サハラ以南アフリカ
綾部 恒雄:監, 福井 勝義:編, 竹沢 尚一郎:編, 宮脇 幸生:編
発行:明石書店
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A5判 400ページ 上製
定価:4,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2754-9 C0339
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年03月
書店発売日:2008年04月09日
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紹介

サハラ砂漠以南のアフリカ諸国約10ヵ国・20の少数民族の歴史・現状を紹介することで、「先住民」という言葉が西欧近代国家という概念によって生み出されたことを示し、人間とは何か、という根源まで問いかける。

目次

序文 先住少数民族について(綾部恒雄)

 はじめに——「サハラ以南アフリカ」について(福井勝義)

第1部 北東アフリカ
 解説 (宮脇幸生)
〈エチオピア〉
 ムグジ  ◇辺境の民へのまなざし(松田凡)
 マロ   ◇アフリカの山に生きる人びと(藤本武)
 メエン  ◇誇り高さを育む文化装置:歴史の日常化(福井勝義)
 オロモ  ◇近代エチオピアの抑圧された最大民族(田川玄)
 マジャン ◇森に棲み、森に生かされる人びと(佐藤廉也)
 ホール  ◇辺境の民の抵抗とジレンマ(宮脇幸生)
 チャラ  ◇他民族との相克と生存戦略(村橋勲)
〈エチオピア・ケニア〉
 ガブラ・ミゴ  ◇難民として、ゲリラとして生きた二〇世紀(曽我亨)
〈スーダン〉
 ベジャ  ◇ヒトコブラクダを介した紅海沿岸域への適応(縄田浩志)
 ナーリム ◇子どもから大人への道:民族間の相克の中で(福井勝義)

第2部 西・南アフリカ
 解説 (竹沢尚一郎)
〈コンゴ民主共和国〉
 ムブティ・ピグミー ◇森の民の生活とその変化(市川光雄)
〈ボツワナ〉
 サン   ◇狩猟採集民から先住民へ(池谷和信)
〈南アフリカ共和国〉
 コイコイ ◇変化と多様性を生き抜く(海野るみ)
〈マダガスカル〉
 ミケアとヴェズ ◇マダガスカル南西部の非農牧民(飯田卓)
〈セネガル〉
 ジョーラ ◇稲作を基盤に平等主義的社会に生きる(小川了)
〈マリ〉
 ボゾ   ◇近代化に見事に適応した先住民(竹沢尚一郎)
〈ナイジェリア〉
 イボ   ◇大規模民族とエスニック・ポリティクス(松本尚之)
〈ナイジェリア・ニジェール〉
 ボロロ(フルベ)  ◇西アフリカ最後の遊牧民(嶋田義仁)

 監修者あとがき
 索引

 編者・執筆者紹介

前書きなど

はじめに——「サハラ以南アフリカ」について(福井勝義:一部抜粋)

(…前略…)
 地球上どこの地域でも同じように、独立した「言語」と「方言」の区別はたいへん難しい。その基準は「我々」意識と結びついており、それも政治や歴史的状況と深く絡み合っているからである。ただ、「我々X」と自称する集団には、人数的に数百人から数千人といった人たちがいる。人口数万人レベルの「民族」になると、アフリカではかなり多くなる。ただ、周囲に数十万、数百万レベルの民族がいようが、彼らはいまも「健在」である。たとえば、ウガンダ北東部のイクやエチオピア西南部におけるコエグは、「消滅の危機」に瀕しているはずなのに、「我々」意識の誇りを失うことはない。「私はコエグ語が話せるのよ」という老人に出会うくらい、母語を話せる人たちは近年とみに少なくなってきている。一度の襲撃で数百人規模の殺戮を繰り返してきた民族からすれば、とっくの昔に滅ぼされていても、と思うことがある。ところが、近隣民族との間に育まれた共存のメカニズムのもとに、それぞれの存在を認めあってきたのである。そうしたエスノシステムの視点から、「先住民」をとらえていくことが大切である。
 アフリカ大陸、あるいは本書の対象としている「サハラ以南のアフリカ」の特徴は、大きく三点ある。ひとつは、なにより人類の発祥地である、ということである。「地球の先住民」なのである。第二点は、長い間「奴隷の生地」として扱われてきたことである。これには、欧米とアフリカという図式だけではなく、アフリカ大陸内の民族関係が大きくかかわっていた。エチオピアでは、イタリアに占領される一九三五年まで奴隷が存在しており、奴隷交易で富を築いた地方の「豪族」は少なくなかったのである。第三点は、アフリカ大陸はすべて、一度は植民地化された、ということである。植民地支配のシステムは宗主国によって異なっているものの、他の大陸に比較するなら、地域に根づいてきた民族社会の特性を基本的に生かしていた。
 今日のアフリカは、「新植民地主義」、さらには「新奴隷主義」にさらされている、ともいわれている。本書では、誇り高く、「したたかに」生きていこうとしている人びとの姿を汲み取っていただければ、幸いである。

