香山 リカ, 佐高 信
発行:七つ森書館
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四六判 184ページ 上製
定価:1,400円+税 総額を計算する
ISBN978-4-8228-0622-4(4-8228-0622-7) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年07月
書店発売日:2006年06月29日
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紹介

おなじみ辛口批評家佐高信と現代人の心の病について鋭く洞察をつづける精神科医香山リカの変化球対談。若者からテレビ、政治、果てはプロレス、ミイラまで……。鋭い指摘と笑顔でニッポンを読み解く。悩める日本の人びとへ、目からウロコの現代社会時評。

目次

はじめに

第1章 小泉のシャツから本気を感じとる
 批判の質が変わってきた
「女・子ども」には何を言っても許される?
 鍛えられていない男たち
 田中角栄と石川啄木と久米宏
 人はみな騙されたがっている?
 体を張った極道の凄み
 無色中立があるという幻想
 いままでとはちょっと違う政治家「小泉」
 小泉のシャツから本気を感じとる
 お姉さんはずっといるという確信
 分配型政治の角栄と政治不在の小泉
「贅沢は敵だ」では、若者には届かない
 誠意にも出し方がある
 M&Aと乗っ取り
 ホリエモンと小嶋進の社会正義
 それは信号機の故障だ
 憲法改正国民投票法案って?
「憲法行脚の会」って何を行脚しているのですか?
 若者の琴線に触れるポイントはどこか?

第2章 信念ほど頼りにならないものはない
 信念ほど頼りにならないものはない
 心神喪失者等医療観察法が成立しましたが……
「おかしな人たちもいるもんだね」
 市場原理が医局制度を解体に導く
 自分は正しいと確証する手だてはない
 住宅顕信の自意識過剰さに惹かれて
 石川啄木、尾崎放哉、住宅顕信に現れる俗っぽさ
 リアリティがない形で接していると……
 女は放っておいても○○という刷り込み
 松下政経塾生のメンタリティ
 自分で自分を託す青年会議所
 したたかさは女のほうが上?
 小林よしのりの本気にどう応えるか
 土下座できる人間は、平気で相手に土下座させる
 社会構造が生み出す下流社会

第3章 テレビの夢と罠 東北公益文科大学における講演会より
 みちのくプロレスと即身仏
 自己犠牲と愛国心
 流動食のテレビと固形食の活字
 人は見た目が九割
 見る見ないの選択権は自分にある
 カメラがある、それだけでやらせである
「そのままのあなたでいい」と言ってくれる小泉が好き
 スポンサーという力
 映像が持つ強さ
 関係を一対一と思わせる巧みさ
 幼児性の発露
 見かけは新しくとも根っこは古い
 無意識のうちに偏向している怖さ
  * * *
 会場参加者との質疑応答

おわりに

前書きなど

はじめに

 多数派の尻尾についていたつもりだったのに、いつのまにやら少数派の先頭集団になっていて、何とも言えない居心地悪さと「ま、やるしかないか」というあきらめとがごちゃ混ぜの日々を送っている。これが、ここ数年の私の心理状況です。
 孤立や批判を恐れず、独自の地点から鋭い社会批評を続ける佐高さんも、ちょっと前までは私にとっては「遠きにありて想う人」でした。それがいまでは、「この人って、私の気持ちをわかってくれる数少ない人かも」とまで思うようになってしまうなんて。そして、「憲法行脚の会」の呼びかけ人に誘われ「今度はちょっと対談してみない?」ともちかけられ、「これって、私の思っていることをじっくり聞いてもらうチャンス?」とふたつ返事で引き受けてしまうなんて……。この状況を私のレベルが上がった、と単純に喜んでいいのか、それとも何かべつのことが社会で起きていることの結果だと考えるべきなのか、ちょっと複雑な気分です。
 七つ森書館の中里英章社長の取り計らいで対談が実現し、念願の〝佐高さんとじっくり〟語った結果、わかったことを先に言えば、佐高さんに対して「いよっ、先輩!」と親近感を抱くようになったのは、どうも私のレベルが上がったとか下がったとかいう問題ではないということです。では、何なのか。その答えの一部は、『チルドレンな日本』というタイトルにも現れていますが、より詳しくはこれから始まる本文でお確かめください。
 でも、この対談はもちろん、社会のなかで孤立無援状態に陥りそうな私の心を癒すためだけに行われたわけではありません。ちゃんと印刷されて出版される刊行物であるからには、読者の心にも何かを訴えかけ、考えてもらうきっかけになるものではなくてはならない。それくらいは、私にもわかっています。そういうこともあって、対談のなかで佐高さんに気を許してあまりにも率直に語った〝これまで誰にも話していなかったこと〟や〝政治家や評論家たち個々人について思うこと〟なども、そのまま活字にしてあります。読んで憤慨する人や反論がある人もいると思いますが、こちらも一応、チルドレンではないオトナのつもりなので、批判は心してお受けします。
 対談の最終回は、佐高さんの故郷・山形県酒田市で大学の公開講座の形で行いました。その大学の近くには、人気バンド、ミスターチルドレンの桜井和寿さんの別荘があり、観光名所のようになっているようでした。でも、桜井さんは平和を願うアンソロジー『非戦』(坂本龍一他著、幻冬舎、二〇〇一年)に文章を寄せるなど、佐高さんと私の定義ではチルドレンではないと思います。

 では、ホンモノの「ミスターチルドレン」はどこに。IT企業やネット株取引の世界に? それとも国会や官邸に……? いずれにしても、お子ちゃまな彼らがする幼稚園チックなこの社会で、一緒に「わーい、楽しいな」と遊んでいるだけではやっぱりマズイでしょう。楽しくないことも、自分に得がないことも、時にはしなければならない。それがオトナってやつなのだ、と私は改めて思います。
 ね、佐高さん、そうでしょ? ……と同意を求めているようでは、私もまだまだチルドレンでしょうか。さあ、私がコドモなのかオトナなのか、これから始まる対談を読んで、みなさん診断してください!                    

二〇〇六年六月五日  香山 リカ

著者プロフィール

香山 リカ(カヤマ リカ)

1960年生北海道まれ。東京医科大学卒業。精神科医。神戸芸術工科大学助教授を経て、帝塚山学院大学教授。著書に、『若者の法則』『いまどきの「常識」』(岩波書店)、『10代のうちに考えておくこと』(岩波ジュニア新書)、『ぷちナショナリズム症候群』(中公新書ラクレ)、『〈じぶん〉を愛するということ』(講談社現代新書)、『貧乏クジの世代』(PHP文庫)、『テレビの罠』(筑摩書房)、など多数。

佐高 信(サタカ マコト)

1945年山形県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。郷里の高校教師、経済誌の編集長を経て、評論家となる。『週刊金曜日』を発行する株式会社金曜日の代表取締役社長。著書に、『逆命利君』『日本国憲法の逆襲』『面々授受──市民・久野収の生き方』(岩波書店)、『タレント文化人筆刀両断!』(ちくま文庫)、『悲歌──古賀政男の人生とメロディ』『田原聡一朗よ驕るなかれ』(毎日新聞社)、『ケンカの作法』(辛淑玉との共著、角川書店)、『小泉よ 日本を潰す気か!』(KKベストセラーズ)、『佐高信の教育革論』『君 今この寂しい夜に目覚めている灯よ』『ひとりひとりのいのち、ひとりひとりの人生』『佐高信の丁々発止』(七つ森書館)、など多数。

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