国際比較:仕事と家族生活の両立 OECDベイビー&ボス総合報告書
OECD:編著, 高木 郁朗:監訳, 熊倉 瑞恵:訳, 関谷 みのぶ:訳, 永由 裕美:訳
発行:明石書店 この版元の本一覧
B5判 212ページ 並製
定価:3,800円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-3018-1 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年07月 書店発売日:2009年07月22日
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紹介

家庭と仕事をどのように両立するか。政策と家族の状況を分析してきたOECDの取り組みの最終報告書。国際比較可能な指標と主要な事実発見にもとづいて、労働市場と家族の形成、税・給付政策、親休暇制度、学童保育支援、職場慣行について詳細に検証する。

目次

 はじめに

第1章 OECD諸国における仕事と家族生活の両立——主要な事実発見と政策勧告
 第1節 はじめに
 第2節 政策目標
 第3節 OECD諸国における基幹的な家族と仕事の状況
 第4節 全般的な政策対応
  4.1 就業と出生の双方を維持するための公共的支援
  4.2 税・給付制度
  4.3 親休暇
  4.4 保育と学童保育
  4.5 職場の慣行

第2章 人口動態と家族環境
 第1節 家族構成はどのように変化してきているのか
 第2節 家族形態の変化
 第3節 出生行動の変化
  3.1 出生率はほとんどの国で下落してきた
  3.2 子どもと母親の有償就業——過去と比べてより両立できているのか
  3.3 出生率における願望値と実測値のひらきの拡大

第3章 親と就業行動——成果と課題
 第1節 主要労働市場指標
  1.1 女性の労働力参加の動向
  1.2 母親の就業
 第2節 残された課題
  2.1 労働市場の動向における性差
  2.2 世帯内の失業
  2.3 子どもの貧困
 第3節 結論

第4章 税・給付制度と親たちによる仕事の選択
 第1節 税・給付制度および家族支援の範囲と性格についての概観
  1.1 仕事と子育ての連続性
  1.2 公的支援の目標を定める
 第2節 子育て費用なしに夫婦世帯を働くように仕向ける金銭的動機付け
  2.1 仕事への移行
  2.2 より長い時間働く
  2.3 税・給付制度と家族内での収入の分配
 第3節 仕事と家族へのかかわりを結合するためにひとり親を支援する政策
  3.1 ひとり親への所得支援に向けての政策スタンス
  3.2 働くための金銭的動機付け
  3.3 政策の経験と改革の効果についての証明資料
 第4節 結論

第5章 子育てのための親休暇
 第1節 親休暇政策は国によって大きく異なる
 第2節 休暇政策の目的と効果
  2.1 子どもの発達
  2.2 働き続けるか、家にいるか
  2.3 ジェンダー公正目標
 第3節 結論
  付録5.A1 親休暇支援の主な特徴

第6章 公的保育と学童保育支援
 第1節 過去の政策傾向と現在の政策目標
  1.1 保育と早期教育を超えて
 第2節 保育や幼児期におけるサービスの多様性
 第3節 保育と小学校就学前教育への公的支出と参加
  3.1 優先グループ
  3.2 財政問題
  3.3 質
  3.4 学童保育——現下で進展する優先課題
  3.5 親への保育料と純費用
  3.6 保育費用の後に作用する金銭面でのインセンティブ
 第4節 結論
  付録6.A1 保育と就学前教育に従事する職員の資格

第7章 ファミリーフレンドリーな職場慣行
 第1節 仕事の時間
  1.1 正規フルタイムの週労働時間と年次休暇資格
  1.2 パートタイム労働者の立場を強化する政策
 第2節 フレキシブルな職場慣行
  2.1 フレキシブルな労働時間
  2.2 使用者によって提供される休暇
  2.3 企業の保育支援
 第3節 ファミリーフレンドリーな職場をめざす企業事情
  3.1 職場における、より大きなワークライフバランス支援に向けての公的介入
 第4節 結論
  付録7.A1 ワーク・ライフ相剋の水準と職場のフレキシビリティについての一定の量的な情報
  付録7.A2 使用者が提供する職場支援の普及について選定された国の情報

