発行:明石書店
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四六判 292ページ 並製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2686-3 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年12月
書店発売日:2007年12月05日
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北海道の児童養護施設、美深育成園の園長を45年間務め、常に子どもとともに生きてきた偉大な養育者・木下茂幸。その見事な実践から導き出された独自の養育論を、1冊にまとめた。子どもたちの尊厳を守るための養育はどうあるべきかが平易な言葉で語られる。
目次
はじめに(前田信一)
第1部 理念編1——福田会東京本院での講演から
価値観について
自己形成について
共感と受容について
発達課題について
社会性の発達について
第2部 理念編2——著作・韓国での講演などから
養育の危機
養護施設——厚生省『わが国の児童福祉施設』から
児童福祉制度の見直しと養護施設の課題
人間の尊厳について——養育者の私見
日本の児童福祉施設の現状と発展方向
役割期待関係について
高齢児の自立支援
第3部 実践編
美深育成園が目指すもの
今なぜ高校生交流会なのか
第二回高校生交流会主催者代表挨拶
第三回京都大会を振り返って
第四回岐阜大会を振り返って
第4部 随想集
「切に願うこと」との出会い
小さきものひとりひとりの存在の重さ
漢江の春に
感情と理解
支援される人、支援する人の対等性の確保に向けて
施設内不祥事について思う
懐古雑感
老人のつぶやき
第5部 資料編
施設を訪ねて 美深育成園——最北の養護施設に開花する養育理念“人間の尊厳”
木下茂幸年譜
おわりに(山口公一)
前書きなど
おわりに
「どのような時代であれ、またどのような国家であれ、社会的弱者は生じるものです。この社会的弱者にどのような手を差しのべることができるかが問われているのです」
これは一九九七(平成九)年六月に養護関係者の学習会の集約として木下茂幸氏が監修し出版された『児童養護の変革』の「序にかえて」の一節です。ここにあるように「弱者に対する共感と受容に基づいて理念を体現する」。これが木下茂幸氏の変わることのない基本的姿勢です。
そのことは、今回の著作の中だけでなく、生き方そのものに見ることができます。
美深育成園に勤めてから退職するまでの五五年間、施設の中で子どもたちと文字通り「一つ屋根の下で暮らした」という事実からも、「体現すること」を自らに課し、貫いた事実からもよくわかります。また自らの施設を超えて全国養護施設高校生交流会を組織し、施設で生活する高校生の思いや願いを受け止めると共に「施設生活の主体者は児童である」として、職員に対して共感と受容に支えられた実践を強く求めずにはおかない姿が、今回収録した著作からも伝わってきます。
現在の児童養護施設の状況は、実質的な被虐待児が八〇%を占め、精神的疾患を持つ子どもも増えており、精神科への通院や心理的関わりを必要とする子どもたちも少なくありません。このような子どもたちに対する施設の関わりは、衣食住の確保と心理的関わりを重視するあまり、養育という視点が薄くなり、治療の対象として三人称の感性で関わることになり、価値委託が難しい実情を職員が自ら省みることなく、子どものせいにしてしまうことすら見受けられます。また養育の問題として解決しなければならない課題が、心理的関わりや精神科医の対象にされてしまい、結果として養育者の役割を放棄してしまうこともあります。どのような疾患を抱えた児童でも、児童養護施設に入所する児童に養育的関わりが不必要な子どもは存在しないのですが、そうなってしまう現実もあるのです。また、第三者サービス評価に伴うマニュアル化も進み、養育にもっとも大切な感情交流が行われにくくなっています。
このような状況にあって、木下茂幸氏の共感と受容に支えられた施設養育の理論と実践は、現状に対する検証と多くの示唆を提供してくれるはずです。
私も、相当に問題を抱えた施設も含めていくつかの児童養護施設で仕事をさせていただきましたが、基本的関わりと組織化はこの書で木下茂幸氏が構築された理念と養育論に基づいており、稚拙な私の実践でも十分に現実に対応することができました。結果として、児童が主体的な意識で施設生活を送り、施設長が高校生会に感謝状を贈るといったことも経験しており、このことからも、氏が施設長であった美深育成園だけでなく、職員の姿勢さえ間違っていなければどこの児童養護施設でも十分に通用する内容であることがわかると思います。それは、養護施設高校生交流会に参加した高校生の初日と最終日の表情や行動の違いからも十分うかがい知れるところであり、実践によって裏打ちされた理念と理論であるということを付記しておきます。
この書によって、日々子どもと向き合い、苦しんでいる現場の職員がどのようにして関わればよいのかが伝わること、そしてそのことを通して児童たちの生きにくさが減少し、「施設で暮らすことは大変だったけれど、願いや思いに共感してもらえる職員がいるから、生きていて良かった」と児童たちが感じることができるようになることを、切に願っています。
著者プロフィール
木下 茂幸(キノシタ シゲユキ)
1929年生まれ。北海道の児童養護施設・美深育成園の園長を45年にわたって務め、実践に裏づけられた独自の養育論を打ち立てる。また全国養護施設協議会副会長や相談役なども歴任し、多くの後進を育てた。
前田 信一(マエダ シンイチ)
東京都立萩山実務学校、東洋大学・日本大学等非常勤講師
山口 公一(ヤマグチ コウイチ)
東京都勝山学園養護係長
米倉 三仁(ヨネクラ ミツヒト)
児童養護施設福田会東京本院施設長補佐
萩原 富雄(ハギワラ トミオ)
東京地区児童養護施設高校生交流会代表、NPO法人実家代表理事
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