アジアと日本の教育現場から小学生に英語を教えるとは?
河原俊昭:編著, 川畑松晴, 相川真佐夫, 大原始子, 小野原信善, 笠原鶴代, 後藤田遊子, 高垣俊之, 辻伸幸, 徳地慎二, 仲潔, 八田玄二, 原隆幸, 樋口謙一郎, 前田みどり
発行:めこん
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A5判 336ページ 並製
定価:2,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-8396-0211-6 C3083
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年01月
書店発売日:2008年01月17日
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紹介

本年度の教育界最大のテーマに正面から取り組みました。英語教育専門家による現状分析と問題提起、現場教師からの具体的報告、小学校英語教育で先行するアジア各国の事例分析という三部構成です。

目次

まえがき——なぜアジアの英語教育が注目されるのか(河原俊昭、京都光華女子大学教授)

第1部 現状と問題提起
第1章 わが国の小学校英語教育の現状(川畑松晴、金沢学院大学教授)
第2章 非母語話者の積極的なALT活用について(徳地慎二、宮崎産業経営大学准教授) 
第3章 外国語とは英語なのか:多言語主義からの考察(高垣俊之、尾道大学准教授)

第2部 日本の教育現場から
第4章 英語嫌いを生み出さないためには(辻伸幸、和歌山大学教育学部附属小学校教諭)
第5章 児童主体のコミュニカティブな授業とは(前田みどり、金沢市立弥生小学校教諭)
第6章 小学校と中学校の連携をどう図るか (笠原鶴代、北九州市立上津役中学校教諭)

第3部 アジアの小学校の事例報告
第7章 韓国——英語教育政策の経緯と論点  (樋口謙一郎、椙山女学園大学専任講師)
第8章 台湾——加熱する早期英語教育 (相川真佐夫、京都外国語短期大学准教授)
第9章 香港——教員養成とその評価試験 (原隆幸、明海大学非常勤講師)
第10章 フィリピン——英語公用語国の現状と展望 (河原俊昭)
第11章 フィリピン——融通無碍なバイリンガル教育 (小野原信善、香川大学名誉教授)
第12章 シンガポール——社会が必要としたナショナルプロジェクト(大原始子、桃山学院大学兼任講師)
第13章 ベトナム——理想と現実の違いを考える:指導要領、教科書、教師そして授業から見えてくるもの(八田玄二、椙山女学園大学教授)
第14章 インドネシア——多島国の英語教育 (仲潔、九州女子大学専任講師)
第15章 フィジー——フィジー人とインド人を結ぶ英語 (後藤田遊子、北陸学院短期大学教授)

むすび——どう考えればいいのか(河原俊昭)

前書きなど

英語に、What is learned in the cradle is carried to the tomb.という諺がある。「幼いときに覚えたことは死ぬまで忘れない」という意味だが、たしかに、幼いときに学んだことは、心に深く刻まれ、大人になってからもいつまでも残る。その意味で、小学校の時代は大切な時期である。小学校で何をどのように教えるかによってその人の人生を決めてしまう、と言っても過言ではないだろう。
長らく日本の初等教育の場では、外国語の教育は避けられてきた。小学生はまず母語である日本語をしっかりと勉強すべきという方針であった。英語は中学校に入ってからはじめて学習するものという考えが広く一般化していた。しかし、この情勢は今や変わりつつある。
小学校へ英語の導入が進みつつある。2002年から、小学校でも「総合的な学習の時間」において、国際理解教育の一環として英語活動が行われるようになった。しかし、その活動は、小学3〜6年生で年間13〜15時間ぐらいであり(文科省 2007:19)、いわば英語に軽く触れる程度であり、英語教育とは言い難い。しかし、今後は小学校へ英語教育が本格的に導入されていく気配である。
新聞報道によれば、文科省は、2008年度(平成20年)に予定されている学習指導要領の改訂の際は、小学校の教育課程の枠組みについては、「高学年で英語(外国語)活動を週1コマ(45分)程度設ける」方針のようである(朝日新聞2007年8月30日付け)。今度どのように展開するかは定かではないが、小学校へ英語教育を導入するという基本路線は変わらないものと思われる。
日本では20年以上も前から、小学校への英語教育の導入が提案されてきたが、現実味を帯びるにつれて、ここ数年、英語教育関係者を中心に国民的な議論を呼び起こしてきた。賛成論、反対論、あるいは中間派からも議論は百出しており、関係者の中にはいささか食傷気味の人もいよう。この本の執筆者たちも、あえて新たに議論に参加するわけであるが、どのような視点からこの問題を見ていくか明確にする責任がある。
英語教育の動向は、日本の国内の様子だけから論じても、なかなか客観的な視点が取りづらい。井の中の蛙にならないためにも、日本から離れた視点を持ってみる必要がある。そのような意図から、この本では、アジアという視点を取り入れてみたい。

版元から一言

英語教育の専門家と現場の教師がアジアの実例を踏まえて真剣に取り組んだ力作です。

著者プロフィール

河原俊昭(カワハラトシアキ)

京都光華女子大学教授。金沢大学社会環境科学研究科博士課程修了、博士(社会環境科学)。専門は言語政策、アジア英語、英語教育。編著書に『世界の言語政策』(くろしお出版)、『外国人市民への言語サービス』(明石書店)、『アジア・オセアニアの英語』(めこん)、『外国人と一緒に生きる社会がやってきた』(くろしお出版)などがある。

川畑松晴(カワバタマツハル)

金沢学院大学教授。兵庫教育大学学校教育研究科修士課程修了(教育学)。専門は英語教育学。最近の業績として、『新しい英語科教育法』(共著、現代教育社)、『アジア・オセアニアの英語』(編著、めこん)、『多言語社会がやって来た』(共著、くろしお出版)、「日本人の学ぶべき英語」(論文、『石川教育展望』)などがある。

