市民的不服従の理念と展開兵役拒否の思想
市川 ひろみ
発行:明石書店
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四六判 276ページ 上製
定価:2,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2694-8 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年12月
書店発売日:2007年12月25日
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紹介

兵役拒否は徴兵制の国だけのことではない。イラク戦争で任務を拒否する兵士。有事法制が布かれる日本においても命令と不服従は身近な問題となりつつある。兵役拒否の歴史をたどりつつ各国の兵役拒否者へのインタビューを通しその実像を明らかにする。

目次

序章 命令に従わない兵士——対テロ戦争における兵役拒否
 1 ドイツ連邦軍少佐
 2 米軍中尉
 3 米軍脱走兵(無許可離隊)
 4 市民的不服従
 本書の構成
 インタビュー カナダに逃れてきた脱走兵と支援者

第一章 戦場の被害者——傷つく兵士
 1 自国民保護の逆説
 2 被害者としての兵士
 おわりに

第二章 イラク戦争と兵士の家族——「準当事者」として
 1 受動的「準当事者」としての兵士の家族──守られる存在
 2 守られない家族
 3 主体的「準当事者」としての兵士の家族
 おわりに

第三章 兵役拒否概念の歴史および類型
 1 兵役拒否概史
 2 兵役拒否類型
 3 国際的な承認状況
 おわりに

第四章 兵役拒否の社会的展開——東西・統一ドイツにおける兵役拒否
 1 兵役拒否に対する教会の支持
 2 東ドイツにおける兵役拒否──個人の決心から社会変革へ
 3 ドイツ連邦共和国における兵役拒否の展開──自由主義的権利から社会福祉へ
 インタビュー 東西両ドイツでの兵役拒否者

第五章 イスラエルにおける兵役拒否
 1 イスラエルの徴兵制度
 2 絶対的少数者の兵役拒否者
 3 選択的兵役拒否
 4 エリートによる兵役拒否
 5 軍事政策への積極的な関与
 おわりに
 インタビュー

第六章 日本における兵役拒否——その歴史と現代における意義
 1 徴兵制導入から敗戦まで
 2 例外的存在にとどまった兵役拒否者
 3 戦後日本における兵役拒否
 おわりに

あとがき
初出一覧

前書きなど

序章(一部抜粋)

本書の構成
 本書の目的は、現代における兵役拒否の、私たち一人ひとりにとっての可能性を示唆することである。構成は、次のようになっている。武力行使という政策を現場で担う兵士の状況を確認したうえで(第一章、第二章)、兵役拒否概念の歴史的変遷、兵役拒否の社会的展開、そして現代における可能性を論じる(第三章〜第六章)。
 第一章では、武力を行使する兵士を、加害と被害の両側面から捉える。彼らは、国家機関として政策を末端で遂行している。武力を行使することによって人を殺傷する立場におかれる。同時に、作戦遂行のために消耗される存在でもある。戦場での加害行為は、自らも傷つける。生命を失う兵士もある。このように過酷な状況に自国民を追いやる政策はどのように正当化されるのか。その際に利用されるのが、家族である。「無垢の家族」が象徴する祖国を敵から護る英雄としての兵士像は、長く人々に支持されてきた。しかし、特にイラク戦争以降は、これを打ち壊す家族も登場している(第二章)。第三章では、兵役拒否概念の成り立ちと、その多様なあり方(自由主義的兵役拒否、代替役務型兵役拒否、民間役務型兵役拒否、選択的兵役拒否)を歴史的経緯に沿って紹介する。第二次世界大戦以後の国際法において兵役拒否は権利として確立されるに至った。自由主義的兵役拒否、代替役務型兵役拒否、民間役務型兵役拒否の制度化を先駆的に行ってきた東西・統一ドイツを例に兵役拒否の社会的展開を詳しく分析する(第四章)。第五章は、特に冷戦後注目されるようになった軍人による選択的兵役拒否について、イスラエルの例を紹介する。最後に(第六章)、日本における兵役拒否の歴史および現在における可能性を考える。日本では徴兵制はおろか軍隊も存在しないとされてきたことから、兵役拒否という言葉にはなじみがない。しかしながら、「戦争のできる国」づくりが進む昨今では、日本においても兵役拒否の重要性は増している。責任ある主体としていかに行動することができるかについては、とりわけ軍人による兵役拒否が示唆するところが大きい。

著者プロフィール

市川 ひろみ(イチカワ ヒロミ)

今治明徳短期大学准教授。同志社大学文学部・大阪大学法学部卒業、神戸大学法学研究科博士課程単位取得退学。1991年から93年にベルリン・フンボルト大学に留学。専門は、国際関係論・平和学。主要論文に、「東ドイツにおける教会と市民運動──『社会主義のなかの教会』の役割と限界」『歴史評論』1995年他。著書に、初瀬龍平、定形衛、月村太郎編『国際関係論パラダイム』有信堂高文社、2000年(共著)、小柏葉子、松尾嗣雄編『アクター発の平和学』法律文化社、2004年(共著)他。

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