は社会を映し出す鏡、ではないかと思う。
 本書のタイトルを『認識・TAIWAN・電影 映画から知る台湾』としたのは、「電影」(映画)という鏡に映し出されたものを通して、「TAIWAN」(台湾)という対象を「認識」(知る)することが、本書の狙いだからである。
 日本の隣人でありながら、今ひとつ、どんなところか明確な像がつかめない台湾を知りたいなら、まずは映画を見てほしい、と言いたい。それぐらい、台湾映画には、台湾を知るためのヒントが無数に埋まっている。台湾を長く見つめてきた私なりに自信を持って言いたいのは、台湾社会そのものが、映画の中に、ばっちり鏡のように映し出されているのである。
 台湾映画には、この10年で、巨大な変化が起きた。それまでは、ほとんど仮死状態とも言える低迷期にあった台湾の映画界が急激に活気を取り戻し、いわゆる「国片ブーム」が巻き起こったのである。国片とは、自国産の映画のことであり、台湾映画と同義となる。
 誰も振り向かなかった台湾映画に、突然、台湾の人々が殺到するようになった。明らかに、一つの社会現象だった。そして、何の理由もなく「国片ブーム」が起きたようには思えなかった。
 社会現象の背景を考えることは、映画評論ではなく、ジャーナリズムの領域である。しかし、一本や二本の映画だけから、この現象を論じる意味はあまりないように思えた。私はできるだけ、この「国片ブーム」を台湾社会の総体と結びつく大きな変動の一つとして捉えたいと考えた。
 「国片ブーム」は私が台湾に新聞社の特派員として滞在していた2007年から2010年までの時期にちょうど大きな盛り上がりを見せた。あるとき、そのブームのなかで、多くの観客に愛された数々の映画には、一つの特徴があることに気づいた。
 それは「台湾」をテーマにしている、ということだった。アプローチはそれぞれ違っているが、制作者たちの表現方向は、どれも手を変え、品を変えた形で、同じように「台湾」に向けられているのである。

 (…中略…)

 Part1では、「日台」や「環島」、「外省人2世」「格差」など、それぞれのテーマと合致する映画を複数紹介しつつ、映画のなかから見いだせる台湾社会のトレンドや現実を描いたうえで、その映画に関係する監督など映画人のインタビューを合わせて掲載した。インタビューの時期の幅が数年間に渡っていたので、時期も明記している。インタビューは各章の内容に対応した10人分を掲載しているが、実際はこの倍以上の方にインタビューに応じていただき、そのなかには大変興味深い内容もあったのだが、構成との整合性や紙幅の関係から掲載を見送らせていただいた。
 Part2の台湾映画レビューの部分では、日本の読者にも一見の価値ありと推薦する意義があると思えるものを挙げた。ただ、Part1で紹介したものでレビューを書いても内容が重複すると判断したものについては、映画データのみを載せている。日本公開を経るなどして日本語版が出ていないものも含まれるが、その点はあまり考慮しなかった。いい作品はいずれ日本に来るはずだからだ。映画のタイトルは、日本で公開されたものは邦題を主として初出のみ原題をつけ、日本未公開のものは原題を主として英題もつけている。僭越ながら、星の数によって映画に対する私の評価もつけているが、一ファンの見解程度に捉えてほしい。「面白い」「感動した」「笑える」「泣ける」「勉強になった」といった、単純な感想をできるだけ大切にしたつもりである。

 (…後略…)

著者プロフィール

野嶋 剛  (ノジマ ツヨシ)  (

ジャーナリスト。1968年生まれ。朝日新聞入社後、シンガポール支局長、台北支局長、国際編集部次長などを経て、現在はアエラ編集部所属。
著書に『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮社)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人GIANT』(東洋経済新報社)、『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)がある。著書の多くが中国語に翻訳され、中国、台湾などで高い人気を集めている。

上記内容は本書刊行時のものです。