実践と文化人類学アフリカの人間開発
松園 万亀雄:編著, 縄田 浩志:編著, 石田 慎一郎:編著
発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 356ページ 上製
定価:6,400円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2743-3 C0339
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年03月
書店発売日:2008年03月26日
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紹介

従来、膨大な人類学分野のリソースを、日本の開発援助機関の事業に充分に活用しているとはいえなかった。そのような状況を打破するため、本巻は文化人類学者と開発援助実務者の人的交流のなかから「文化人類学の社会的利用」というテーマとその有効性を探る。

目次

 国立民族学博物館「機関研究」の成果刊行について(松園万亀雄)

総説——開発をめぐる研究と実践(松園万亀雄)
 1 日本の国際協力と文化人類学
 2 国立民族学博物館と実践人類学
 3 民博共同研究「開発と先住民族」
 4 現場からの課題と提言——論文解題

第1章 貧困削減戦略体制下におけるアフリカの地方開発(花谷厚)
 1 問題意識
 2 アフリカの開発経験と貧困削減戦略
 3 PRS体制下における開発援助
 4 貧困削減と地方分権化
 5 地方分権化体制下における地方開発
 6 新しい地方開発アプローチと援助
 7 おわりに

第2章 JICAの独立行政法人化と社会的側面配慮への取組み(杉田映理)
 1 問題意識の所在と本稿の目的
 2 JICA内の社会的側面への配慮をめぐる取組み
 3 独立行政法人化によるJICAの組織の変化
 4 考察——社会的側面配慮への取組みに対する独法化の影響
 5 今後への展望にむけて

第3章 開発援助の世界的動向とユニセフ・プロジェクトの実例(箱山富美子)
 1 はじめに
 2 開発援助の世界的動向
 3 ユニセフのプログラムの例
 4 おわりに

第4章 西アフリカにおける水田エコテクノロジーによる緑の革命実現を目指して——ナイジェリア・ヌペ、ガーナ・アシャンティにおける経験から(若月利之)
 1 はじめに
 2 ガーナとナイジェリアのベンチマーク集水域における持続可能な水田開発に関するアクションリサーチに関するこれまでの経過
 3 西アフリカの伝統的稲作
 4 緑の革命に関する水田仮説(一)
 5 集約的持続生産性に関する水田仮説(二)
 6 西アフリカの内陸小低地における水田開発に関するオンファームトライヤル——ナイジェリア・ヌペ人農村における事例
 7 JICA研究協力——ガーナ・アシャンティの内陸小低地集水域における谷地田水田開発
 8 アジア・アフリカ協力と日本の役割

第5章 ケニア中央高地ニャンベネ地方における国際開発NGO——ハビタット・フォー・ヒューマニティによる住宅建設支援とローン返済の現状(石田慎一郎)
 1 はじめに
 2 ケニア中央高地ニャンベネ地方
 3 ニャンベネ地方におけるハビタット・ケニア
 4 アゼロガイティ・アフィリエートにおける住宅建設の手続き
 5 ローン返済の事例分析
 6 ローン返済の遅滞
 7 評価と提言

第6章 シルック王クウォンゴとの対話——われわれの手で平和をもたらしましょう(縄田浩志)
 1 「人類学者の興味」と「現地住民の思惑」の「すれ違い」と「すり合わせ」
 2 シルック王クウォンゴとの対話
 3 まとめ

『アフリカの人間開発』に関連する読書案内(縄田浩志・石田慎一郎)

 あとがき(松園万亀雄)

前書きなど

総説——開発をめぐる研究と実践:4 現場からの課題と提言——論文解題(一部抜粋)

花谷厚「貧困削減戦略体制下におけるアフリカの地方開発」
 花谷は、今日、「援助は、貴重な国家開発資源の一部として、全体開発戦略と政府財政の下に統合され、受取国政府の主体的管理の下で戦略的に投入されることが求められるようになった」としたうえで、その歴史的背景を次のように指摘する。
(…後略…)

杉田映理「JICAの独立行政法人化と社会的側面配慮への取組み」
 杉田論文は、二〇〇三年に独立行政法人化したJICA(国際協力機構)の事業実施体制をめぐる現状と課題について、とくに開発援助事業における「社会的側面への配慮」の点から考察している。
(…後略…)

箱山富美子「開発援助の世界的動向とユニセフ・プロジェクトの実例」
 箱山論文は、著者自身のユニセフ(UNICEF、国連児童基金)における長年の実務経験をもとに、開発援助における今日の世界的動向と、モーリタニアにおけるユニセフの援助事業の実例を紹介している。
(…後略…)

若月利之「西アフリカにおける水田エコテクノロジーによる緑の革命実現を目指して——ナイジェリア・ヌペ、ガーナ・アシャンティにおける経験から」
 若月論文は、一人当たりの食糧生産が停滞しているアフリカにおいて、緑の革命を実現させるための具体的な提言を示している。
(…後略…)

石田慎一郎「ケニア中央高地ニャンベネ地方における国際開発NGO——ハビタット・フォー・ヒューマニティによる住宅建設支援とローン返済の現状」
 石田論文は、アフリカにおける国際開発NGOの活動例として、ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ケニアによる住宅建設支援事業について詳細に報告し、人類学調査で得た知見に基づくいくつかの提言を行っている。
(…後略…)

縄田浩志「シルック王クウォンゴとの対話——われわれの手で平和をもたらしましょう」
 縄田論文は、一九九三年五月にスーダン南部を訪問したときの体験を回顧しながら、自分の経験をどのように活用できるか考え、そのうえで人類学の社会的活用について提言している。
(…後略…)

著者プロフィール

松園 万亀雄(マツゾノ マキオ)

国立民族学博物館長
専攻:社会人類学
主要著書・論文:
『新訂・文化人類学——文化的実践知の探究』(共編著)財団法人放送大学教育振興会、2007年
『性の文脈——くらしの文化人類学4』(編著)雄山閣、2003年
『グシイ——ケニア農民のくらしと倫理』弘文堂、1991年

縄田 浩志(ナワタ ヒロシ)

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所准教授
専攻:文化人類学、社会生態学
主要著書・論文
「スーダンの飢餓・内戦へのまなざし」『朝倉世界地理講座——大地と人間の物語 第11巻 アフリカⅠ』(共著、池谷和信・佐藤廉也・武内進一編)朝倉書店 2007年
「アシール山地の自然保護区と地域住民のかかわり」『サウジアラビアを知るための65章』(共著、中村覚編)明石書店 2007年
「外国人労働者との共同作業による環境保全」『村落住民の目線で考える環境保全』(共著、草野孝久編)古今書院 印刷中

石田 慎一郎(イシダ シンイチロウ)

大阪大学大学院人間科学研究科特任助教
専攻:社会人類学・法人類学
主要著書・論文
「ケニアの民間開発」『季刊民族学』123号、2008年
「ADRとメノナイト——アジア・アフリカにおける多元的法体制の新しい展開」『法律時報』79巻12号、2007年
「紛争過程分析における千葉理論の所在——法規則・法前提のダイコトミーをめぐる方法論的提言」『法社会学』64号、2006年

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