チョムスキーの「アナキズム論」
ノーム・チョムスキー:著, 木下 ちがや:訳
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 452ページ 上製
定価:3,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2922-2 C0010
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年02月 書店発売日:2009年02月04日
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紹介

新自由主義グローバル化が席巻する現代資本主義世界のなかで、いかに国家の暴力と資本の非道に対抗するか。自らが自らの意識を育んでいけるか——1969年から2004年まで「世界の良心」が思想と実践をめぐって語りつづけたアナキズム論=自由論の集大成。

目次

序文(チャールズ・ワイグル)
  ——Preface——

はじめに(バリー・ペイトマン)
  ——Introduction——

第 I 章 ベトナム戦争とスペイン革命——客観性とリベラルな学問
  ——Objectivity and Liberal Scholarship [1969]——

第 II章 言語と自由
  ——Language and Freedom [1970]——

第III章 アナキズムについて
  ——Notes on Anarchism [1970]——

第 IV章 アナルコ・サンディカリスムの今日的意義
  ——The Relevance of Anarcho-Syndicalism (Interview) [1976]——

第 V 章 『アナキズム論集』への序文
  ——Preface to Antologija anarhizma [1986]——

第VI 章 「民主主義の脅威」は封じ込めることができるか
  ——Containing the Threat of Democracy [1990]——

第VII章 アナキズム、マルクス主義、未来への希望
  ——Anarchism, Marxism and Hope for the Future (Interview) [1995]——

第VIII章 目標とビジョン
  ——Goals and Visions [1996]——

第IX章 アナキズム、知識人、そして国家
  ——Anarchism, Intellectuals and the State (Interview) [1996]——

第 X章 バリー・ペイトマンとの対話
  ——Interview with Barry Pateman [2004]——

第XI章 ジガ・ボドヴニクとの対話
  ——Interview with Ziga Vodovnik [2004]——

 人物一覧

 訳者あとがき

前書きなど

チョムスキー/アナキズムの可能性:訳者あとがき

 本書は、アメリカ合衆国の言語学者ノーム・チョムスキーの著書Noam Chomsky, Chomsky on Anarchism (AK Press, 2005)の全訳である。チョムスキーが言語学の枠を超えた政治論、社会論を本格的に論じはじめた一九六九年から近年までの論考やインタビューのうち、彼が「アナキズム」に言及したものを時系列に編んだアンソロジーである。
 周知のとおり、チョムスキーの作品は数多く——ほとんどと言っていい——邦訳されており、彼自身の来歴や業績についてもそれらの作品の中で繰り返し言及されている。だからここで、それについてあらためて解説する必要はないだろう。それよりも、むしろここではチョムスキーが語り続けてきた「アナキズム」の現実性と現在性について論じることに力を傾けたい。というのも、おそらくチョムスキーを愛読する多くの読者にとって「アナキズム」あるいは「アナキスト」は「死語」あるいは「全然聞いたことがない言葉」であり、本書を繙いた愛読者からは「なぜ、わざわざこのような『イズム』を取り上げるのか」という疑問がただちにわきあがるだろうからだ。
 事実、二〇世紀の大半において、アナキズムの思想と運動は常に社会の縁辺に位置し不可視の存在であった。古典的自由主義を始源とする点ではアナキズムと同縁の「左翼」たる共産主義、社会民主主義は、二〇世紀先進国においては基本的に議会主義とナショナリズムを肯定し、階級闘争の領域は国民国家に限定し、政治権力に接近あるいは実際にそれを獲得することで、社会改革をすすめる政治的実効性を維持していた。こうした左翼からすると、アナキズムの思想と運動は非現実的なものにほかならず、したがって向けられる批判は、本書第 I 章でチョムスキーが引用しているホブズボウムがいうように、「『民衆信仰を抱く者に非常に感動的なスペクタクルを』見せるもの」に過ぎない(本書八一頁)というものが典型的であった。かくして、国家を正面から否定するアナキズム思想は、さまざまな運動の理念や実践のなかに沈潜しつつも、主に文化・芸術の領域においてのみ顕在化する存在になった。

(…後略…)

著者プロフィール

ノーム・チョムスキー(チョムスキー,ノーム)

マサチューセッツ工科大学(MIT)教授。1928年生まれ。57年にTransformation Analysis(邦訳『文法の構造』)で生成文法に関する初の著作を公刊、言語学のみならず脳科学・認知科学にも巨大な影響を与えた。69年に米国の外交政策批判を中心とした初の著作American Power and the New Mandarins(邦訳『アメリカン・パワーと新官僚』)の上梓以後、メディアやグローバリズムなどに関する著作も多数発表。
主な邦訳に、明石書店から『チョムスキーの「教育論」』『チョムスキー21世紀の帝国アメリカを語る』『テロの帝国アメリカ』『グローバリズムは世界を破壊する』のほか、『現代世界で起こったこと』(日経BP社)、『チョムスキー、アメリカを叱る』(NTT出版)、『破綻するアメリカ壊れゆく世界』『すばらしきアメリカ帝国』『チョムスキー、民意と人権を語る』(以上、集英社)、『メディアとプロパガンダ』(青土社)、『マニュファクチャリング・コンセント』(トランスビュー)、『知識人の責任』(青弓社)、『アメリカの「人道的」軍事主義』『アメリカが本当に望んでいること』(以上、現代企画室)、『秘密と嘘と民主主義』(成甲書房)、『言語と認知』(秀英書房)、『生成文法の企て』(岩波書店)など。

木下 ちがや(キノシタ チガヤ)

慈恵医科大学非常勤講師。一橋大学大学院社会学研究科博士課程(専攻:政治学)。1971年、徳島県生まれ。
主な著書に『アメリカ発 グローバル化時代の人権』(共著、明石書店)、『対テロ戦争と現代世界』(共著、御茶の水書房)など。訳書にジョック・ヤング『後期近代の眩暈』(共訳、青土社)、デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義』(共訳、作品社)、ジャイ・センほか編『世界社会フォーラム』(共訳、作品社)、ウィリアム・フィッシャーほか編『もうひとつの世界は可能だ』(共訳、日本経済評論社)など。

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