発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 356ページ 上製
定価:6,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2702-0 C0336
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年01月
書店発売日:2008年01月11日
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同名1の続編として1992年10月から2005年9月までに刊行された日本人移民・日系人に関する研究文献を収集し、分類・整理を行い、その解題を付すとともに、今後の研究動向を展望する。新たに在日南米日系人に関する文献目録を加えるなど、一層の充実を図った。
目次
まえがき
第1部 研究の動向と展望
Part 1 移民と国家
第1章 出移民
第2章 国際関係
第3章 越境、帰米、新移民
Part 2 コミュニティ
第4章 戦時収容、再定住、リドレス
第5章 コミュニティと経済
第6章 宗教
第7章 教育、言語
第8章 マスメディア、ジャーナリズム
第9章 芸術
第10章 女性
第11章 医療、健康、福祉
Part 3 アジア、オセアニア、中南米
第12章 アジア 植民地・勢力圏への移民
第13章 オセアニア
第14章 中南米、在日南米日系人
第2部 文献目録
文献目録
在日南米日系人に関する文献目録
復刻版目録
索引
前書きなど
まえがき
最近の日本人移民・日系人に関する研究は、日本国内においても海外(とくに北米および南米)においても、大きな進展を見せている。その進展の顕著な特徴は、研究量の増加と、研究の多様化である。研究量の増加は、「移民」や「移住」という現象に関心を持つ研究者の数が増加したことだけではなく、一般の人々の間でも移民や日系人への関心が深まっていることをも示している。日本においては、1980年以降、外国人労働者として入国した南米出身の日系人の存在が、この分野の研究増加に寄与している。また海外、ことにアメリカ合衆国では、1965年移民法成立以降に見られるアジアやメキシコからの移民の急増や不法移民問題などが政府および社会の注目を浴びており、その研究が増加したのである。
研究の多様化は、日本国内・国外いずれにおいても、日本人移民および日系人が、歴史学、社会学、人類学、経済学、地理学、文学、教育学、言語学、女性学、医学などにとどまらず、表象研究といった分野でも扱われるようになったことに、明確に示されている。加えて、一つの分野における研究ではなく複数の分野にまたがった学際的研究の増加も著しい。研究分野の広がりと学際的研究の増加の基盤には、当然のことながら、新しい研究分野が生まれ確立してきたという事実があるが、移民研究あるいはエスニック集団研究のなかでもとくに日系人研究に関しては、広い分野での日系人の活躍も、この現象に寄与していると思われる。たとえば、これまでは日系人の顕著な活動といえば経済や労働の分野あるいは政治や学問の世界というステレオタイプ的な認識が受け入れられていたが、最近では、作家や映画制作者、スポーツ選手として名を馳せる日系人も増えているのである。必然的に研究の分野は広がってきた。こうした移民研究の進展と裾野の広がりには目を見張るものがあり、膨大な量の研究が新たに出現しているのである。
本書は、このように多様化し豊かになった研究内容とその研究視座の検討・再検討が早急に必要であるという認識から始まった共同研究の成果である。具体的には、本書は、『日本の移民研究 動向と目録』(日外アソシエーツ、1994年)の新版『日本の移民研究 動向と文献目録1 明治初期-1992年9月』(明石書店から本書と同時刊行)の続編である。『日本の移民研究 動向と目録』は、移民研究会が1991年に日本証券奨学財団より研究調査助成金を受けて、日本における移民研究の整理および文献解題を行い、その成果として出版したものであり、きわめて緻密かつ網羅的で、その後の移民研究に大いに貢献したと評価されてきた。その続編である本書は、前回の研究調査時(1992年)以降に日本国内で刊行された日本人移民・日系人に関する研究文献の収集・分類・整理・解題を行い、この分野の研究動向を把握し、今後の研究を展望する形でまとめられたものである。