 参考文献
 監訳者あとがき

前書きなど

 仕事と家族生活の適切なバランスを見出すことはすべての親たちにとっての課題である。OECD諸国の多くの親たちは、いまある仕事と保育の状況について幸運な状況にあるが、他の多くの親たちはあれやこれやのかたちで、深刻な緊張感にとらえられている。一部の親たちは、(もっと多くの)子どもをもちたいと思っているが、そのための責任と就業とをマッチさせる方法を見出せないでいる。ある親たちは、家族のなかに何人かの子どもをもっているという点では幸せであるが、できるならもっと働きたいと思っている。しかし家族の状態では満足している親も、いまとは異なった時間帯で働きたいとか、労働時間をもっと短くしたいと思っているかもしれないが、実際にはそうしてはいない。それには、賃金の引き下げを受け入れる余裕がないとか、自分の職業上の未来を危険にさらしたくないといった理由がある。
 親たちが自分たちの望む仕事と家族生活のバランスを達成できない場合には、本人の福祉が低下するだけでなく、親たちの労働供給が減少するために経済発展もまた阻害される。出生率の低下は将来の労働力供給に影響を与えるし、社会保護システムの財政面での持続可能性に影響を与える。親としてのあり方は子どもの発達と、その結果としての将来の社会の形成に決定的な意味をもっているから、政策担当者たちは親がより良い仕事と家族生活のバランスを発見できるよう支援したいと思う多くの理由がある。
 ベイビー&ボスの検討では、これまでにオーストラリア、デンマーク、オランダ(OECD, 2002)、オーストリア、アイルランド、日本(OECD, 2003)、ニュージーランド、ポルトガル、スイス(OECD, 2004)、カナダ、フィンランド、スウェーデン、イギリス(OECD, 2005)の政策と家族の状況を分析してきた。シリーズの最終版であるこの報告書は、従来の事実発見を総括するとともに範囲を広げて他のOECD諸国をも検討の対象としている。この報告書では、OECD諸国全体の指標にもとづき、親の労働市場と家族の形成についての決定を支援するための税・給付政策、親休暇制度、学童保育支援、それに職場慣行について検証している。

著者プロフィール

高木 郁朗(タカギ イクロウ)

東京大学経済学部卒業。現在、山口福祉文化大学教授。主要著訳書に、『労働経済と労使関係』(教育文化協会発行、第一書林発売、2002年)、『ジェンダー主流化と雇用戦略——ヨーロッパ諸国の事例』(共訳、ユテ・ペーニング、アンパロ・セラーノ・パスキュアル編、明石書店、2003年)、『女性と労働組合——男女共同参画の実践』(共編著、明石書店、2004年)、『国際比較:仕事と家族生活の両立——日本・オーストリア・アイルランド』(監訳、OECD編著、明石書店、2005年)、『労働者福祉論——社会政策の原理と現代的課題(総論)』(教育文化協会発行、第一書林発売、2005年)、『図表でみる世界の社会問題OECD社会政策指標——貧困・不平等・社会的排除の国際比較』(監訳、OECD編著、明石書店、2006年)、『図表でみる世界の社会問題2OECD社会政策指標——貧困・不平等・社会的排除の国際比較』(監訳、OECD編著、明石書店、2008年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

熊倉 瑞恵(クマクラ ミズエ)

日本女子大学大学院人間生活学研究科博士課程後期在学中。2008〜2009年ロスキレ大学大学院社会グローバリゼーション研究科留学(デンマーク)。現在、愛国学園大学人間文化学助教。

上記内容は本書刊行時のものです。

関谷 みのぶ(セキヤ ミノブ)

日本女子大学大学院人間生活学研究科博士課程単位取得満期退学。現在、名古屋経済大学短期大学部准教授。主要著訳書に、『シリーズ・福祉新時代を学ぶ 改訂 新選 児童養護の原理と内容』(共著、神戸賢次、喜多一憲編、みらい、2007年)、『子どもの福祉と子育て家庭支援』(共著、星野政明、川出富貴子、三宅邦建編、みらい、2007年)、『新版 こどもの福祉』(共著、松本峰雄編、建帛社、2008年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

永由 裕美(ナガヨシ ヒロミ)

中央大学大学院法学研究科博士後期課程民事法専攻単位取得退学。現在、中央大学商学部兼任講師。主要著書に、『リーディングス社会保障法【第2版】』(山田省三編、八千代出版、2003年)、『労働法解体新書【第2版】』(角田邦重・山田省三編、法律文化社、2004年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。
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