維新期・岡山藩の開明志士津田弘道の生涯
石田 寛
発行:吉備人出版
この版元の本一覧
A5判 440ページ 上製
定価:6,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-86069-170-7 C0021
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年10月
書店発売日:2007年10月20日
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紹介

幕末維新期、岡山藩と新政府を舞台に活躍した岡山藩士・津田弘道の物語。津田弘道は幕末、儒学と西洋流砲術を学び、海岸防備や京都御所守衛になり国事周旋方などを勤めた。幕末には大政奉還建議の陰の立て役者として働き、神戸事件の事後処理でも奔走。維新後、海外視察団の一行に選ばれ、鉱山の採鉱・製錬と陪審制度を視察研究した。て帰国後は新政府の高級官僚に起用され、鉱業や法曹の面で日本の近代化に貢献した。『津田弘道家資料』や『池田家文庫』など膨大な資史料を丹念に読み、40年もの調査・研究のうえ書き上げた著者渾身の研究書。

目次


 一 研究方法
 二 津田弘道に関する本著者の著作物
 三 津田弘道略年譜
 四 本書の構成
 五 主題図及び本書登場人物と津田弘道との関係マトリックス
第一章 津田家家系と弘道の生い立ちと勉学
 一 岡山津田弘道家初代から六代まで
 二 七代目、 父津田弘和
 三 弘道 (八代目) の生い立ち、 勉学
第二章 房総海岸防備と大坂警備
 一 概観
 二 房総海岸防備
 三 大坂警備
第三章 伝統武芸と西洋大砲の両刀遣い
 一 岡山藩江戸藩邸武芸稽古場 世話役
 二 津田家の江戸引き揚げ国元岡山へ 
 三 京都詰
 四 父津田弘和の岡山帰任
 五 岡山城下町の拡充
第四章 探索周旋
 一 岡山藩周旋役の面々
 二 水戸天狗党探索
 三 長州廻文をめぐる協議・建白
 四 周防岩国探索
 五 第一次征長軍阻止周旋
 六 中岡慎太郎、 坂本龍馬と津田弘道会談
 七 第二次征長軍に阻止周旋
 八 周旋・外交方多事多端
 九 勤皇党決起の砲声
第五章 朝藩体制のもとで
 一 鳥羽・伏見の戦と岡山藩
 二 神戸事件
 三 貢士
 四 岡山藩東征軍参謀
 五 岡山藩侯の恤兵使兼軍務官、刑法事務、参謀として箱館出張
第六章 藩政改革を推進
 一 外交方頭取
 二 議事専務大属
第七章 日本最初の世界周遊
 一 選考・出発準備
 二 アメリカ号乗船・出航
 三 アメリカ大陸
 四 英京龍動ロンドン
 五 大陸ヨーロッパ
 六 同行一八名帰国後の活躍
第八章 工部省 鉱山寮出仕
 一 明治政府高級官僚
 二 津田の篤い人間関係
 三 本寮勤務二カ月
 四 二羽北越佐渡諸鉱山点検
 五 借家から購入自邸 (富士見町) へ
 六 いわゆる 「佐渡奉行」
第九章 判事
 一 存在感をかみしめあう鶏牛会
 二 裁判所・上等裁判所・大審院などの判事を歴任
 三 大審院判事から広島裁判所・山口支庁所長代理に転出
第十章 岡山藩の士族授産
 一 概観
 二 廃藩置県後の岡山区
 三 偕行会社再建取締役
 四 国立第二十二銀行取締役
第十一章 津田弘道の学問思想と晩年の生活
 一 組織力
 二 晩年の生活と学問
 三 弘道、 鬼籍に入る