本書は、第1部「研究の動向と展望」と第2部「文献目録」から成っている。第1部「研究の動向と展望」では、日本人移民・日系人研究の動向を、現在までの特徴および今後の展望をも含めて分析し評価した。研究動向を論じるなかで解題をした文献は、第2部「文献目録」で検索できる形になっている。目次からわかるように、整理の柱として、「移民と国家」「コミュニティ」「アジア、オセアニア、中南米」が立てられている。この三つの枠を設けるには苦労があった。第3の枠に分類される研究を第1および第2の枠に含めることができれば、研究者にとってより有効ではないかと考えたからである。努力の結果、やはり、北米を中心とする日系人研究と、ほかの地域のそれとを同じ枠に入れて論じることは不可能であるとの結論に達した。北米以外の地域の移民・日系人研究を第1および第2の枠に含めるべく分類すると、その地域の特徴が提示できないこと、研究動向として地域の違いのみを論じることになる恐れがあること、などが理由である。そこで、やや種類の違う枠を三つ設けることになったしだいである。ただし、研究分野によっては(たとえばマスメディア、ジャーナリズム)第3の枠に含まれる地域の研究を第1および第2の枠に含んで論じている場合もある。これは、地域による分類よりもテーマによる分類のほうが研究動向を知るには有効であるとの判断によるものである。
第2部「文献目録」は、基本的に1992年10月から2005年9月までに日本の出版社から刊行された日本人移民・日系人に関する「研究文献」と「一次史料」を採録したものである。採録にあたっての選択基準は以下のとおりである。「研究文献」とは、日本人移民あるいは日系人を扱っている学術研究で、原則として注のある学術書および論文を指し、入門書の類、エッセー、ルポ記事、映像は含まない。「一次史料」とは、国内で出版(あるいは所蔵)されており、学術研究に重要な意味を持つ史料を指す。原則として活字記録であることを条件とし、小説や映画脚本などの活字作品、日記、伝記、名簿、芸術作品のカタログも含む。Web-catやNDL-OPACなどを用いての検索には限界があることから、プロジェクトメンバーそれぞれが自分の専門性を生かして分担分野の文献を入手し、検討・評価して、目録に含めるかどうかを判断した結果が、この「文献目録」である。当然のことながら、第1部「研究の動向と展望」の各章において取り上げた文献は限定されており、「文献目録」には、それら以外のものも含まれている。採録にあたって留意した点、および利用者に理解していただきたい点に関しては、第2部の文献目録冒頭の「凡例」に示した。
本書の重要な特色と意義は、共同研究であることから生まれたといえよう。複数の研究者が一つのプロジェクトで共同作業することによって、移民研究における諸概念の共通理解や問題意識、そして今後の研究動向についての議論を多角的に、また総合的に深めることができ、その点が本書に示されている。これは共同研究ならではの重要な成果である。移民・日系人研究は、もはや、一つの分野のなかで、また研究者が一人で、行うことができない分野だといえるほど、多様な要素を含んでいるのである。また、上に述べたように、文献目録の作成にあたっては、Web-catやNDL-OPACなどを用いての検索に加え、プロジェクトメンバーがそれぞれの専門性を生かしながら、文献を入手・検討・評価したうえで、共同作業を通して複数の分野にまたがる研究を網羅的に分類・整理した。その作業によって、1992年以降の日本における移民研究の全容をとらえ、その学際的な特性に加えて、「トランスナショナル」「グローバル」といった新しい視座の可能性を検討し、本書において提示することができた。それによって、これまでの移民研究の蓄積を踏まえたうえで、新たな、そして重要な道標を提供することとなったが、これは移民研究の分野への重要な貢献である、とプロジェクトメンバーは信じている。
(…後略…)
著者プロフィール
移民研究会(イミンケンキュウカイ)
移民研究会は、1975年、アメリカ合衆国への日本人移民に関して研究中であった数人が、佳知晃子(元津田塾大学教授)を中心にして始めたきわめてインフォーマルな勉強会がもとになって発展したものである。現在、飯野正子(津田塾大学学長・教授)を中心に、会員も増え、活発な活動が続いている。月1回の研究発表会は30年以上続いており、会員の積極的な貢献によって支えられている。国内外の研究者や専門家を講師として招く機会も多い。移民研究会は、日本人移民・日系人に関するさまざまな分野にわたる研究を国内外に発信してきており、今後も意欲的に学術成果を示していきたいと考えている。
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