発行:明石書店
この版元の本一覧
四六判 360ページ 並製
定価:3,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2778-5 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年04月
書店発売日:2008年05月08日
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紹介
地方から世界へ——中央を経由せず、新潟から直に国境を越えてラオス、ベトナム、バングラデシュ等の国々へ国際協力を行ってきた新しいNGO、新潟国際ボランティアセンター。その具体的な事例研究とその軌跡を記した、NGO起ち上げのマニュアルともなる書。
目次
はじめに——地方でこそNPO/NGOは面白い(福田忠弘)
第1章 地方発国際NGOの誕生(福田忠弘)
1 NVCの誕生——バザーをやろう
2 組織化
第2章 売上げが二〇〇万円を超える「バザーマニュアル」(関洋介)
1 なぜNVCバザーは二〇〇万円を超えるのか——バザー運営マニュアル
2 バザーマニュアル(ボランテャアスタッフ編)
3 バザーの意義
第3章 有給専従職員のいない事務局(谷口良)
1 専従職員のいない事務局
2 組織と運営
第4章 さまざまな形をとる海外支援活動(福田忠弘)
1 地域から国境を越えて世界へ
2 さまざまな形をとる海外支援活動
3 世界から地域へ——国内での啓発に関する活動
第5章 乳幼児死亡率を下げるために——ラオスでの活動(関洋介)
1 他団体への資金援助事業
2 一〇年後のラオス・プロジェクト
おわりに
◆コラム5・1 ラオスの豊かさ、新潟の豊かさ(谷山博史)
◆コラム5・2 NVCのスタディツアーには感動がある(馬場隆史)
◆コラム5・3 ラオスを鏡として見る日本社会(小池上綾子)
第6章 戦乱の地、旧ユーゴスラビアへの支援(江口昌樹)
はじめに
1 当時から現在までの旧ユーゴスラビアの概要
2 地方都市におけるチャリティコンサートの経験から
3 新潟と紛争地域をつなぎながら平和を考える
◆コラム6・1 戦争犯罪を裁く——旧ユーゴスラビア国際刑事法廷(江口昌樹)
第7章 教育支援——ベトナムでの活動報告(福田忠弘/小林伸子)
はじめに
1 ベトナムとの出会い
2 小学校建設事業
3 孤児院建設・支援事業
4 障がいを持った子どもたちが住む寺院——キークワン寺支援
5 奨学金支援プロジェクト
6 緊急支援プロジェクト
7 ベトナムミニプロジェクト
◆コラム7・1 ベトナムでのNVC(リー・トゥ・リン)
◆コラム7・2 「皆川奨学金」の余徳(佐藤明夫)
◆コラム7・3 未来への飛躍(グエン・ブイ・アイン・ティ)
◆コラム7・4 KQ寺での体験(矢吹あゆみ)
◆コラム7・5 ベトナムフェスティバル(グエン・チャー・リー)
◆コラム7・6 絵手紙プロジェクト(大野一伊)
第8章 生きねばならぬ——子ども、女性、命を守るバングラデシュ事業(渡邉順美)
はじめに
1 事業開始の契機、カウンターパートの設立
2 補習教室支援
3 補習教室の成果と課題
4 女性のエンパワーメントのために——ミナエコリ識字教室への展開
5 安全な水をお腹いっぱい飲みたい——深井戸掘削事業
6 バングラデシュの農村で学んだこと——むすびに代えて
◆コラム8・1 サジェダさんの一日(渡邉順美)
第9章 東アフリカ(マダガスカル・ケニア)に臨む(峯田史郎)
1 東アフリカ・プロジェクトの意義
2 スタディツアー活動の方法・内容
3 日本の東アフリカ支援の現状
おわりに
◆コラム9・1 緑の国際協力——マダガスカル・ケニアスタディツアーのその後(仲村正彦)
第10章 新しいネットワークの構築(福田忠弘)
はじめに
1 地域社会における新しいネットワーク
2 地域と地域を結ぶ
3 地域を良くする
◆コラム10・1 新潟工業高等学校ボランティア同好会の活動紹介(横堀正晴/山本順子/矢沢明)
第11章 企業との協働プロジェクト——「社員ボランティア支援」を利用した事業の事例報告(福田忠弘)
1 企業と市民団体
2 企業とNGOが協力した事例について
3 「社員ボランティア支援」との協働プロジェクトの事例について
第12章 労働組合との連携(山田太郎)
1 変革を迫られる労働運動
2 全逓新潟の国際交流・国際貢献活動
3 スタディツアーに参加した青年たち
4 連合新潟の奨学金事業
第13章 大学との連携(峯田史郎/福田忠弘)
はじめに
1 NVC創設につながる大学内での取組
2 NVCと大学の連携
3 学生間ネットワークの形成
4 バザーへの参加による学習効果
おわりに
第14章 マスコミの協力(三浦真)
1 新聞のニュース報道
2 現地活動の報道
◆コラム14・1 「マイアムバーチウの思い出」(小野沢裕子)
