ゆたかな大地のキーワード中国東北事始め
亜洲奈 みづほ
発行:凱風社
この版元の本一覧
四六判 256ページ 並製
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7736-3205-7 C0026
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年12月
書店発売日:2007年12月15日
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紹介

08年は北京五輪の年。中国の経済発展は南(広州)から沿岸地方(上海)を経てこの地に達した。大連には日本から直行便が飛ぶし、なんと中国国立のファッションモデル大学まである。食べ物・ファッション・おみやげなど、これまで近代史の影のなかに埋もれて表に出てこなかった中国東北地方の「魅力」と「楽しみ」と「底力」を、女性の感性と目線で、内蒙古とあわせて73項目5テーマに分けて紹介。

目次

プロローグ ノスタルジーを越えて

●「味わいの地」を満喫する
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ギョウザ——思い出のグルメ店——[特 産]
海産物——ワンランク上の名物料理——[特 産]
ナマコ——黒々とした海の宝石——[特 産]
はちみつ——今すぐ買えるメード・イン・大連——[特 産]
リンゴ——収穫量は世界一——[エ コ]
桃——かぐわしさをひといきに——[エ コ]
瓜——真夏の清涼フルーツ——[エ コ]
トウモロコシ——エコ燃料にも紙原料にも——[エ コ]
大豆——原産地は、じつは東北——[エ コ
コーリャン——プレミアム蒸留酒をちょっと1杯——[グルメ]
お焼き——これぞテイクアウト・グルメの元祖——[グルメ]
ファストフード——自腹で楽しめる手頃感——[グルメ]
オタネニンジン——アンチエイジング特効薬——[漢 方]
鹿茸——仔鹿の角まで薬にしてしまう——[漢 方]
蛇——生薬にして食ってしまう ——[漢 方]

●「都市づくりの地」を散策する
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鉄道——一〇〇 年前から一〇〇年先まで——[現 代]
満鉄——植民地開発の国策会社——[現 代]
大連港——始まりの場所——[現 代]
自動車市場——最高級ブランドの生誕地——[現 代]
第一自動車——最大メーカー「一汽」の素顔——[現 代]
石油化学——四大産業のトップ——[現 代]
経済技術開発区——近未来の副都心——[現 代]
東北振興策——次なる経済成長の中心——[現 代]
白塔——霊験あらたか、最古の仏塔——[中 世]
カササギ——満洲族の聖なる鳥——[中 世]
東京城——中世の護りの城壁——[中 世]
瀋陽故宮——始まりの城は世界遺産——[中 世]
八旗——旗から生まれるこの国のかたち——[中 世]
昭陵——北陵公園は省都のオアシス——[中 世]
路面電車——スローライフの速さで——[近 代]
旧・国務院——執政の中心地は、いま——[近 代]

●「美麗の地」を鑑賞する
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チャイナドレス——少しずつエロガンスに——[ファッション]
髪飾り——すじがねいりのヘア・アクセサリー——[ファッション]
ミンク——装いはワンポイントで——[ファッション]
シルク——ファッションの街、大連——[ファッション]
真珠——アクセサリーのコーディネート——[ファッション]
ショッピングセンター——安可愛いファッションの城——[ファッション]
ガラス——一五メートルの巨大クリスタル——[アート]
貝彫——花鳥風月、半立体レリーフ——[アート]
映画——名門映画会社の物語——[アート]
中山広場——夜景、全飾ライトアップ——[アート]
ホテル——ヤマトホテルは歳月を越えて——[アート]
羽根蹴り——全国随一のサッカーチームとの関係——[アート]
アカシア——大連を包むオーラ——[アート]

●「この地の街」を歩く
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大連——北方の真珠のような都市——[大 連]
日本風情街——日本ノスタルジー——[大 連]
老虎灘楽園——夕涼みベストスポット——[大 連]
星海公園——シュールな浜辺でプチバカンス——[大 連]
旅順——戦跡、あれから一〇〇 年——[旅 順]
遼陽——人が人らしく生きられる街——[遼 陽]
潘陽——遼東半島のパワースポット——[瀋 陽]
長春——インフラ、最高級の省都——[長 春]

●「草原の大地」を駈ける
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草原——地球に座る——[大 地]
蒙古馬——地平線へのトレッキング——[大 地]
移動式天幕「パオ」——究極のシンプル・ライフ——[大 地]
ラクダ——砂漠をゆく舟——[大 地]
砂漠——オアシスのほとりの砂丘——[大 地]
羊——全国から世界は広く中東まで——[味わい]
羊肉料理——バーベキューより串焼で——[味わい]
羊肉しゃぶしゃぶ——日本進出の味——[味わい]
乳製品——オーガニックな白い食べ物——[味わい]
ミルクティー——滋養補給に!?——[味わい]
酒——酩酊の世界にご招待——[味わい]
馬頭琴——愛馬をしのぶ恍惚の音色——[美 麗]
ホーミー——アルファ波のトランス——[美 麗]
ナーダム——男子三技、民族の祭典——[美 麗]
相撲——死亡者すら出た無制限自由型の闘い——[美 麗]
モンゴル服——ポイントはベルト——[美 麗]
カシミア——「繊維の宝石」——名実ともに世界最高級——[美 麗]
王昭君——おしどり夫婦は和平のシンボル——[美 麗]
寝台列車——眠りの密集——[都市づくり]
フフホト——さいはての青い街——[街]
チベット仏教寺院 その1——砂塵のはてに極楽を見た——[街]
チベット仏教寺院 その2——レリーフ、その数一五〇〇——[街]

