女性と健康ジェンダー白書6
北九州市立男女共同参画センター“ムーブ”:編
発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 204ページ 並製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2744-0 C0336
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年03月
書店発売日:2008年03月28日
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紹介

WHO憲章にもあるように、健康は社会的・経済的・政治的な課題=人権問題である。本書は「女性と健康」をテーマに、ジェンダーの視点から男女の生涯を通じた健康課題に取り組み、とりわけ女性の健康に関わる諸問題の解決に向けた方策や展望を提供する。好評のシリーズ第6弾。

目次

はじめに

特集 女性と健康

〈総論〉なぜ「女性と健康」なのか(荻野美穂)
 1 身体のジェンダー化
 2 女の身体と権力
 3 「健康」の意味するもの
 4 女の運動が目指したもの
 5 新しい課題

グローバリゼーションのなかの女性の健康(喜多悦子)
 1 ミクロの人間研究とロザリンド・E・フランクリン
 2 グローバリゼーションと保健の開発理念
 3 グローバリゼーションで広がったこと
 4 おわりに——ミレニアム開発目標と女性の健康

日本におけるリプロダクティブ・ヘルスの現状(北村邦夫)
 1 リプロダクティブ・ヘルス(Reproductive Health)とは
 2 カイロ会議から北京会議へ
 3 母子保健はリプロダクティブ・ヘルス/ライツの一要素
 4 満たされない日本人の性
 5 産む、産まない、産めない
 6 妊娠するか、しないか
 7 意図しない妊娠・出産が六四%の国
 8 緊急避妊法も存在しない国、日本
 9 性差を踏まえた男女共同参画社会の形成を

不妊治療をめぐる施策と想像力——「俺の産んだ子」は誕生しないのか(武藤香織)
 1 はじめに
 2 近年の不妊をめぐる施策状況
 3 代理出産をめぐる状況
 4 では、「俺の産んだ子」は受け入れるのか

プロダクティブ・ヘルス/ライツと性的少数者——「健康」概念を取り込む戦略の行方(東優子)
 1 はじめに
 2 性的少数者をめぐる人権問題のリアリティ
 3 「健康」概念を取り込む戦略
 4 曖昧に位置づけられる「性」と埋没する「性的少数者」
 5 性的少数者のウェルビーイング(well-being)を保障するということ

人生百年社会と女性の健康(樋口恵子)
 1 はじめに——人生百年社会の到来
 2 高齢社会と女性の健康に関する提言
 3 女性の健康とドメスティック・バイオレンス
 4 おわりに

生涯を通じた女性の健康と女性/子どもに対する暴力の根絶(中山まき子)
 1 はじめに
 2 「性と生殖の健康・権利」概念と女性に対する暴力との接合
 3 女性に対するあらゆる暴力と性犯罪・性暴力
 4 具体例から見た健康被害と暴力——DVと女性/子どもの健康・権利
 5 おわりに

高度情報化を社会背景とした女性の健康問題(芳賀美子)
 1 はじめに
 2 ネットメディアと青少年
 3 若い女性の健康阻害の要因
 4 民間および国の取り組み

人の移動の国際化と女性の健康問題——香港・台湾・シンガポールの事例から(安里和晃)
 1 はじめに
 2 移住家事労働者——在宅労働者の健康問題
 3 国家による身体管理
 4 送出し国政府の政策が及ぼす影響
 5 結婚移民の増大——台湾と韓国の例から
 6 政府の役割・NGOの役割

「男」の病——男性性と健康(伊藤公雄)
 1 はじめに
 2 胃ガンが発見され手術を受けるまで
 3 病気/健康と男性というジェンダー
 4 なぜ男性の寿命は短くなったのか
 5 生物学的性差と医療・健康
 6 おわりに

女性・男性の健康の展望——日本の指標と国際的な動向(原ひろ子)
 1 はじめに
 2 性差医療について
 3 日本における男性と女性の健康をめぐる課題
 4 女性に対する暴力
 5 国際的な動向

