エビデンスに基づいた調査・研究・ケアハンドブック 青年期における自傷行為
クローディーン・フォックス:著, キース・ホートン:著, 田中 康雄:監修, 東 眞理子:訳
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 168ページ 並製
定価:2,400円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2990-1 C0047
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年06月 書店発売日:2009年06月04日
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紹介

近年増加をたどる若者の自殺的行為について、特に故意に自分を傷つける行為やその要因を中心に、最新の調査・研究を概観し、そのエビデンスに基づいた実効性を見込めるスクリーニングやケア・防止プログラムを紹介する簡潔でも密度の濃いハンドブック。

目次

1 はじめに
 故意に自傷行為をする人は「注目されたがっている」
 自傷行為には「痛みが生じない」
 問題の深刻さは傷の程度によって測ることができる
 要点

2 青年期における自殺的行為の有病率
 青年期における故意の自傷行為:オックスフォードの患者データ
 青年期における故意の自傷行為:全国調査データ
 要点

3 青年期における自殺的行為の危険因子
 自殺的行為のモデル
 危険因子としての個人的特性
 危険因子としての精神障害
 家族に認められる危険因子
 メディア
 要点

4 危険な状態にある青年の識別
 危険な状態にある人物の識別方法
 要点

5 青年のためのサービス
 サービスの委託
 サービスの提供
 要点

6 青年期における自殺的行為の転帰
 子どもから成人になるまでの追跡調査
 要点

7 青年による自殺的行為のマネージメント
 救急病院と総合病院における管理
 アフターケア
 アフターケアの有効性と転帰
 要点

8 青年期の自殺的行為の防止
 学校における自殺防止プログラム
 危険性のある生徒のスクリーニング・プログラム
 凶器の管理
 危機介入センター
 物質乱用の抑止
 メディアの責任ある報道
 自傷行為の反復の防止
 要点

9 今後の展望
 結論
 重要事項
 今後の研究に向けて

 関連する協会・団体とウェブサイト

 付録
  文献の検索
  研究の質
  論文の採用基準
  論文に対する批判的吟味の基準

 参考文献
 事項索引
 人名索引
 あとがき

前書きなど

   序

 若者の間で自殺的行為が増加している。実際に自殺はこの年齢層の死因の第3位になっている。自殺企図の割合が最も高い数字を示すのも通常は10代後半と20代である。近年になって自殺と自殺企図が研究分野として発展しているのも驚くべきことではないだろう。より効果的な治療的介入を確立していくためには,青年期の自殺的行為の原因と相関関係の解明に努めなくてはならない。若者の自殺的行為の綿密な研究は,リスク集団の識別と防止策の改善にも役立つだろう。さらに,この分野の研究においては,自殺的行為に与えられた負のイメージについて触れることと,この種の行動に対する批判的な反応の緩和に努めることも重要である。そうしたことが活発な議論を促進し,支援を求める人に光が当てられ,コンプライアンス(治療内容の順守)の向上にもつながる可能性があるからである。
 FOCUSは児童と青年のメンタルヘルスに関するプロジェクトであり,情報の普及を通して,児童と青年のためのメンタルヘルスサービス(CAMHS: child and adolescent mental health services)においてエビデンス(根拠)に基づく効果的な実践を推進することを目的としている。具体的には,CAMHSのさまざまなテーマに関するリサーチベースの質を確立するために,既存の文献レビューと各種の研究を批判的に吟味した,エビデンスに基づく書籍を刊行している。
 本書もこうした目的に沿って執筆されたものである。まず,青年期に認められる故意に自分を傷つける行為(以下,故意の自傷行為)(deliberate self-harm)に関する一般的な問題を取り上げる。定義の問題と,よくある誤解についても解説する。次に有病率に関するデータを紹介し,病院のデータと地域の標本から得られたデータについて考察する。第3章では,うつ病,物質乱用,反社会的行動と自殺的行為との間に関連性があるかどうかを調べるために,批判的に吟味した研究論文を使用して,自殺的行為の危険因子を考察する。第4章では,危険な状態にある人々を識別するためのスクリーニング・ツールに目を向け,青年を対象とする代表的なツールを批判的に吟味する。第5章では,故意の自傷行為をする若者に対する医療福祉的サービスの実用的な情報を紹介する。次に,自殺的行為の管理と防止の問題を取り上げ,批判的に吟味した研究を用いて,アフターケアの有効性とその結果,および学校で実施する自殺防止プログラムに関する疑問に答える。最終章では将来に向けての重要な教訓と示唆を提示する。付録として,アフターケアの有効性と結果,自殺的行為と精神医学的診断の関連,子どもから成人に至る追跡治療の3点に関連する文献の識別と,研究論文の批判的吟味の方法を紹介する。研究論文の検索と評価の方法を理解し,エビデンス・ベース〔訳注:臨床医学的判断は,適切に行われた研究によるエビデンスに基づいて行われるべきという立場〕の質を判断する一助となれば幸いである。

