憲法九条と日本の臨戦体制
纐纈 厚
発行:凱風社
この版元の本一覧
四六判変型 160ページ 並製
定価:1,200円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7736-3103-6(4-7736-3103-1) C0031
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年11月
書店発売日:2006年11月20日
※送料は無料です
※版元より営業日2~5日でお届けします
※お支払いは郵便振替(到着後後払い)・クレジットカード(VISA/Master)がご利用になれます
Tags: none

他のオンライン書店で購入※リンク先の書店では、お取り扱いしていない場合があります。あらかじめご了承ください

アマゾンboople.com紀伊國屋BookWebブックサービスビーケーワンセブンアンドワイ
e-hon楽天ブックス文教堂Jbooksライブドアブックス本やタウンYahoo!ブックス

紹介

2006年秋、北朝鮮が初の核実験を実施。東アジアははたしてどこへ向かうのか。自民党政権は中央集権の「美しい国」をめざし、国際紛争の解決には強面でのぞむようだ。日本政府はここ十数年、米軍再編にリンクして軍事力を増強し各種有事法を整備しながら臨戦体制を整えてきた。しかし、戦争で真の平和がもたらされたことはない。市民の目から隠蔽された軍事化の動きを白日のもとにさらし、東アジアの平和共生に向けて「九条の精神」の再確認と実現を訴える。

目次

まえがき

第一部 軍事化する日本社会
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
1 戦後日本の軍事法制——「臨戦国家」への道
 ・軍事法制研究はいつ始まったのか
 ・ここ一〇年間の軍事法制の流れ
  軍事用語解説

2 「臨戦国家」日本の登場——歯止め無き軍拡の連鎖と米軍再編
 ・軍事化の背景
 ・日本でなぜ米軍再編なのか
 ・アメリカの世界軍事戦略
 ・米軍の何が変わるのか
 ・米軍再編と日本の関わり
 ・自衛隊は侵攻軍となるのか
 ・アメリカの「軍事優位戦略」に呼応する日本
 ・北朝鮮ミサイル発射問題と日本の反応
 ・北朝鮮の核実験への対応で勢い増す安倍政権

3 総保守化する日本政治のゆくえ——深まる軍事と資本の連携
 ・保守再編に連動する米軍再編
 ・日本の積極的従属
 ・保守再編と日本の軍事化
 ・軍事化を求める国内勢力
 ・平和構想と平和実現に向けて

第二部 軍事化に抗う憲法九条
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
1 軍事化する現代日本と日米同盟——どこで、なぜ踏み誤ったのか
 ・どこで踏み誤ったのか
 ・戦後政治と日米安保条約の位置
 ・保守権力を支えた安保と経済発展
 ・戦後社会と日米安保の役割
 ・国際冷戦体制と国内冷戦体制
 ・平和共存を実現する行動力と知恵

2 憲法改悪と「自衛軍」の創設——米軍再編に絡む危険な動き
 ・愚かな選択
 ・憲法九条の役割
 ・戦争発動への道
 ・集団的自衛権
 ・「自衛軍」の自在な活用を目論む
 ・「戦争の放棄」をなぜ削除するのか
 ・米軍再編問題との関連

3 軍事化に歯止めかける憲法九条——「茶色の朝」を迎えないために
 ・新たな「戦前」を歩もうとしている私たち
 ・現実をあぶり出す言葉を紡ぐこと
 ・九条を活かす知恵を絞り出すこと
 ・九条のジョイント機能
 ・九条の世界化 ・普遍化
 ・「思想動員」による軍事社会化
 ・軍事社会をどう解体するのか
 ・求められている自治と自律
 ・九条が私たちを自由にする
 ・私たちが活かされるために

 日本国憲法前文
 第二章 戦争の放棄〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕
 第一〇章 最高法規〔基本的人権の由来特質〕〔憲法の最高性と条約及び国際法規の遵守〕

付 録
在日米軍再編の最終報告文
自民党新憲法草案

 在日米軍再編の最終報告文
 自民党新憲法草案 (前文と第二章)

 あとがき

前書きなど

まえがき

 日本国憲法の危機が叫ばれはじめて久しい。とりわけ、自由民主党の「憲法改正私案」で「第二章 戦争の放棄」が削除され、「第二章 安全保障」と改称されたことは、やはり衝撃であった。それが「私案」に過ぎない、としてでもだ。特に「戦力不保持」が削除され、「自衛軍」の創設が明記されるに至っては、「ここまで来たのか」という率直な驚きの思いを抱く。

 日本国憲法第九条は、明治以降、近代天皇制国家の一連の侵略戦争と植民地支配という過去を清算し、アジア諸国民をはじめ、世界の人々との共生への道を開くための道標である。この憲法九条を、戦後の日本政府や多くの日本人はないがしろにし続けた。

 アメリカ合衆国の基準値観に追随することで、日本は経済大国としての地位を得はした。それは同時に、歴史にきちんと向き合い、アジア諸国民と対話をする姿勢の欠落をも招いた。そのような姿勢が、平和憲法に込められた理念や目標をうとんずる意識を生み出したのである。