 書誌情報  キーワードでつかむジェンダー問題最前線
 資料集  「女性と健康」関連法文書

 索引
 執筆者紹介

前書きなど

 はじめに

 現代ほど「健康」に私たちの関心が高まっている時代はありません。私たちは健康のために、運動や食生活に気を配っていますが、それは一般的な身体的健康の話です。表面的な「健康」ではなく、包括的意味での本当の「健康」とは何でしょうか。第四回世界女性会議(一九九五年)で採択された北京行動綱領の重大課題領域の一つである「女性の健康」において、健康とは、「身体的、精神的及び社会的に安寧な状態であり、単に病気や病弱でないことではない。女性の健康は感情的、社会的および身体的安寧を含み、生物学のみならず、女性の生活の社会的、政治的及び経済的状況によって決定される」と定義されました。つまり、女性の健康とは、身体的、精神的、感情的、社会的に良好な状態にあることで、その「安寧」な状態はしばしば女性の置かれた社会的、政治的、経済的状況に左右されることを意味しています。またカイロの国際人口・開発会議(一九九四年)で提唱された「性と生殖に関する健康と権利」(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)は、国際社会で女性の人権の一つとして位置づけられました。
 男女が生き生きと活力に満ち、持てる能力を十分に発揮して、仕事、家庭生活、自己啓発、社会貢献などにおいて、ワーク・ライフ・バランスのとれた有意義な生活を送るためには、健康に関するさまざまな配慮が必要となってきます。また、女性の一生というライフサイクルにおける健康という点では、青年期、妊娠・出産・授乳期や、育児期や、中年期、老年期などにおける特有の健康問題が浮上してきます。
 このたび北九州市立男女共同参画センター“ムーブ”は、シリーズ六巻目となる『ムーブ叢書 ジェンダー白書6——女性と健康』を刊行いたしました。WHO憲章、女子差別撤廃条約、国際人口・開発会議行動計画のリプロダクティブ・ヘルス/ライツ、北京行動綱領、内閣府の男女共同参画基本計画(第二次)の「健康」の定義をふまえ、ジェンダーの視点から男女の生涯を通じた健康課題に取り組み、とりわけ女性の健康にかかわる諸問題の解決に向けた方策や展望を提示しました。
 本書では「高度情報化社会」「グローバリゼーション」「少子高齢社会」「広がる移住労働」などさまざまな社会的背景が女性の健康に及ぼす影響や、「身体のジェンダー化」「女性・子どもに対する暴力」「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」や「不妊治療」「性的少数者」「生殖補助医療技術」「性差医療」「男の病」などさまざまな観点から「健康」の意味を問い直しています。
 本書が一般読者を始め、男女共同参画センター、女性センターや地方自治体で男女共同参画行政に携わる方々、ジェンダーについて学んでいる学生や研究者の方々にも広く活用いただき、男女共同参画社会実現に向けての一助となれば幸いです。
 最後に、本書の刊行にあたりご協力いただきました関係の皆様方に心から感謝し、お礼を申し上げます。

 二〇〇八年 三月 北九州市立男女共同参画センター“ムーブ”所長 吉崎邦子

関連リンク

北九州市立男女共同参画センター“ムーブ”

著者プロフィール

北九州市立男女共同参画センター“ムーブ”(キタキュウシュウシリツダンジョキョウドウサンカクセンタームーブ)

 1995年7月、男女共同参画社会の実現を目指す活動と情報発信の拠点施設として北九州市立女性センター(愛称:ムーブ)の名称で開所。2002年4月、「北九州市男女共同参画社会の形成の推進に関する条例」の施行に伴い、名称を「北九州市立男女共同参画センター」と改称。市民参画のもとで、「知る」「交わる」「考える」「生まれる」をコンセプトに、情報収集・提供、講座・講演会、企業等対象のセクシュアル・ハラスメント防止研修、市民活動支援・連携、相談などさまざまな事業を展開している。

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