【付 録】
(1) 地図&体験スポットデータ
(2) お役立ちウェブサイト&文献

エピローグ 満洲の夕陽

前書きなど

プロローグ——ノスタルジーを越えて

●日帰り文化圏、発見

 機体は一路、中国・東北地方へ。かつて「満洲国」と呼ばれた地へ向かう。

 ひととおり雲海を抜け、樹氷さながらの積乱雲の林をもすり抜け、頭上をなでるすじ雲に、ひととき涼やかなこころもちに。こうしていくつもの雲の層を抜け、最上空におどり出るにつれ、少しずつ何かが変わってゆくのを感じた。別次元に接続される、もしくは移行してゆくような気がする。いつになく陽光がまばゆい。

 日本〜大連間二三〇〇キロ、飛行時間にして、わずか二時間半の距離。この地はあと一〇年もすれば、「日帰り文化圏」に入るという。国土形成計画(国土交通省)によれば、航空路線とくに地方便の増便や、空港へのアクセス改善により、二〇一七年までに、現在の日帰り文化圏がソウル・上海までであるところを、北はハルビンまで拡大するという。するともちろん、長春や瀋陽も含まれてくるだろう。いや、すでに大連は距離的には「日帰り文化圏」に入っているのではないだろうか。

 わずか二時間の位置にある、新天地。

 その魅力に気づき始めている人は、まださほど多くはないが、たしかに存在する。大連行きの出発ロビーを見渡せば、中高年の団体ツアー客に、わずかながらOLの自由旅行者が混じる程度だろうか。人々のいでたちは、ソウルや上海行きとは微妙に異なり、カジュアルで素朴なものを愛する性格が、にじみ出るようなものであった。

 なお、本書ではこの地を「旧・満州」とはいわず、「満洲」と表記する。とくに日本のかいらい国家・満洲国を称揚したり肯定しようという意図ではない。

●思考停止を解除する

 ところで現地を取材しながら、驚いたことがある。長春の地ほどおおっぴらに、戦前の日本の築いた建築物が、大量に街の中心部を固めている街が、他にあるだろうか。

 渡航するまでは、私のなかに、こんな先入観があった。「満洲国」の消滅とともに、すべてが幻に、砂塵のなかに帰したような感覚が——。同時に日本人もまた、その先の時代については、「×」とばかりに、思考停止をさせられているように思われた。「満洲国」そのものを語ることすらタブーであった時代もあった。

 ところが現地をおとずれてみると、戦前のインフラに加え、東北人の手によって、着々と都市づくりは続けられていた。現地には、たしかに今でも人々の生が息づいている。意外と言えば意外、あたり前と言えばあたり前のことなのだが。

 「その先」の時代にまなざしを向けることは、はたしてタブーなのだろうか。答えの出ないまま、一人、黙々と取材を続けた。同時にまた、「五族共和」の観念に賛同しながら、自分はどれほど満・蒙を知っているのだろう。そんな自戒もインセンティブとして。

 五族共和は、「満洲国」の国家イデオロギーだった五族協和ではない。辛亥革命直後に孫文らが提唱した、多民族国家としての中国像だ。五族は①漢族、②満洲族、③モンゴル族、④回族(ウイグル族)、⑤チベット族をいう。

 東北人もまた、複雑な心境を抱えているのかもしれない。糾弾と懐古とのアンビバレンス。そして日本人もまた、歴史的反省と啓蒙気分とのアンビバレンスを。

 ただしそれらを期待していらっしゃるかたには、申しわけないのだが、本書は過去をあつかった本ではない。歴史を避けるわけではないが、テーマとしてはとくに経済・文化に焦点をあて、現在の東北地方の姿を追究している。従来の懐古ものや歴史研究ものの枠組みに新たな視点を投げかけられればと——現在に生きる風俗が、この本の主題だ。言い換えれば、日本人の目に映る満洲ではなく、東北人の示そうとしている自らの地について——となるだろうか。

 東北人は純朴な人々だ。商売ズレしておらず、とくに大連人は日本人に優しい。満洲族と漢民族、時にはモンゴル族も入り交じり、双方、移入しあったすえに、はぐくまれるものがある。共和リミックスとでも言おうか。

 ところで三省一区という表現がある。東北三省(遼寧省・吉林省・黒龍江省)プラス内モンゴル自治区というわけだ。こうした枠組みから、本書も内モンゴルに一章をさいている。ただし取材の限界から、東北地方については遼寧省に最も多くをさいていることをご理解願いたい。

