発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 208ページ 並製
定価:2,200円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-3051-8 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年09月 書店発売日:2009年09月08日
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子どもや家族の抱えている課題を少しでもよい方向へと改善していくための、面接の進め方や背景情報の読み方、クレームへの対応方法などを具体的な事例とともに紹介。家族のつながりに着目して働きかける家族療法をベースとした援助の実際を平易な言葉で語る。
目次
はじめに
第1章 相談を受けたら何を援助したらよいのか
1 症状に惑わされず、よりひろい視野をもとう
・子どもの抱える課題に迫るために
・その治療はホントに役立つのか?
・子どもの社会性を育てる家のなかのストレス
・不登校している子は一様ではない
・その子の“不登校児”ではない部分に着目する
2 “治す”より“育てる”という視点をもとう
・原因探しだけでは解決しない
・つまずいたのなら立ち上がろう
・不登校状態を維持しているものに働きかける
3 子育て援助は想像力がもと
・よいところを足し算しよう
・勇気づけの材料をみつける
・「いろんな人がいて世のなか」という考え方が思いやりを育てる
第2章 つながりをみつけ悪循環を切るために
1 悪者探しよりもその問題が起きるしくみを考える
・兄はなぜ妹を蹴るのか
・その行動は結果でもあり原因でもある
・誰が悪者にされるかは流行かもしれない
2 悪循環を断ち切るためのちょっと変わった指示
・“正しい”助言どおりにやってもうまくいかない
・母が楽になって子どもの自由さが増した
・相談員が注目したのは子どもではなく母親
3 家族関係以外のつながりにも着目する
・人が集まるところにつながりができる
第3章 1人で考えこまずにみんなで考えよう
1 事例検討会は勇気づけ検討会
・言葉とは裏腹な母親の行動
・「自分たちは人並みにやれている」と思えないつらさ
・プラスに評価できるところをみつけよう
2 想像力を目一杯働かせて仮説を立てよう
・仮説さえ立てていれば追い詰めずにすんだ苦い経験
・人生経験や常識を総動員して仮説を立てる
・情報は多いに越したことはないか?
・面接のときには仮説を棄てる
・1人の考えに固執せず仲間の力を借りる
・仮説はよりよく理解するための手段
3 どんなやり方で仮説を立てるのか
・ケース1 中学1年の太郎くん(不登校)
・ケース2 高校1年の次郎くん(非行)
第4章かかわりをつくるためにどんな工夫をすればよいか
1 言葉は力をもつが、やっかいでもある
・不調に終わる面接のあるパターン
・悪循環を切るためのネタを探そう
・カウンセリング・マインドとの適度なつきあい方
・耳に届いただけで「聴いた」ことにはならない
・ネーミングは脱線のはじまり
2 思い切ってロールプレイしてみよう
・対応のバリエーションを豊かに
・ロールプレイはやってみてその価値がわかる
・よりうまくいく対応を行なう勘を養う
3 いいところをみつけるのはその人を育てるため
・「もっと愛情を」を別の言葉にいいかえる
・一緒に生きていく仲間への勇気づけ
・マイナスに評価しない発言のしかたは練習できる
・プラスの評価がマイナスの評価に勝るところ
第5章 つながりのもつ意味を6つの家族像から考える
1 癒されるべき人は誰なのかを考えてみる
・陰の功労者もたまには表舞台に
・学校に連れていくのは一緒でも意味が違う
・子どもにとって親のいい顔がものをいう
2 家族の決定力を強化する
・「大切な一員」として親が子どもをサポートしたとき
・父の指導力の復活が娘を変えた
・退学を題材として決定力を問う
3 家族の誰かの死がもたらすもの
・父は息子から殴られる役割をなぜ引き受けたのか
・父の死後、支え合う家族に蓄積した緊張と疲労
・亡くなった人に「さよなら」をいえるとき
第6章 保護者からのクレームへの対応が援助に結びつくために
1 保護者からの適切な苦情と不適切な苦情
・児童相談所への苦情との違い
・クレーマーが登場した必然
2 どう考えて、どう気持ちを抑え、どう対応すればよいか
・真心を買ってもらうという発想が必要
