メキシコ高校歴史教科書メキシコの歴史
ホセ=デ=ヘスス・ニェト=ロペス:著, マリア=デル=ソコロ・ベタンコート=スアレス:著, リゴベルト・ニェト=ロドリゲス:著, タニア・カレニョ=キング:著, 国本 伊代:監訳, 島津 寛:訳
発行:明石書店 この版元の本一覧
B5判 428ページ 並製
定価:6,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-3010-5 C0322
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年07月 書店発売日:2009年07月02日
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紹介

メキシコの高等学校で広く使われている歴史教科書の完訳。植民地支配から独立までの1巻、独立後の国家形成をたどる2巻を収める。公式自国史観や革命英雄史観を排した客観的な記述で、歴史を批判意識をもって分析・理解し、表現する力の養成に主眼を置く。

目次


メキシコの歴史 I 先スペイン時代から独立達成まで

 序文
第1章 歴史研究とその科学的構築
 1.歴史学の概念
 2.歴史の教育と学習のための方法論的
第2章 先スペイン時代
 1.人類のアメリカ定住
 2.メソアメリカとアリドアメリカ
 3.文化期
 4.メシカ族——徴税国家
第3章 征服と植民
 1.アメリカの発見
 2.メヒコ=テノチティトランの征服
 3.副王制
 4.ブルボン改革
第4章 メキシコの独立
 1.独立戦争の前提
 2.独立戦争

メキシコの歴史II 19世紀から現代まで

 序文
第1章 国民国家の形成(1821-1876)
 1.独立戦争の前提
 2.自由主義派と保守主義派
 3.アメリカ合衆国の膨張主義
 4.自由主義の針路
 5.フランスの干渉と第2帝政の成立
 6.共和制の復興
第2章 国家計画の強化(1876-1917)
 1.平和と秩序と進歩
 2.ディアス時代の生活
 3.衰退の徴候
 4.民主主義への熱望
 5.いくつもの革命と新しい憲法秩序
第3章 国家の再建と革命後の新体制の構造(1917-1940)
 1.カウディーリョ間の戦い
 2.国家の再建
 3.文化的民族主義
 4.最高権力者
 5.カルデナス主義
第4章 メキシコ国家の強化、危機と新自由主義モデルへの移行(1940-2000)
 1.国民の統合と近代化
 2.「メキシコの奇跡」と政治制度の危機
 3.方向転換:新自由主義と民主化への移行

 参考文献
 人名索引
 事項索引
 略号一覧
 監訳者あとがき

前書きなど


監訳者あとがき(国本伊代)

 本書は、メキシコの大手出版社サンティリャーナ社が編纂したメキシコの高等学校用の歴史教科書『メキシコの歴史』の日本語版である。対象とした原本は、上・下2巻に分かれた( I 巻164頁、II 巻248頁)、2004年の初版である。
 日本語版は、写真・図版はもとより訳文を含めて、できるだけ原本に合わせた頁構成となっているが、I・II 巻を1冊にまとめた。ただし目次は最初にまとめて示されており、原本 I・II 巻の巻末にそれぞれ掲載されていた参考文献は日本語版では巻末にまとめられている。なお I・II 巻にそれぞれ掲載されていた序文は、日本語版においては原本の巻頭にあたる位置に表紙とともに挿入されている。
 21世紀初頭のメキシコでは、高校用のメキシコ史の教科書は複数の出版社から出されている。いずれも公教育省の基本的指針(執筆要綱)にそって編纂されているが、B5サイズの大きさで500頁を超える分厚い1冊本にまとめられた教科書と、2学期に分かれたカリキュラムに沿ってメキシコ史を学ぶのに便利な上巻・下巻に分けられたサンティリャーナ社の教科書のようなものがある。このサンティリャーナ社の教科書は、他の出版社の教科書と比較すると、多くの図版・カラー写真の挿入とそれらのカラー写真を生かすために使用されている上質の用紙が大きな特色となっており、視覚的に訴えて学習意欲をそそる工夫がなされているという印象を受ける。ただし日本語版ではカラーの図版・写真ともすべて白黒になっている。
 2005/2006年の学暦から使用されはじめたこの教科書は、メキシコ全国の多くの学校で採用されている。ただし水準の高い国立大学付属高校などからは物足りないという意見があり、大学進学希望者の少ない学校の場合、やや詳しすぎるという意見が編集部に寄せられているという。つまり本書は、高校進学率が日本の場合と比較してはるかに低い(大都市と地方都市、農村と都市部では進学率に大きな差がある)メキシコにおける一般的な高校で採用されている、非常に標準的な歴史教科書であるといえる。