 ともあれ満洲を見つめる本は既に数百冊にのぼる。現在から過去を見つめる本も同様だ。それでは現在の東北地方から未来へとまなざしを向ける本は? 新世代ならではの視点として、本書をお届けしたい。

●好きなところから読める

 本書に集められたキーワード七三個は、きわめて東北的なものばかりだ。それらを体感してみようとばかりに、感性でつむぎあげたのが本書である。旅行者でも直接、触れることのできる風物を中心に紹介させていただいた。遠い昔のノスタルジーにとどまらない、その気になれば手が届く、現在進行形の姿がそこにある。あなたが現地で体験できる。

 「人生に、東北の楽しみ、ひとつ増やした!」

 とばかりに、本書を通じて東北地方をお気に入りの旅先に加えていただければ、私としてはこれほど嬉しいことはない。

 本書に集めたキーワード七三は、東北地方という多面体の一面だ。数々の視点のなかで、あなたのアンテナに響くのは? まずは一〇ページの目次から開いていただければ、と思う。気になる項目をチェック、好きなキーワードからご覧いただくにつれ、関連する様々なキーワードにも出会うはずだ。必要に応じてのあとに続くページを参照するもよし、後から飛ばしたキーワードに戻るもよし。やがてはパッチワークのように、東北像が編み出されてゆくはずだ。さらに渡航を思いたってくださるならば、各項末にある「私の旅のおススメ」体験場所から、そのつど巻末(P243〜P248)のアクセス一覧へと飛び、□欄にチェックを入れておけば、読み終わるころには、あなただけのガイドブック、携行型の「旅の事典」が完成していることだろう。

 日本の北西に位置する大地、まださほど旅行者の多くない新天地へ。まずは本書とともに、心の旅へ出発してみてはいかが?

版元から一言

「大連」「瀋陽」「長春」など中国東北の多彩な魅力と底力を、女性の感性と目線で内蒙古とあわせて73項目5テーマに分けて紹介。

関連リンク

凱風社の書籍案内

著者プロフィール

亜洲奈 みづほ(アスナ・ミヅホ)

 東京大学経済学部経済学科卒。東京大学社会情報研究所に学ぶ。朝日新聞・東亜日報共催戦後50周年記念懸賞論文「日韓交流・未来への提言」で最優秀賞を受賞(1995年)。内閣府主催「第21回東南アジア青年の船」日本代表青年。『新しい台湾 いろいろ事始め』(凱風社)など作家活動のほかテレビ・ラジオ等に出演。
 「月刊モダネシア」(http://page.freett.com/asna/index.html)編集長。

【主な著書】
 『台湾事始め——ゆとりのくにのキーワード』(凱風社、2006年)、『「アジアン」の世紀——新世代の創る越境文化』(中公新書ラクレ、2004年)、『現代台湾を知るための60章』(明石書店、2003年)、『台湾に行こう!元気になろう!』(PHPエル新書、2003年)、『アジアのツボ中国・香港・台湾・韓国』(共著、スリーエーネットワーク、2002年)、『熱・情・ソウルのキーワード』(凱風社、2002年)、『新しい台湾 いろいろ事始め』(凱風社、2001年)、『ソウルはもう、お隣り気分』(大和出版、1999年)、『銀粧刀(ウンジャンド)』(JNPC、1998年)、『10(テン)ミニッツ・トリップ』(JNPC、1998年)、『ダブル』(ベネッセコーポレーション、1997年)、『大人へのメッセージ』(共著、高麗書林、1995年)ほか、韓国でも著書多数。

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コメントとトラックバック 1件 »

  1. このたびは拙著の紹介をご覧くださいまして、本当にありがとうございます。著者として深く御礼をもうしあげます。
    本書は大連・潘陽・長春など代表都市を舞台にくりひろげられるものもの・ことごとにスポットを当ててみました。遠い昔のノスタルジーにとどまらない、その気になれば手が届く、現在進行形の姿がそこに息づいています。異文化理解のキーワード73項目5テーマ「「都市づくり/味わい/美麗/街/草原」からおりなす“現代風物誌”です。キーワード別の構成のため、どこからでも読める旅行携行型事典となっております。70点近くに及ぶふんだんな写真&現地地図の付録つきなのが嬉しいところです。読者の皆様の人生に「“中国東北”の楽しみひとつ増やして」!いただければこれほど嬉しいことはありません。
    ~ レ ト ロ な 街 並 み 、 豊 か な 風 物 、 豊 饒 の 地 平  わ ず か 飛 行 2 時 間 の 距 離 に あ る 新 天 地 ~ 
    「はるか北西へと眼をこらせば 砂塵の向こう 光のなかに かつて満洲・内蒙古と呼ばれた地がある 思いがけず豊饒な大地 美と味と 整備されたつくりの都市と(中略)豊かな風物 旧い建物 あなたにほほえみかけてくるかもしれない 時空を越えて ここまでおいでと……」(本文より)

    コメント by 亜洲奈みづほ — 2007/12/6 木曜日 @ 14:51:39

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