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食卓の不都合な真実 ジル=エリック・セラリーニ(著) - 明石書店
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食卓の不都合な真実 (ショクタクノフツゴウナシンジツ) 健康と環境を破壊する遺伝子組み換え作物・農薬と巨大バイオ企業の闇 (ケンコウトカンキョウヲハカイスルイデンシクミカエサクモツノウヤクトキョダイバイオキギョウノヤミ)
原書: TOUS COBAYES!: OGM, pesticides, produits chimiques

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発行:明石書店
四六判
264ページ
上製
定価 2,400円+税
ISBN
978-4-7503-4055-5   COPY
ISBN 13
9784750340555   COPY
ISBN 10h
4-7503-4055-3   COPY
ISBN 10
4750340553   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年8月
書店発売日
登録日
2014年8月22日
最終更新日
2014年8月22日
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紹介

多国籍バイオ企業が世界で推進する遺伝子組み換え作物。その危険性を訴えるべく著者の行った2年にわたる実験結果は科学雑誌に掲載され、世界中に衝撃を与え、「セラリーニ事件」とも呼ばれる。政官業学そしてメディアを牛耳る巨大アグリビジネスの欺瞞の構図、自身の体験から告発する問題作。

目次


 まえがき

 序文
  なぜこの実験を?
  実験への道筋


Ⅰ 60年にわたって心身を蝕む毒性

1 アグリビジネスが仕掛ける時限爆弾
 巨利をもたらす
 医薬品の評価における殺人的ともいえる落とし穴
 公的機関の恐るべき怠慢
 GMOが殺虫剤の使用を促すのは偶然なのか?
 リスクは絵空事ではない!
 90日間テストの結果は何を隠しているのか?


Ⅱ 実験へ

2 心ある人びと
 食の安全の問題に向きあう大規模流通業
 クリージェンの独自の支援
 実験チームの編成

3 実験用GMOの選定と入手――立ちはだかる障碍
 ひと味違うトウモロコシのラットフード

4 大切に管理されるラットたち
 どんなメニューにもトウモロコシ!
 開始(ゼロデイ)!
 90日後、最初の腫瘍が現われる
 13ヵ月目、触知可能な腫瘍の急増
 24ヵ月目の初め、メスの50~80パーセントが発症!
 ラットは何が原因でどうやって死んだのか?
 絶望的な結論


Ⅲ 健康リスクの過小評価はいかにしておこなわれたか?

5 個の利益が公的利益としてまかり通る仕組み

6 衛生安全機関は市民のためにあるのか?
 立派な発想と乏しい成果
 安全性の評価より安全性の排除
 除虫トウモロコシをめぐる争い
 内部議論の検閲
 組織的な不透明性
 EFSAにおける利害関係者の共同謀議

7 科学エスタブリッシュメントの妥協
 科学的議論を封殺する
 「活動家」? または「反啓蒙主義者」?
 内部告発者たちの受難
 飴と鞭をあやつる企業
 耐虫性ナスが踊りの輪に加わったとき
 中傷と暴露


Ⅳ 針路を変えよう!

8 新たな衛生科学のパラダイムの必要性
 汚染物質が染みこんだ世界
 汚染物質は人体の器官内でどのように作用するのか?
 環境はどうやって遺伝子の発現に影響をおよぼすか?
 ホルモン攪乱は細胞情報伝達のスパム
 疫学はなぜ汚染物質の長期的な相乗作用を明らかにしないのか?
 長寿は生活の質を保証するか?
 時代への適応が求められる毒性学
 学問の道 並立から融合へ
 衛生安全機関の構造的機能不全

9 持続可能な環境の実現に努めよう
 透明性 不可侵の原則
 検証 反証が許されないなら、独立した審査は欺瞞にすぎない
 長期的暴露の製品すべてに長期テストを
 公衆衛生、社会、連帯に軸足をおいた経済と予防原則
 予防原則としてのトレーサビリティ
 停滞する法規制の歩み
 利益対リスク 誰が得をし、誰がリスクを負うのか?
 環境の汚染を除去する
 器官内を解毒する
 心を解毒する