 靖国問題や対北朝鮮問題に現れた日本の排外ナショナリズムの昂揚も、その姿勢の表れである。そのような姿勢が再び日本を軍国主義国家へと押し上げているのではないか、と中国や韓国をはじめアジア近隣諸国が深刻な不安と不信を表明している。

 私は近年、国内だけでなく、中国、台湾、韓国などアジア諸国での講演やシンポジウム、あるいは論文発表の機会が多くなった。これは、日本がかつてのように危険な国家へと変貌するのではないかという警戒感を抱いたアジアの人たちが、日本の現状に新たな関心を抱かざるを得なくなっている証拠でもある。これらの人たちは同時に、日本とのさまざまなルートによる交流の深化こそが、再び不幸な関係に陥らないための智恵だと考えている。

 本書は、そのような不安や不信があることを念頭に据えながら、憲法九条の位置をあらためて確認し、その積極活用によって、日本の軍事化を阻み、アジア諸国民との共生を構築していきたいとする思いから書いたものである。

 本書の第一部「軍事化する日本社会」は、日米安保体制に寄りかかってきた戦後日本の保守体制を読み解くことで、憲法が蔑ろにされてきた事実を確認し、日米安保・日米同盟の強化を通して日本の国家体制そのものが丸ごと軍事国家・軍事社会へと変容しつつあるプロセスを追った。同時に、そのような軍事社会へと突き進む日本社会を国際社会から見た場合、いったいどのような問題があるのかを確かめながら、国際社会が日本に期待するものは何なのかを論じている。

 第二部「軍事化に抗う憲法九条」は、日米安保や相次いだ軍事法の成立が指向する国家全体の軍事化のなかで、九条が一貫して大きな歯止め役を担ってきたことを、今日の視点から読み込もうとした。

 それは当然ながら九条の有効性と限界性を率直に問い直すための基礎作業でもある。ここでは、九条がかつての対アジア侵略戦争の教訓を踏まえて編み出されたものであることを強く意識している。そして、九条を全面否定する政策として日米安保・日米同盟が年々強化されてきた結果、日本の右傾化・軍事化に拍車がかかっている実態を整理しておきたい。

 憲法の危機、さらには憲法の破壊と言っても過言でない時代状況に抗していくために、私たちは現状の把握と分析を急がねばならない。それを踏まえて大いに議論を深め、護憲のネットワークをさらに拡げていく必要がありそうだ。

 本書は筆者が、この二年余の間に沖縄をはじめ日本国内だけでなく、韓国や台湾で行った講演や諸雑誌に発表した講演録や評論をベースにしながら、「軍事社会」と「憲法九条」をキーワードにして全てあらためて書き直したものである。

 また、老若男女を問わず広く読んでいただきたいと考え、できるだけ平易にかつ判りやすく書いたつもりである。憲法九条をめぐる現在の状況と軍事社会の到来に危機感を抱く読者と思いを一つにし、共に憲法九条を生かした平和・共生の未来を確保したいと願うばかりである。

版元から一言

臨戦国家の「有事」法制、グローバル化する日米同盟、近隣諸国へのむきだしの敵意と蔑視——軍事社会と化した戦後日本をどう解体するか。

関連リンク

凱風社ホームページ

著者プロフィール

纐纈 厚(コウケツ・アツシ)

 1951年岐阜県生れ。一橋大学大学院博士課程修了。現在、山口大学人文学部兼山口大学独立大学院東アジア研究科教授。政治学博士。近現代日本政治史・現代政治社会論専攻。憲法を活かす市民の会・やまぐち(活憲)世話人。元『軍事民論』編集部長。
 著書に、『総力戦体制研究』(三一書房、1981年)、『近代日本の政軍関係』(大学教育社、1987)、『防諜政策と民衆』(昭和出版、1991年)、『PKO協力法体制』(梓書店、1992年)、『現代政治の課題』(北樹出版、1994年)、『日本海軍の終戦工作』(中央公論社、1996年)、『日本陸軍の総力戦政策』(大学教育出版、1999年)、『侵略戦争』(筑摩書房、1999年)、『検証・新ガイドライン安保体制』(インパクト出版会、1998年)、『周辺事態法—新たな地域総動員・有事法制の時代—』(社会評論社、2000年)、『有事法制とは何か—その史的検証と現段階—』(インパクト出版会、2002年)、『現代の戦争』(共著、岩波書店、2002年)、『有事法の罠にだまされるな!』(凱風社、2002年)、『近代日本政軍関係の研究』(岩波書店、2005年)、『戦争と平和の政治学』(北樹出版、2005年)など多数。

※送料は無料です
※版元より営業日2~5日でお届けします
※お支払いは郵便振替(到着後後払い)・クレジットカード(VISA/Master)がご利用になれます


コメントとトラックバック »

まだコメントとトラックバックはありません

TrackBack URI : http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7736-3103-6.html/trackback/

コメントをどうぞ

▲ページの上端へ