発行:現代人文社
この版元の本一覧
A5判 184ページ 並製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-87798-353-6 C2032
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年11月
書店発売日:2007年11月06日
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紹介
子どもの権利条約28条は、教育基本法改正により教育の階層化が進んでいる現状を改革する上で示唆に富む。関連人権条約との比較など28条の目的と適用範囲を詳細に解説。
目次
第1部 註釈・子どもの権利条約28条:教育についての権利
第1章 はじめに
第2章 関連の国際人権基準との比較
第3章 28条の適用範囲
1 28条1項:機会の平等を基礎として教育を受ける権利および教育を選択する自由
1.1 教育を受ける権利
1.1.1 教育の定義
1.1.2 利用可能・アクセス可能な教育
1.1.3 無償教育
1.1.4 義務教育
1.1.5 教育の内容
1.1.6 教育の形態
1.1.7 教育および職業に関する情報および指導
1.1.8 登校および中途退学率
1.2 教育への平等なアクセスおよび教育における機会の平等についての権利
1.3 教育を選択する自由
1.4 締約国の義務の性質
1.5 権利の保有者ムム教育への子ども参加
2 28条2項:人道的な規律運用制度に対する権利
3 28条3項:教育における国際協力
第2部 28条註釈活用のために
第1章 「註釈・子どもの権利条約28条:教育についての権利」の意義と解説
第2章 著者ミーク・ベルハイドの研究歴と業績
第3部 事例研究
第1章 事例研究の解説
第2章 事例研究のテーマと子どもの教育を受ける権利
第3章 事例研究1:高等教育と学費問題
第4章 事例研究2:外国人の子どもの「教育を受ける権利」
第4部 資料
【資料1】子どもの権利委員会一般的意見1号(2001年)
【資料2】社会権規約委員会一般的意見11号(1999年)
【資料3】社会権規約委員会一般的意見13号(1999年)
前書きなど
はじめに
国際人権法政策研究所は、ゲント大学(ベルギー)人権センター研究員ミーク・ベルハイド氏の著書「註釈・子どもの権利条約28条:教育についての権利」を入手することができました。
本書は、「子どもの権利条約」の条文ごとに逐条分析を行なう「国連・子どもの権利条約コンメンタール」シリーズの一環として刊行された貴重な著書です。ミーク・ベルハイド研究員により、28条が規定する「教育についての権利」について、国連の人権法の関連規定との比較が行なわれ、28条から生じる国の義務の性質や適用範囲が詳細に検討されています。
ご存知のように「子どもの権利条約」は、1989年国連総会において全会一致で採択され、1990年9月2日に発効しました。日本は、1994年3月29日に国会が承認し、5月16日に条約を公布しています。
それから13年が経過しました。条約は日本の社会や教育にどのような効果をもたらしたでしょうか。また政府は、条約28条が規定する「教育についての権利」実現の政策を積極的に具体化したでしょうか。たとえば、この条約の2条は、締約国が「その管轄内にある子ども」すべてに対して、国民的・民族的出身の如何にかかわらず、いかなる種類の差別もなしに、この条約に掲げる権利を尊重すべきことを定めています。日本政府は、2条・28条に従い在日外国人の子どもの教育上の差別をなくする努力をしているでしょうか。残念ながら「ノー」と言わざるをえません。
私は、参議院議員として24年間、「子どもの権利条約」批准をはじめとする国際人権法諸政策の実現をめざし全力を傾注してきました。これまで行なってきた活動には、精神障害者の人権を擁護する医療と社会復帰を実現する法改正、子どものいじめと不登校の解消、国際自由権規約第一選択議定書の早期批准、部落差別を撤廃する基本法制定、「慰安婦」問題解決への議員立法提出、在日朝鮮人生徒の国立大学受験資格やJR通学定期の差別解消、災害被害者生活再建の公的支援等々があります。
副議長を最後に引退後は、国際人権法に精通した学者や弁護士の有志と国際人権法政策研究所を創設して活動を継続していますが、「子どもの権利条約」は、研究所の重要な研究テーマとして研究を進めてきました。
今わが国では、「戦後レジームからの脱却」を掲げた安部前総理が、教育基本法を改定しました。政府は、教育に市場原理による競争主義を導入し、「平等」と「公平」の戦後民主教育を根本的に変えようとしています。親の学校選択を前提に、公立小中学校を競争させて、学校に優劣をつけ、公立学校の序列化を目論んでいます。それは「教育の階層化」につながっていくでしょう。
この政府の教育改革は、「子どもの権利条約」28条が規定する「教育についての権利」や29条が規定する「教育の目的」に逆行し、「子どもの権利条約」締結国としての条約尊重義務に反するものと考えます。28条が求める公教育は、「民族、性別、経済状態にかかわらず、すべての子どもに対し平等に公平に質の高い教育の機会を与える」という理念であるからです。
「子どもの権利条約」は、子どもを一人の人間として、かけがえのない価値と尊厳をもつ権利の主体として認めています。28条「子どもの権利としての教育」実現をめざして、ご奮闘いただいている教職員、保護者、地域住民の皆さんにとって必携書になると考えて出版した次第です。
日本語への翻訳を快く引き受けてくださった平野裕二さんには、心からの感謝を申し上げます。最後に出版のお世話をいただいた現代人文社の成澤壽信さんにお礼申し上げます。
国際人権法政策研究所所長 本岡昭次
著者プロフィール
平野 裕二(ヒラノ ユウジ)
ARC(Action for the Rights of Children)代表
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