発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 372ページ 上製
定価:6,300円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2945-1 C0039
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年02月 書店発売日:2009年03月04日
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ネパールの羊飼いの牧畜活動を、文化生態学的な方法を基礎に、政治経済学と社会史の視点を織り交ぜつつ分析した民族誌。家畜飼養者同士の関係、移動先の住民や市場経済との関係など、周囲との社会関係を利用して柔軟に牧畜を続ける羊飼いの姿を明らかにする。
目次
はじめに
図表リスト
第1章 序論:ヒマラヤ地域における羊の牧畜
第1節 本書の目的
第2節 先行研究の検討と本書の視点
第3節 調査の方法
第4節 本書の構成
第2章 移動の舞台、羊飼いの母村、および羊の牧畜の形態
第1節 サガルマータ県
第2節 ルムジャタール村
第3節 季節移動
まとめ
第3章 家畜飼養の技術と畜産物の利用
第1節 家畜の個体識別
第2節 出産、仔羊の育成
第3節 畜産物の利用
第4節 個体の取引と家畜頭数の増減
まとめ
第4章 移動と放牧をめぐる羊飼い同士の社会関係
第1節 放牧キャンプの社会構成
第2節 主人と牧夫の関係
第3節 テリトリーをめぐる羊飼い同士の関係
まとめ
第5章 放牧地をめぐる対外関係とその変化
第1節 夏の放牧地の場合
第2節 夏以外の放牧地の場合
第3節 森林政策と羊飼い
まとめ
第6章 村の社会・経済変化と羊飼いの選択肢
第1節 ルムジャタール村における職業選択の多様性
第2節 羊飼いの変化:8年後の再訪
第3節 羊飼いの選択と移牧
まとめ
第7章 結論
第1節 生産活動
第2節 放牧地をめぐる社会関係
第3節 村の社会・経済変化と羊飼い
補稿
補稿1 ルムジャタール村の農事暦
補稿2 羊毛織物(ラリ)の製作
補稿3 家畜儀礼ヤルジャン
資料
資料1 ルムジャタール村における公共施設
資料2 B氏らの移動(1997年3月から1998年7月)
注
文献
あとがき
索引
地名索引
前書きなど
第1章 序論:ヒマラヤ地域における羊の牧畜(一部抜粋)
第4節 本書の構成
1.本書の構成
序論に続き、第2章では、調査をおこなった東ネパール・サガルマータ県の地理的概況、羊飼いの母村、彼らの牧畜の形態について概説する。まず、羊飼いの移動の舞台となるサガルマータ県の自然環境、歴史・民族集団の構成、羊飼いの母村であるルムジャタール村について述べてゆく。続いて、筆者が同行したある羊飼いの1年の移動を記述し、彼らが季節ごとにどのような環境のもとで家畜を飼養するのかを明らかにする。さらに、それ以外の羊飼いの移動経路と比較することで、移動の形態にどのような幅がみられるのか検討する。
第3章では、羊飼いの家畜飼養に関する技術と経済の過程に注目する。まず、個体識別の方法、出産と仔羊の飼養方法、畜産物の加工法や取引を記述する。また、家畜頭数の年間変動に注目し、彼らがいかに家畜頭数を調整しているのかを分析する。
第4章では、羊飼い同士の社会関係について、移動の単位となる放牧キャンプの分析を通じて明らかにする。まず、羊飼い個々人の出身村、民族集団、家畜頭数に注目し、放牧キャンプの構成パターンについて分析する。次に、牧夫の契約方法や雇用状況をみることで主人=牧夫関係の推移をたどってゆく。さらに、こうした放牧キャンプにおける社会関係がテリトリーをめぐる主人間の関係にいかに影響するのかを検討する。
第5章では、移動する先々で羊飼いがいかに放牧地を確保するのか、放牧地の利用をめぐる対外的な社会関係を、移動する先の住民との関係、国家の森林政策の変更に伴う変化の2つのレベルから明らかにする。
第6章では、村の社会・経済変化と羊飼いの職業選択について考察する。まず、羊飼いの母村であるルムジャタール村において、農業や牧畜以外にどのような職業選択の幅がみられるかを記述する。次に、この村の羊飼いの職業選択に関するいくつかの事例を示すことで、羊の牧畜が果たした経済的な役割について考察する。
第7章では、各章の記述を総括し、結論を述べると同時に今後の課題を指摘する。
著者プロフィール
渡辺 和之(ワタナベ カズユキ)
1969年埼玉県生まれ。富山大学人文学部、金沢大学大学院文学研究科を経て、総合研究大
学院大学文化科学研究科博士課程退学。博士(文学)。
現在:立命館大学非常勤講師。国立民族学博物館共同研究員。
専攻:文化人類学、環境人類学、人文地理学。
主要論文:「放牧キャンプの構成と離合集散」(『国立民族学博物館研究報告』32(3): 237-301, 2008)、Pastoralism within the Household Economy (ASAFAS Special Paper 10: 39-52, 2007)、Trading Process of Livestock Products (Senri Ethnological Studies 69: 153-169, 2005)。共著に『住まいをつむぐ』(佐藤浩司編・学芸出版社、1998)、『ヒマラヤの環境誌』(山本紀夫・稲村哲也編・八坂書房、2000)。
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