国境を越え、私はこうして生きてきた在日コリアン女性20人の軌跡
かわさきのハルモニ・ハラボジと結ぶ2000人ネットワーク 生活史聞き書き・編集委員会:編
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 256ページ 並製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-3037-2 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年08月 書店発売日:2009年08月26日
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紹介

日本人と在日外国人がふれあい交流する場・川崎市ふれあい館の識字学級から生まれた、高齢者在日コリアン交流クラブ「トラヂの会」。「トラヂの会」メンバーが語る、様々な困難を乗り越えてきた一世のたくましく、ときにユーモアにあふれるオーラルヒストリー。

目次


 序文(ペェ・チュンド)

 ハルモニ・ハラボジと結ぶ市民ネットワークのこころみ——生活史聞き書き活動の新展開をめざして(猿橋順子)

第1部 ハルモニの語り
 金斗来さん(一九一二年〜一九九八年)
 孫分玉さん(一九一五年〜二〇〇三年)
 金順女さん(一九一七年〜二〇〇二年)
 李粉柞さん(一九一九年生まれ)
 朴順伊さん(一九二〇年生まれ)
 河徳龍さん(一九二一年生まれ)
 崔斗理さん(一九二二年生まれ)
 金福必さん(一九二三年生まれ)
 李外戴さん(一九二四年生まれ)
 金福順さん(一九二四年生まれ)
 金命年さん(一九二四年〜二〇〇五年)
 尹乙植さん(一九二五年〜二〇〇四年)
 金文善さん(一九二五年生まれ)
 徐類順さん(一九二六年生まれ)
 卞乙順さん(一九二六年生まれ)
 呉琴柞さん(一九二六年生まれ)
 朴斗来さん(一九二七年生まれ)
 河◆畢さん(一九二九年生まれ)[◆=火玄]
 金斗浦さん(一九二九年生まれ)
 金芳子さん(一九三一年生まれ)

第2部 ハルモニたちのたどった歴史と今
 ハルモニたちの時代——解説(樋口雄一)
 ハルモニたちとともに学んで(鈴木宏子)

 編集後記

前書きなど


 序文(かわさきのハルモニ・ハラボジと結ぶ二〇〇〇人ネットワーク代表:ペェ・チュンド)

 韓国「併合」より九九年、植民地支配解放から六四年、つまりは在日コリアンの歴史も一〇〇年になろうとしている。この間の史実については多くの書物によって論じられているが民衆の生の生活史について書き表されたものはさほど多くはない。
 歴史の真実はいかなるものであったのか、その実相を論じることになると諸説紛々、喧々諤々の論議となってしまうであろう。しかし歴史を周辺から見つめてみると、そこには歴史に翻弄された民衆の生活の姿が、歴史の深奥に存在してゆるぎない真実の断片が見てとれるであろう。そして、この冊子はそのことを著した数少ない書物の一つとなっている。
 この冊子に載せられている在日コリアン一世のオーラルヒストリーのそれぞれは、歴史に翻弄され、抑圧されてきた朝鮮民衆の姿そのものである。読み進めるうちにその悲惨さや不条理にもかかわらず、逞しく生き抜いてきた姿に圧倒されるであろう。生活するとはどういうことなのか、生きるとはどういうことなのか、その姿はまさに闘いの日々ではあったが強かに逞しく、時には地を叩いて慟哭しながらも楽天的に生き抜いての今日がある、という姿にふれて感動する。
 こうした姿に想いを重ねる日本人高齢者も多々いらっしゃることであろう。そこには、苦労を生き切ってきた者どうしの共感があると思う。そうであるがゆえに、戦争の悲惨を繰り返してはならないとする反戦・平和への希求が共通項として浮かびあがってくる。権力者がその権力を維持拡大していこうとしてつくりだされてきた歴史の不条理を、ともに生活点において連帯して闘うなかに、ともに生きようとする共感が生まれてくるのではないだろうか。
 ここに登場する在日コリアン一世はみな「トラヂ会」の会員である。「トラヂ会」はふれあい館の識字学級から生まれた在日コリアンを中心とした高齢者交流クラブとして一九九八年一月に発足した。
 会の発足直前、識字学級に通う高齢者の戦後史と置かれている現実の姿を調査しようとの試みがなされ、『川崎 在日韓国・朝鮮人の生活と声』という「在日高齢者実態調査報告書(一九九八年度)」が青丘社から発刊されている。ふれあい館の職員、ボランティアそして大学院生を中心とした若手の学者たちからなるチームによって作成された労作である。
 今回のこの冊子も館の実践記録の一つになっているが、識字学級のボランティアや学生、少壮の研究者が聞き取りや編集を手がけてくれた労作となっている。
 出版にいたるまで多くの人の善意と労力に負っているが、それらすべての方々に感謝したい。

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