(…中略…)

 内容からみた本書の特徴は、かつて主流をなした公式自国史観を脱皮していることであろう。ここでいう公式自国史観とは、メキシコの根源を古代文明にもとめ、先スペイン時代の記述に総頁数の3分の1を割き、メキシコの独自性を敢えて先住民文化にもとめたきわめて「強力なナショナリステック」な歴史観をさす。またメキシコ革命を賞賛し、主要な革命運動の指導者たちを列挙した英雄史観も強い特徴のひとつであった。一方、サンティリャーナ社の教科書では、古代と植民地時代に当てられた分量は総頁数の4分の1で、19世紀初頭の独立運動から20世紀初期のメキシコ革命勃発までのほぼ100年間に総頁数の半分が割かれ、現代メキシコが形成された歴史過程をより客観的に学ぶよう工夫されていることが分かる。
 本書を通じてわれわれは、メキシコの高校生がどのように自国史を学んでいるのか、その内容とレベルと学習方法の一端を知ることができる。これは、われわれが現代メキシコとメキシコ人のアイデンティティを理解するのに役立つであろう。

著者プロフィール

ホセ=デ=ヘスス・ニェト=ロペス(ニェト=ロペス,ホセ=デ=ヘスス)

歴史学修士(メキシコ高等師範学校);教育学博士(メキシコ高等師範学校)
全国の中学、師範学校、高等師範学校で教鞭をとる。中学校用および高校用メキシコ史教科書(共著)をはじめ、多数の著書・論文等を有する。

マリア=デル=ソコロ・ベタンコート=スアレス(ベタンコート=スアレス,マリア=デル=ソコロ)

歴史学修士(メキシコ高等師範学校)
メキシコ市内の小・中学校で教鞭をとる。中学校用メキシコ史教科書(共著)および高校用メキシコ史教科書(共著)を有する。

リゴベルト・ニェト=ロドリゲス(ニェト=ロドリゲス,リゴベルト)

メキシコ国立自治大学文学部歴史学科卒。古代史専攻。高校用メキシコ史教科書(共著)をはじめ、メキシコ古代史に関する著作を有する。2005年6月に死去。

タニア・カレニョ=キング(カレニョ=キング,タニア)

歴史学博士(メキシコ国立自治大学);メキシコ近現代史専攻。
クリオ出版社の編集者、メキシコ国立自治大学フィルム資料館および国立メキシコ革命歴史研究所研究員を経て、多様な研究・著作活動に従事。中学・高校の歴史教科書(共著)のほかに著作多数を有する。

国本 伊代(クニモト イヨ)

中央大学名誉教授。歴史学博士(テキサス大学)・学術博士(東京大学);ラテンアメリカ近現代史専攻。
主要著書:『概説ラテンアメリカ史』(新評論、1992年)、『メキシコの歴史』(新評論、2002年)、『メキシコ革命』(山川出版社、2008年、世界史リブレット)、『メキシコ革命とカトリック教会—近代国家形成過程における国家と宗教の対立と宥和』(中央大学出版部、2009年)。

島津 寛(シマヅ ヒロシ)

神田外語大学非常勤講師。東京外国語大学大学院外国語学研究科ロマンス系言語専攻修了(文学修士)、地域文化研究科博士後期課程単位取得満期退学、上智大学大学院外国語学研究科言語学専攻博士前期課程修了(言語学修士);言語学・スペイン語学専攻。
主要論文:「文の定義とそのロマンス系言語(仏・西・伊)における適用」(国立音楽大学研究紀要第41集、2007年3月)、「近過去形の本質」(イタリア学会誌第48号、1998年10月)。

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