結論に代えて フクシマの教訓と遺伝子組み換え作物


 謝辞

 日本語版へのあとがき

  文献注
  〔参考〕本書に出てくる機関・組織の名称

 訳者あとがき

前書きなど

まえがき

 このまえがきを除けば、本書は核心となる研究発表以前に書かれたものである。これほど遺伝子組み換え推進派からの手ひどい、しかも独りよがりの反発を受けるとは想像もできないことであった。また、一般市民からの支持や励ましも想像以上のものがあった。私は自分の人生の5年間をこの研究のために捧げ、その結果を食品毒性に関する世界的科学誌であるフード・アンド・ケミカル・トキシコロジー誌に発表した。こうして、この研究は世界中の研究者の審判を受けることになった。
 昔であれば、私はおそらく生きたまま火あぶりの刑に処せられたにちがいない。そう思えるほどに反発は凄まじかった。他の場所であれば、私は投獄されていたかもしれない。あの中国の反GMO〔遺伝子組み換え作物〕デモ参加者たちみたいに。法的保護に加えて、私たちのNGO「CRIIGEN=遺伝子工学独立研究情報委員会」の変わらぬ支持がなければ、内部告発者の多くがそうなったように、私はとうに抹殺されていたにちがいない。研究所の同僚たちの研究結果に対する揺るぎない確信と平静さがなければ、私は動揺していたことだろう。彼らは1年以上にわたって次々と得られる結果を根気よく反芻、確認し、自分たちの実験要領も含めたあらゆる疑問に向きあい、つねに洗い直しをしてきた人たちである。それは私たちを誹謗する者たちがやったよりもはるかに多い回数におよんだ。
 私たちは、遺伝子組み換え作物および世界で最も多く使われている殺虫剤についてこれまでにない長期間にわたる詳細な実験をおこない、スパイ捜査さながらに、その毒性を探しあて、実証し、説明した。もちろん、さらに詳細にわたることも、またたとえば、被験動物の数を増やすなどして実験を充実させることも可能であったろう。しかし私たちの手段には限界があった。とはいっても、これが当該分野では最も完璧を期した、唯一の、最先端の実験であることに変わりはない。きちんと管理された実験室において、これほど多くの個体数を対象に、これほど長期間にわたって、市販の殺菌殺虫剤(単一の化学成分を抽出するのではなく、市販されている調合剤そのもの)の微量投与を続け血液を分析する実験はこれまでにおこなわれたことはなかった。その毒性にもかかわらず、ラウンドアップは散布などの方法で遺伝子組み換えトウモロコシの栽培に最も多く使われている除草剤であることは後述する。遺伝子組み換え作物はこの除草剤に耐えるように、それと「共生できるように」遺伝子改変されている。これは遺伝子組み換え作物の4分の3以上に当てはまる事実であり、だからこそ事態はきわめて深刻なのである。
 この恐るべき状況から見えてきたのは憂うべき実態であった。悪路で砂埃が舞いあがると同じように、この研究がきっかけとなってある種の悪しき慣行が明るみに出たのである。それは、今回私たちが検証した事実に近づくことを阻んできたものにほかならない。つまり、一部の政治家と科学の専門家、そして彼らに影響力をもつ企業のあいだで実践されてきた「マフィア的」ともいうべきやり口である。彼らは協力して衛生安全機関のチェックを、まずはそれとわからないように骨抜きにする。おかげで、15万種類もの化学物質があっという間に市場に流され、自然のなかにぶちまけられ、環境を再生不能なまでに汚染してしまった。それらの物質――それもほんの一部――が、いつもどおり秘密のうちに、本書で明らかにされるような基準に従って「科学的評価」を受ける頃には、すでに深刻な影響が引き起こされ、私たちの家族が慢性的に毒物に侵されているのである。
 こうした問題を明らかにしようと考えたのは、ライフサイエンス産業に寛容な専門家たちのぬるま湯にどっぷり浸かっていた私自身が、もはや見切りをつけるときだと判断したからでもある。

 (…後略…)

著者プロフィール

ジル=エリック・セラリーニ  (セラリーニ,ジル=エリック)  (

カーン大学分子生物学教授。同大学の「リスク、質、持続可能な環境」センター共同所長。フランス政府のGMO審査委員会の専門家委員を9年間にわたって務めた。現在は同様の職務を外国政府および国際機関のために果たしている。著書に『自分たちの死後は、知ったことか?』(J=M・ペルト共著、フラマリオン&ファイヤール、2006年)、『世界を変えるこれらのGMO』(フラマリオン、改訂版2010年)、『遺伝子的な誤謬』(フラマリオン、2003年)、『GMO、本当の議論』(フラマリオン、2000年)、『執行猶予下の人類』(ベルフォン、1997年、フィリップス・シアンス・フロンチエール賞受賞)他。

中原 毅志  (ナカハラ ツヨシ)  (

長野県生まれ。翻訳家。ルーヴァン・カトリック大学卒業。訳書に『カンボジア運命の門』(F・ビゾ著、講談社)、『ブレヒトの愛人』(J=P・アメット著、小学館)、『ぶち猫コヤバシ、とら猫タネダの禅を探して』(H・プリュネル著、草思社)、『U.V.』(S・ジョンクール著、集英社)、『フランス発「脱原発」革命』(B・ドゥスュ&B・ラポンシュ著、明石書店)、『トランク』(短編集、ルイ・ヴィトン&ガリマール共同出版)他。著書に『悠久のソナタ』(TBSブリタニカ)。監訳書に『エコ・デモクラシー――フクシマ以後、民主主義の再生に向けて』(D・ブール&K・ホワイトサイド著、明石書店)。

上記内容は本書刊行時のものです。