生活空間にみる民族共存のダイナミズムマレーシアにおける多民族混住の構図
宇高 雄志:著
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 400ページ 上製
定価:6,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2936-9 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年02月 書店発売日:2009年03月03日
※送料は無料です。版元より営業日2~5日でお届けします
※お支払いは郵便振替(到着後後払い)・クレジットカード(VISA、MasterCard、DC、JCB、AMEX、Diners、Nicos、UFJ)がご利用になれます
タグは版元ドットコム事務局で編集することがあります。
あらかじめご了承下さい。

紹介

建築学が蓄積してきた空間構築の方法論に軸足を置きながら、多様な民族的・文化的背景をもつマレーシアの人々の共存の実態を調査・分析。変化しつづける多民族社会のダイナミズムを安定的に受けとめることができる地域や建築空間を築くための方策をさぐる。

目次


序論 多民族混住:マレーシアへの視座
 1.記述の対象としてのマレーシア
 2.研究の過程と方法
 3.本論の構成

第1部 多民族国家の成立と多民族混住:国土と地域

第1章 植民地開発と植民都市の完成
 1.マレー半島における植民地開発と都市
 2.英領マラヤにおける植民地の完成と高原避暑地
 3.高原避暑地空間の変転と土着化:ペナンヒルの場合
 4.独立以降の高原避暑地
 5.小結:高原避暑地をめぐるまなざしの変転

第2章 独立以降の国土開発過程における混住社会
 1.独立前後の民族関係と地域空間
 2.マレー優先政策と国土再編
 3.国土開発の軌跡と動向
 4.独立以降の民族混住社会の出現と人口移動
 5.小結:混住社会の出現

第3章 多民族国家と建築デザインの展開
 1.国民文化政策と建築
 2.建築デザインの展開過程
 3.多民族国家を彩るもうひとつの視点
 4.小結:主義と様式からの離脱とアーバニズム

第2部 生活空間からみた多民族混住:近隣空間と住戸

第4章 村落空間における多民族混住とその変容
 1.マレー農村における生活空間
 2.事例1──地域開発におけるマレー農村の変容と文化:SK村の場合
 3.事例2──村落空間にみる民族混住と民族間の社会関係:RB村の場合
 4.小結:マレー農村──国民文化のあらわれとして

第5章 市街地における高密度な多民族混住
 1.ペナン州ジョージタウン:「東洋の真珠」の多民族混住
 2.ジョージタウンの都市形成過程
 3.ジョージタウンの都心部における多民族居住の状況
 4.市場、街路、宗教施設
 5.ショップハウス
 6.「民族界隈」:ジョージタウンのリトルインディアにみる民族性
 7.変貌する都市空間と民族関係:家賃統制令の撤廃
 8.小結:変貌する都市居住地と多民族混住

第6章 郊外住宅団地における民族混住
 1.住宅団地の民族混住:民族融和のひとつの解答
 2.住宅団地開発と多民族混住の展開
 3.住宅団地の計画手法と多民族混住
 4.ジョホールバル都市圏の住宅団地での多民族混住の実態
 5.ある住宅団地(SS団地)での多民族混住の実態
 6.SS団地の住戸空間にみる民族性
 7.団地居住者の民族ごとにみた居住環境評価
 8.小結:住宅団地における民族混住と民族融和

第3部 多民族混住の過去・現在・未来

第7章 多様な過去と未来を共有する:保存された文化と空間をめぐって
 1.文化遺産の「発見」
 2.世界遺産登録への取り組みの過程
 3.アチェモスクの保存と開発をめぐって
 4.多元文化社会における文化遺産の保存に向けて
 5.小結:多民族社会における文化遺産の保全

