屋根の下で暮らしたい世界の貧困問題と居住運動
ホルヘ・アンソレーナ:著
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 232ページ 並製
定価:2,800円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2703-7 C0036
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奥付の初版発行年月:2007年12月 書店発売日:2008年01月08日
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紹介

世界の都市人口の多くが、スラムや路上で生活し、貧困や迫害、不衛生な環境に苦しんでいる。本書で紹介される、支援グループ、貧困者自身による住宅獲得のための様々なユニークなプロジェクトは、著者が30年にわたって取り組んできた活動の軌跡でもある。

目次

はじめに

第1章 コミュニティ組織──他の人々と同じように扱われることを求めて
 1.部落解放同盟(日本)
 2.ウァイカン・プロジェクト(ペルー)
 3.ソール・アリンスキー
 4.コミュニティオーガナイザー(COPE)(COM)(UPA)(フィリピン)
 5.ダラビ住民統一組織(PROUD)(インド)
 6.青年連合ボランティア活動(YUVA)(インド)
 7.韓国における住宅運動
 8.パウロ・フレイレ
 9.サンパウロ住宅運動連合(UMM)(ブラジル)
 10.人間居住財団(HSF)(タイ)

第2章 コミュニティの組織化──貯蓄と融資をとおして
 1.貯蓄活動のはじまり(バングラデシュ、インド、南アフリカ)
 2.インドの同盟(Alliance)の活動
 3.貧困者の組織化(南アフリカ)
 4.都市貧民連盟(LPUPA)(フィリピン)

第3章 政府による貧困層のための居住プログラム
 1.住宅都市開発公社(HUDCO)(インド)
 2.百万戸家屋プログラム(スリランカ)
 3.地方自治体が支援する相互扶助(アルゼンチン)
 4.住宅補助金プログラム(チリ)
 5.コミュニティ抵当プログラム(CMP)(フィリピン)
 6.都市コミュニティ開発機構(CODI)(タイ)
 7.フォソビ(FOSOVI)(メキシコ)
 8.ラテン・アメリカ──予算編成に参加する住民(ブラジル)

第4章 貧困層に対する民間機関などによる財政支援
 1.貧困者のための銀行(グラミン〔農村〕銀行)(バングラデシュ)
 2.NGOsが運営する融資プログラム(アルゼンチン/ブラジル/フィリピン)
 3.貧困者組織がNGOの協力を得て行う融資プログラム(南アフリカ/ジンバブエ/ナミビア/フィリピン/ラオス/スリランカ/インド)

第5章 きわめて低価格の住宅
 1.ヤヤサン・ソーシャル・スギャプラナタ住宅プロジェクト(YSS)(インドネシア)
 2.マンガロール市のプロジェクト(インド)
 3.スクォッターの定住とオガール・デ・クリスト住宅財団(HC)(チリ)
 4.オガール・デ・クリスト財団の住宅(VHC)(エクアドル)
 5.セルビビエンダ(Servivienda)(コロンビア)

第6章 低価格住宅
 1.開発と小規模住宅のサルバドル協会(FUNDASAL)(エル・サルバドル)
 2.低価格住宅の実験センター(CEVE)(アルゼンチン)
 3.フリーダム・トゥ・ビルド(F to B)(フィリピン)
 4.パグタンバヤヨン財団(PF)(フィリピン)
 5.都市貧困層開発財団(FDUP)(フィリピン)

第7章 農村の住宅
 1.アーメダバード研究活動グループ(ASAG)(インド)
 2.グラミン銀行(Grameen Bank)(バングラデシュ)
 3.メビール(MEVIR)(ウルグアイ)

第8章 将来の世代に対する歴史的・文化的遺産の保存
 1.日本
 2.チベット/中国
 3.中国
 4.ネパール

第9章 住宅から都市へ、そしてそれを越えて
 1.カンプン改善プログラム(KIP)(インドネシア)
 2.スラムのトイレット建設(インド)
 3.オランギ・パイロット・プロジェクト(OPP−RTI)(パキスタン)
 4.カッチ・アバディ(不法占拠地)(パキスタン)
 5.都市問題研究センター(URC)(パキスタン)
 6.地方自治体と貧困者(フィリピン)

第10章 ホームレス
 1.モイ(MOI)(アルゼンチン)
 2.橋の下コミュニティ(Under the Bridge Communities)(タイ)
 3.日本のNGOはどのようにホームレスを支えているか?
 4.ホームレス交換プログラム(韓国/日本/香港)
 5.グランズウェル(Groundswell)(イギリス)
 6.ザ・ビッグ・イシュー(The Big Issue)
 7.ディグニティ・ビレッジ(尊厳村)(アメリカ合衆国)

前書きなど

むすび

 世界の都市人口の3分の1にあたる10億の人々がスラムに住み、最も貧しい人々は路上で暮らしている。彼らは安全でない住まいや土地、政府による迫害、栄養不良、暴力、水やトイレットの不足に苦しんでいる。彼らの多くは若いうちに死んでしまう。
 スラムはその国の最悪の貧困と不平等を示している。国連人間居住センター(United Nations Centre for Human Settlements-Habitat)はこのような状況について、次のように指摘する。「政府の意志の不足や怠慢と、現在進行中のグローバリゼーションによって、これまでにも絶望的であったスラム住民の社会的・物理的状況がよりいっそう悪化しており、もし根本的な対策が何もとられないとしたら、スラム住民の数はこれからの30年間で倍増し、20億人になるであろう」。
 ところがこのような危機的状況について認識している国、都市、あるいは国際機関はきわめて少なく、倍増するであろう貧しい人々への住宅や諸種のサービスについての計画はまだない。
 しかし本書の中で、貧しいコミュニティへの奉仕に生活をあげて取り組んでいる個人や組織をいくつか紹介してきた。彼らはいろいろな問題を、たとえ一歩一歩であっても、少しずつであっても解決することができる、さまざまな方法を示してくれる。
 彼らはそのような苦しみや不正を前にして無関心ではいられない人々である。
彼らは選挙のときに、「あなたがたはそれができない、われわれに任せてください、われわれがあなたがたのためにやります」という政治家たちを信用しない。
 彼らは、「この世界を変革するためには、貧困者が希望であり、実行者であり、解決者であると確信し、貧困者自身が自分たちこそ現在の状況を変える能動的主体であると自覚することが、もう1つの世界を実現するための唯一の方法である」と信じている。
 彼らの何人かは亡くなった。他の人々は疲れを知らない活動を続けている。これらの人々に、またその名が記されなかった多くの人々に、本書をささげる。

著者プロフィール

ホルヘ・アンソレーナ(アンソレーナ,ホルヘ)

1930年、アルゼンチン生まれ。
東京大学大学院(工学)博士課程修了。工学博士号取得。
日本建築学会会員。SELAVIPディレクター。
居住権のためのアジア連合(ACHR)創設に携わる。
長年、上智大学で教鞭をとる。
現在、世界各地のスラムで低コスト住宅作りのアドバイザーとして活躍。
第1回国際居住年記念賞受賞(1988年)。
マグサイサイ賞国際理解部門受賞(1994年)。
イエズス会司祭。

共著『スラム民衆生活誌』、『居住へのたたかい』、『スラムの環境・開発・生活誌』(明石書店)、など。英文著書数冊。SELAVIPニュースレター年2回発行。

上記内容は本書刊行時のものです。
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