相川真佐夫(アイカワマサオ)

京都外国語短期大学准教授。北アイオワ大学修士課程修了(MA in TESOL)。専門は英語教育学、外国語教育政策(特に台湾、東アジア)最近の業績として、『世界の外国語教育政策』(共編著、東信堂)、『事典アジアの最新英語事情』(共著、大修館書店)などがある。

大原始子(オオハラモトコ)

桃山学院大学兼任講師。神戸市外国語大学外国語学研究科修了。シンガポール国立大学客員研究員。専門は社会言語学。著書に『シンガポールの言葉と社会』(三元社)、編著に『ことばとアイデンティティ』(三元社)、共著に『応用社会言語学を学ぶ人のために』(世界思想社)、『外国人住民への言語サービス』(明石書店)などがある。

小野原信善(オノハラノブヨシ)

香川大学名誉教授。青山学院大学大学院英語学専攻修了。British Council奨学生(短期)としてEssex大学(1978)およびReading大学(1985)に留学、オーストラリア国立大学客員教授(1989)、トリニティ大学〔アメリカ〕客員教授(1999)、デ・ラ・サール大学〔フィリピン〕客員教授(2000)。専門は社会言語学、言語政策、語用論。著書に『フィリピンの言語政策と英語』(窓映社)、編著に『ことばとアイデンティティ』(三元社)、Language and Community(文理)、共著に『音声学大辞典』(三修社)、『外国人住民への言語サービス』(明石書店)などがある。

笠原鶴代(カサハラツルヨ)

北九州市立上津役中学校英語科教諭。広島大学総合科学部地域文化コース(アメリカ地域研究)卒業。平成16年度北九州市教育研究論文個人の部「「小学校・中学校の連携を図ったより効果的な指導方法の考察」特選。平成14年度から16年度まで、北九州市小中連絡協議会の一員として、北九州市独自の取り組みである「小中連携の英語プログラム」の作成を行った。平成17年度文部省短期派遣で、オーストラリアのラトローブ大学研修に参加。現在は、北九州市英

後藤田遊子(ゴトウダユウコ)

北陸学院短期大学教授。金沢大学文学部研究科修了。専門は文化人類学、言語政策。主な共著に『世界の言語政策』(くろしお出版)、『自治体の言語サービス』(春風社)、『アジア・オセアニアの英語』(めこん)などがある。

高垣俊之(タカガキトシユキ)

尾道大学准教授。ペンシルベニア州立インディアナ大学大学院博士課程修了(Ph.D)。トロント大学客員研究員(2001-02)。専門は英語教育、応用言語学。著書にThe Revision Process of L1 and L2 by Bilingual Japanese Writers(UMI)や訳書に『カナダの継承語教育』(共訳、明石書店)などがある。

辻伸幸(ツジノブユキ)

和歌山大学教育学部附属小学校教諭。和歌山大学大学院教育学研究科英語教育専修課程修了。専門は英語活動。大学英語教育学会関西支部英語力指標研究会代表、小学校英語活動等国際理解活動推進事業(泉南市立砂山小学校)の指導助言者。

徳地慎二(トクチシンジ)

宮崎産業経営大学准教授。筑波大学大学院修士課程教科教育専攻英語教育コース修了、教育学修士。シカゴ大学人類学部人類学科・客員研究員(1997-98)。日本「アジア英語」学会理事。専門は社会言語学、英語教育。主な著書として、『現代経営セミナー』(共著、創成社出版)、『外国人住民への言語サービス』(共著、明石書店)、『英語と文法:鈴木英一先生還暦記念論文集』(共著、開拓社)などがある。

仲潔(ナカキヨシ)

九州女子大学講師。大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程修了、博士(言語文化学)。専門は社会言語学、英語教育学。主な著書に、『言語文化教育学の可能性を求めて』(編共著、三省堂)、『外国人住民への言語サービス』(共著、明石書店)、『言語と文化の展望』(共著、英宝社)などがある。

八田玄二(ハッタゲンジ)

椙山女学園大学教授。愛知学芸大学卒業後、英国のLeeds、Reading、Yorkの各大学で「英語教育」(TEFL)ならびに「児童英語教育」(TEYL)のMAを取得。専門は英語教育。主な著書に『リフレクティブアプローチによる英語教師の養成』(金星堂)、『児童英語教育の理論と応用』(くろしお出版)、共著に高等学校検定教科書Pro-vision English Writing(桐原書店)。主な訳書(共訳)に『ロングマン・コーパス英語用法辞典』(桐原書店)、『小学校英語指導法ハンドブック』(玉川大学出版)、『ケンブリッジ・コーパス英語正用法30日集中コース』(ケンブリッジ大学出版)、『先生、その話をもう一度聞かせて』(玉川大学出版)がある。

原隆幸(ハラタカユキ)

明海大学大学院応用言語学研究科博士後期課程在籍、明海大学非常勤講師。杏林大学大学院国際協力研究科修了、修士(学術)。専門は言語政策、英語教育。共著書に『小学校の英語教育を考える—アジア諸国の事例から—』(共著、Asian English Studies Monograph Series No.5)、『アジア・オセアニアの英語』(共著、めこん)などがある。

樋口謙一郎(ヒグチケンイチロウ)

椙山女学園大学講師。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程満期退学。専門は東アジア政治・言語政策。最近の業績に『比較文化の可能性』(共著、成文堂)、『アジア太平洋地域における平和構築』(共著、大学教育出版)、『アジア・オセアニアの英語』(共著、めこん)などがある。

前田みどり(マエダミドリ)

金沢市立弥生小学校教諭。金沢大学教育学部小学校教員養成課程卒業。

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