第8章 それぞれの多民族混住:多様な視点と多民族社会
 1.多民族混住の日常から
 2.多民族混住の裂け目:日常における異民族間のコンタクト
 3.民族性の濃度とそれぞれの選択
 4.民族関係:統合原理「ソリアルグリュー」と間合い感覚
 5.国民意識の高まり:ビジョンを共有すること
 6.ガバナンスの姿:寛容と非寛容のはざまで
 7.それぞれのマレーシア:さらなる多元性へ

結論 マレーシア:多民族混住のこれから
 1.多民族混住社会の形成の経緯:国土開発、民族融和、多民族混住
 2.多民族混住と生活空間
 3.新しい時代に向けて:多民族混住のこれから

 謝辞
 注記
 索引
 参考文献
 初出一覧

前書きなど


序論:多民族混住:マレーシアへの視座(一部抜粋)

3.本論の構成

 本論は、本編3部、8章で構成する。前半の2つの部において先に述べた多民族社会および多民族混住を異なる空間スケールから精査をおこなう。
 第1部では、多民族国家の成立と多民族混住、国土開発過程と地域社会の変容を論じる。
ここではマレーシアの多民族混住現象を規定する広義の制度を精査し、比較的マクロな空間スケールとなる国土空間の形成過程とそれの利用による経済関係の変転について述べたい。

(…中略…)

 第2部では、生活空間からみた多民族混住について、住まいと暮らしの空間スケールから論述する。
 ここでは、多民族混住における建築や都市空間、住まいや市場といった、比較的市民の日常生活の場に近い、ミクロな空間スケールを対象にして記述をおこなう。第1部で与えられた国土や地域レベルでの空間の利用や人口移動に鑑みながら、村落、都心市街地、郊外住宅団地と、それぞれ異なる社会的状況下での多民族混住の状況について精査したい。

(…中略…)

 第3部では、多民族混住のこれまでとこれからについて論じる。
 ここでは、これまでの2つの部で提示した、2つの空間スケールを視野においた記述から、国民それぞれのもつ記憶や生活体験といった同時代に共有される多民族社会像がどのように形成され、また異なる他者がとらえられたかについて論じたい。
 また過去から未来へいたる時間の流れの中に変転をつづける多民族混住のダイナミズムについてえがきたい。ここではとりわけ、多民族社会マレーシアに暮らす人々の、それぞれの視点からみた語りを中心に、国土、地域、都市、住まいにおける多民族社会と多民族混住について論じる。

(…中略…)

 結論では、これまでにみた多民族混住の状況を検証するとともに、多民族混住の将来について論述する。
 マレーシアにおける民族と空間の関係について展望したい。ここでは、これからのマレーシアにおける都市と建築、また多元文化主義の芽生えのもとに生成しつつある新しい多民族の共存の可能性について論じ、マレーシアにおける多民族混住の今後を展望したい。

著者プロフィール

宇高 雄志(ウタカ ユウシ)

兵庫県立大学環境人間学部准教授
博士(工学)、専門は建築学。1969年、兵庫県生まれ。1997年、京都大学大学院修了。同年より広島大学に勤務し、マレーシア科学大学とシンガポール国立大学に研究員として所属。2005年より現職。
主な著作に『住まいと暮らしからみる多民族社会マレーシア』(南船北馬舎・2008年)、訳書にウィリアム・リム著『21世紀アジア都市の未来像──シンガポール人建築家の挑戦』(明石書店・2004年)。

※送料は無料です。版元より営業日2~5日でお届けします
※お支払いは郵便振替(到着後後払い)・クレジットカード(VISA、MasterCard、DC、JCB、AMEX、Diners、Nicos、UFJ)がご利用になれます


コメントとトラックバック »

まだコメントとトラックバックはありません

TrackBack URI : http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7503-2936-9.html/trackback

コメントをどうぞ

お寄せいただいたコメントは、当サイトに掲載されますが、内容によっては削除させていただく場合がございます。なお、コメントへの回答は原則としていたしておりません。当サイト・著者・各版元へのお問い合わせの際は、お問い合わせフォームをご利用下さい

▲ページの上端へ