著者プロフィール

綾部 恒雄(アヤベ ツネオ)

国連ユネスコ企画専門員、九州大学、筑波大学、京都文教大学教授(副学長)。城西国際大学人文学部客員教授。筑波大学名誉教授。この間スタンフォード大学、ペンシルベニア大学、マサチューセッツ大学、マッギル大学などの客員教授などを歴任。文学博士。
単著
 『アメリカの秘密結社——西欧的社会集団の生態』中央公論社、1970年
 『タイ族——その社会と文化』弘文堂、1971年
 『クラブの人類学』アカデミア出版会、1988年
 『東南アジアの論理と心性』第一書房、1992年
 『現代世界とエスニシティ』弘文堂、1993年
  その他
編著
 『文化人類学15の理論』(中公新書)中央公論社、1993年
 『カナダ民族文化の研究——多文化主義とエスニシティ』刀水書房、1988年
 Nation State, Identity and Religion in Southeast Asia. Singapore Society of Asian Studies, 1998.
 『文化人類学のフロンティア』ミネルヴァ書房、2003年
 『よくわかる文化人類学』(桑山敬己と共編)ミネルヴァ書房、2006年
 『文化人類学20の理論』弘文堂、2006年
  その他
監修
 ジュリアン・バージャー『図説世界の先住民族』明石書店、1995年
 『世界民族事典』弘文堂、2000年
翻訳
 A・ファン・ヘネップ『通過儀礼』(綾部裕子と共訳)弘文堂、1977年

福井 勝義(フクイ カツヨシ)

アジア・アフリカ言語文化研究所助手、国立民族学博物館助教授、京都大学教授、マンチェスター大学社会人類学科名誉研究員、国立歴史民俗博物館客員教授などを歴任。
専攻 社会生態学
主な単著
 『焼畑のむら』朝日新聞社、1974年
 『認識と文化』東京大学出版会、1991年
主な共著・編著・監修
 『民族とは何か』(共編著)岩波書店、1988年
 『世界の歴史24 アフリカの民族と社会』(共著)中央公論社、1999年
 『世界民族言語地図』(共監修)ロン・E・アシャー、C・モーズレイ編著、福井正子訳、東洋書林、2000年
 Warfare among East African Herders (eds. with D. Turton), Osaka : National Museum of Ethnology, 1979.
 Ethnicity & Conflict in the Horn of Africa (eds. with J. Markakis), London : James Currey Ltd., 1994.
 Redefining Nature: Ecology, Culture and Nature. (eds. with R. Ellen), Oxford : Berg, 1996.

竹沢 尚一郎(タケザワ ショウイチロウ)

国立民族学博物館民族研究部教授
専攻 歴史人類学
主な単著
 『人類学的思考の歴史』世界思想社、2007年
 『記憶の河 物語の大地——サバンナの河の民ボゾの生のかたち』世界思想社、2008年
主な翻訳
 マルセル・グリオール『水の神——ドゴン族の神話的世界』(共訳者:坂井信三)、せりか書房、1985年
主な論文
 「〈中世〉西アフリカにおける国家の起源」内堀基光編『資源人類学7 生態資源と象徴化』弘文堂、2007年、131-159頁
 「西アフリカ史のなかのメマ——ガーナ王国とマリ帝国を支えた経済活動」(編共著)『アフリカ研究』2005年、66:31-46

宮脇 幸生(ミヤワキ ユキオ)

大阪府立大学人間社会学部准教授
専攻 比較社会学・文化人類学
主な単著
 『辺境の想像力——エチオピア国家に抗する少数民族ホール』世界思想社、2006年
主な共著
 『ジェンダー人類学を読む:地域別・テーマ別基本文献レヴュー』宇田川妙子・中谷文美編、世界思想社、2007年
 『社会化される生態資源——エチオピア 絶え間なき再生』福井勝義編、京都大学学術出版会、2005年
主な論文
 「敵の血は甘い——エチオピア西南部クシ系農牧民ホールの戦いのイデオロギー」『アフリカ研究』66号、2005年、13-30頁
 「国家と伝統のはざまで——エチオピア西南部クシ系農牧民ホールにおける女子〈割礼〉」『地域研究』6巻1号、2004年、221-250頁

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