前書きなど

 本書は維新期岡山藩の開明志士津田弘道の生涯を論述したものである。 弘道翁の子孫に与えた教訓に副って、 筆者は和漢のみならず米欧語を用いて記述するようにもつとめた。
 研究を始めてからこの出版までに三十年を要している。 楽しみながらもブランク、 スランプがあった。 昨春 (二〇〇六年)、 このブランクを知る定兼学の心強く温かい勧め、 吉備人出版の行き届いた協力によって出版に向けて始動した。 老生を元気づけてくれたのは津田弘道家御遺族で、 武家資料公開に深い理解を示し、 その線に副って筆者の本書刊行を推して下さるだけでなく、 津田弘道家資料の岡山県への寄贈にまですすむ。 かくて岡山県立博物館津田弘道家資料としての受け入れ整理が行われることになり、 それに対応して各章末の注がユニークなものとなる。 すなわち注〈依拠資史料と文献〉を一瞥すれば、 その章で主として利用した津田家資料、 池田家文庫の史料は何であるか、 そして主な関連文献はと知られるであろう。 それはそれとして筆者は史資料博捜を自箴として回顧・展望したい。
 旧稿がこのような形において改訂・充実していく過程において、 改めて想起されるのは教示激励下さった谷口澄夫 (元岡大学長)、 共同研究 (山陽放送学術文化財団、 文部省科研) の方々である。 メンバーは、 津田弘明、 金沢文雄、 有元正雄、 柴田一、 中野美智子、 栗尾哲子である。 機を失せず書物としての公刊までに至らなかったことは残念であり申し訳ないことである。 しかし新しい体制の下での振起見直しを勘案かんあんのうえで、 泉下の谷口先輩も寛恕かんじょ下さることと憶う次第である。 そしてまた旧稿のさらなる充実・展開を、 御嘉納 か のういただけるものと期待する次第である。 それとともに、 資史料寄贈過程において、 曾祖父弘道の生様いきざまを家訓とし、 些いささかなりとも自己顕示的と思われるようなことがあってはならぬとする曾孫の方々の抑制的言動、 ゆかしい人柄に筆者は感銘を覚えるとともに本書作成にあたっての指針としたい。
 旧稿改訂に際して多くの方々の教示、 励ましを受けた。 諸機関から受けた協力はまことに大きい。 情報検索のほかに、 図版掲載などの便を下さった機関として、 岡山大学附属図書館をまず挙げたい。 その豊富な情報を以て、 本書各章末の注〈依拠資史料〉を充実させることができたのである。 岡山県立図書館、 岡山市立中央図書館、 福山大学図書館からも協力を得た。 記してこれら諸機関の長とその衝に当たられた方々に深甚の謝意を表する次第である。
 各地、 各方面、 なかでも筆者の勤務地、 岡山・広島で縁を結んだ方々の温かい励ましは心に沁みて嬉しい。

版元から一言

幕末維新期、岡山藩と新政府を舞台に活躍した岡山藩士・津田弘道の物語。神戸事件の事後処理でも奔走している人物。

著者プロフィール

石田 寛(いしだ ひろし)

大正8年3月、岡山県赤磐市(旧熊山町)に生まれる。昭和15年3月、広島高等師範学校文科第三部乙卒業。17年9月、京都帝国大学文学部史学科地理学専攻卒業、 大学院入学。10月、現役兵として中部第48部隊 (歩兵第十連隊留守隊) 入隊。19年8月。兵科見習士官、 陸軍中央通信調査部。20年1月、陸軍少尉、 9月召集解除。21年8月、岡山県玉野中学校 (旧制) 教諭。22年3月、岡山県第一高女 (旧制) 教諭。3年11月、岡山師範学校教授。27年12月、岡山大学助教授 (教育学部) 。37年2月、ニュージーランドへ日本・ニュージーランド文化交流計画第一号として派遣され、 39年4月まで在外。3月、文学博士 (京都帝国大学第263号) 。1年11月、広島大学助教授 (文学部)、 教授 (同47年) 。41年12月、Ph.D. in Geography (Auckland) 。57年4月、広島大学定年退職 (名誉教授)。 福山大学教授 (平成元年学長補佐、 平成8年定年退職、 特任教授、 同14年客員教授) 。著書論文多数。現在は広島大学名誉教授、岡山県文化財保護協会会長。

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