あとがき——汎用モデルのための注釈(多賀秀敏)
年表——NVCの20年
前書きなど
はじめに——地方でこそNPO/NGOは面白い(福田忠弘)
本書は、地方都市新潟に拠点を置き、一九八九年以降活動を継続してきたある地方発国際NGOの活動報告であると同時に、その特異な組織形態と独特な活動内容についての事例研究でもある。地方でのNPO/NGOの事業は、過疎化や高齢化、地方格差の影響を受けて、高齢者の介護や福祉、町おこしが活動の中心となっていることが多く、海外事業をメインに行っている団体は少ない。また、運営に関しては、専従職員をどのように確保するのか、専従職員の給料をいかに捻出するのかが中心に論じられる傾向がある。
しかし、本書で紹介する新潟国際ボランティアセンター(Niigata International Volunteer Centre:以下、NVCと略す)は、一九九〇年の設立以来、あえて無給の非専従職員(つまりボランティア)だけで事業を運営し、行政を頼らず(したがって行政の助成金などはあまりあてにしない)、地方から国境を越えて世界と直結して、数多くの海外事業を展開してきた。しかし単に、海外でのプロジェクトを行ってきただけではない。一見奇異に感じるかもしれないが、海外事業を行うことにより、新潟の地域社会をより強化する役割を担ってきた。海外事業に関するさまざまな事業を通して、優秀な人材を育成しつつ、地域社会のなかにこれまでとは異なる「新しいネットワーク」を築いてきた。こうした「新しいネットワーク」は、地方にこだわり、無給の非専従職員だけで活動し、行政に頼ることなく、さらに国際的な事業を行ってきたからこそ可能だったとも言える。本書で言及するような、地方発国際NGOが中心となって形成される「新しいネットワーク」の事例は、従来報告されることは少なかったものである。そこで本書では、NVCの歩みを紹介すると同時に、この経験を多くの人々と共有することを最大の目的としている。
地方発国際NGOの海外での事業展開と、新潟の地域社会の強化を関連付けることは読者にとってはなじみがないかもしれない。しかし今後は、こうした活動が必須のものになってくると考えている。現在、私たちの生活は、地球規模のレベルから地方のレベルまで、さまざまな問題にさらされている。しかし、そうした問題を解決するためには、地球規模(グローバル)と地方レベル(ローカル)の両面から対処していく必要がある。現代社会においては、世界市場における原油などの資源価格の高騰が私たちの生活を直撃する一方で、クールビズ、ウォームビズなどの私たち一人ひとりの生活スタイルが地球温暖化の行方をも左右するのである。最近、「地球規模で考えて、地元で行動する(think globally, act locally)」や、「グローカル(グローバルとローカルを組み合わせた造語)」ということがさかんに言われる。こうした「グローカル」な視点に立たなければ、地球規模の問題も、地方の問題も解決が困難になってきている。
しかし、多国間会議や有名な国際NGOの情報には接し易いが、日本の地方におけるNGOの活動報告や事例研究というのはそれほど多くはない。地方における「グローカル」な活動となるとさらに情報は限られてくる。NVCは、海外でのさまざまな事業を行いながらも、新潟という地域社会をいかに強化するかといった視点を常に持ち続けて活動をしてきた。今後は、地方における「グローカル」な活動こそが必須になると考えている。本書から「グローカル」な時代に向けての、「普遍性」「汎用性」を読み取っていただければ幸いである。
(…以下略…)
著者プロフィール
新潟国際ボランティアセンター(ニイガタコクサイボランティアセンター)
1989年11月、何の組織もない状態で、新潟の一部の市民が中心となってラオスのためのバザーを開催し、200万円の売上げを出した。このバザーの成功をもとに、1990年3月にNVCが設立された。その後、意識的に一人の有給専従職員も置くことなく活動を継続する。ラオス、旧ユーゴスラビア、ベトナム、バングラデシュ、マダガスカル、ケニアなどでの海外で事業を展開すると同時に、新潟の地域社会における人材育成、新しいネットワークの構築に携わる。
NVC設立以来、ラオスで活動する他団体への資金援助を10年間継続し、その後1995年から自前のベトナム・プロジェクトを開始した。ベトナムには小学校を19校建設し、延べ8,000人の児童への就学機会を提供したと同時に、孤児、障がい児者への支援のほか、大学生(少数民族出身を含む)への奨学金授与などのプログラムを行っている。1999年からバングラデシュ・プロジェクトをスタートし、公立学校に通う児童への補習教室、読み書きができない女性への識字教室、砒素に汚染されている地域において深井戸掘削事業を実施している。
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