(…後略…)

著者プロフィール

クローディーン・フォックス(フォックス,クローディーン)

ウォーリック大学プライマリーヘルスケア研究センター研究員。プライマリーヘルスケアのほかに,幼少期に始まる摂食の問題,精神および身体の障害に対する子どもの知識や理解の仕方などを研究対象とする。

キース・ホートン(ホートン,キース)

オックスフォード大学精神医学教授,同大学自殺研究センター所長。『International Handbook of Suicide and Attempted Suicide(自殺および自殺企図に関する国際ハンドブック)』[未邦訳]の共編者。国際自殺防止協会(International Association for Suicide Prevention)(1995年),アメリカ自殺学協会(American Association of Suicidology)(2001年),アメリカ自殺防止財団(American Foundation for Suicide Prevention)(2002年)より賞を受ける。

田中 康雄(タナカ ヤスオ)

1958年,栃木県生まれ。児童精神科医・臨床心理士。獨協医科大学医学部卒。国立精神・神経センター精神保健研究所の児童・思春期精神保健部児童期精神保健研究室長などを経て,現在,北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター教授。日本児童青年精神医学会評議員・学会認定医。
主な著書として,『ADHDの明日に向かって 増補版』(星和書店,2004年),『軽度発達障害のある子のライフサイクルに合わせた理解と対応』(学習研究社,2006年),『軽度発達障害—繋がりあって生きる』(金剛出版,2008年)。監修として,『わかってほしい! 気になる子』(学習研究社,2004年)。また翻訳監修として,クリストファー・ギルバーグ『アスペルガー症候群がわかる本』(森田由美訳,2003年),ダイアン・M.ケネディ『ADHDと自閉症の関連がわかる本』(海輪由香子訳,2004年),エドナ・D.コープランド他編『教師のためのLD・ADHD教育支援マニュアル』(海輪由香子訳,2004年),ジョージ・J.デュポール他『学校のなかのADHD』(森田由美訳,2005年),ルース・シュミット・ネーブン他『ADHD 医学モデルへの挑戦』(森田由美訳,2006年),トム・ハートマン『なぜADHDのある人が成功するのか』(海輪由香子訳,2006年),スティーブン・V.ファラオーネ『子どものメンタルヘルスがわかる本』(豊田英子訳,2007年),ジョージ・J.デュポール他『診断・対応のためのADHD評価スケール ADHD-RS【DSM準拠】——チェックリスト,標準値とその臨床的解釈』(坂本律訳,2008年)が共に明石書店より刊行。

東 眞理子(アズマ マリコ)

翻訳家。ニューヨーク州立大学教養学部言語学科修士課程修了。
主な翻訳書に,フィリップ・マティザック著『古代ローマ歴代誌』(創元社,2004年),リチャード・ムーディ著『恐竜ファイル』(ネコ・パブリッシング,2007年),デイヴィッド・カービー著『フィンランドの歴史』(共訳,明石書店,2008年)など。

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