・相手の怒りに巻き込まれない
・表から裏へのコミュニケーションの転換
・クレームへの対応を子どもの援助に結びつける
3 子どもの人権とは「適切に育てられる」こと
・一番伝えたい相手はクレーマー
・ホントにそうだと思える言葉を紡ぎ出す
・私が伝えたいこと
第7章 障害児への支援をバランスよく行なう
1 診断名をそれ以上でも以下でもなく
・援助の本質を考えさせられた出来事
・医師による診断とはどういうものか
・診断名のいくつかの影響
・同じ診断名でも子どもは1人ひとり異なる
2 発達検査を役に立つものにするには
・新版K式発達検査2001で子どもの発達の質をみる
・保護者ではなく相談員の問題
・どんな子どもかはかかわってみなければわからない
・検査からその子を読む
・役に立つ言語を創り出す
3 誰と誰がつながるかを考える
・その子の一番の専門家は誰なのか
・保護者による子どもの「障害受容」
・ネットワークは今ここで作ろう
第8章 児童虐待に適切に対応する
1 生身の人間としての大変さをどうコントロールするか
・担当職員にかかるプレッシャー
・「通告」は密告ではない
・プレッシャーが思惑を生む
2 親子分離に慎重になるのはなぜか
・保護する、しないの境目はどこにあるか
・安全確保が親子関係を切る第一歩になることも
・連携すべき機関同士が虐待の構造に巻き込まれる
・虐待事例での家族援助の考え方
3 虐待をみつける、そしてどうする?
・虐待の種類と認定
・どんなことで発見されるのか
・虐待を疑ったらどうするか
・気づく確率を高めておく
・虐待する人への援助
第9章 外部機関と連携するためのコツ
1 関係機関を知ろう
2 要保護児童対策地域協議会はもっと活用できる
・協議会のしくみ
・縦割り行政の弊害をなくす
・変えることのできるのは自分の職場。まずは足下から
・協議会メンバーの守秘義務
・虐待防止のメッセージが子育て不安を煽る?
おわりに
前書きなど
はじめに
本書は、学校の先生に語りかける内容になっていますが、幼稚園の先生や保育士、保健師、相談員、支援員、児童委員、児童福祉関係の事務職の方々にも読んでいただければ、ありがたいと思っています。ずっと現場の最前線で子どもや保護者との関係に心をくだきながら、子どものために頑張っている方々に向けて、私は書いたつもりです。
本書の内容を一口でいうと、「相談の背景を読んで何が起こっているかを考える」「援助する人が、される人(相手)との関係を読み、その関係をこちらからよりよい方向に調整する」ことを「仲間のみんなで考える、相手の身になってみる」ことによって行ない、それにもとづいた実践が相手を「勇気づけ」、ものごとがよりよく展開するようにもっていこうとする取り組みの提案です。
(…中略…)
それから、私が述べることは「家族療法」といわれるアプローチの経験がベースになっていますが、「家族療法」を含めて「○○療法」が前面に出るとそれが主役になってしまいがちです。つまり、その「○○療法」が効いたのだという主張が出てくるのです。でもそれが効いたのかどうかはブラックボックスのなかのことなのでわかりません。ほぼ確実にいえるのは、主役はよりよい方向に変化することのできた家族の方々の力だったということでしょうし、効果があり役に立った「何か」は準主役級で、役に立ったのならその「何か」は「家族療法」でなくてもかまいません。そういう意味で私は家族療法家ではありませんし、私にとっては役に立つことが一番重要です。
さらに「○○療法」というと、「薬物療法」で薬物が効くように、その療法を行なった人のことはあまり問題にされません。しかし、人への援助は人とのかかわりをとおして進むわけですから、薬物みたいに誰が誰に対して処方しても同じような働きをするものではありません。ですから、「○○療法」をそれを行なう人から切り離して一人歩きさせることはできないと思っています。
(…後略…)
著者プロフィール
川畑 隆(カワバタ タカシ)
京都学園大学人間文化学部教授
1954年生まれ。同志社大学で心理学を学び、児童相談所で28年間心理職に従事した後、2006年に大学教員に転職。臨床心理士。児童福祉や教育分野の対人援助を専門にしている。定期刊行物『そだちと臨床』(明石書店刊)編集委員。著書に『発達相談と援助――新版K式発達検査2001を用いた心理臨床』(共著/ミネルヴァ書房)などがある。
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