特集 雇用・労働破壊とたたかう現代の理論 07秋[vol.13]
『現代の理論』編集委員会:編
発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 224ページ 並製
定価:1,143円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2652-8 C0336
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年10月
書店発売日:2007年10月12日
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紹介

雇用現場の実態は、「日雇い派遣」「ネットカフェ難民」など、雇用をめぐる問題が次々に明るみに出ては、深刻化している。日々進行する労働破壊の実態とそれに対する取り組みをレポートし、「雇用格差」の本質を理論的に解明する。その出口戦略はどこにあるか。

目次

特集のことば
漂流する日本政治への視座
 巻頭対談
  どのような社会を選択するかが問われる
  (早野 透/朝日新聞コラムニスト・橘川俊忠/本誌編集長)
 二〇〇七年参院選と日本政治の行方(高安健将/成蹊大学准教授)
 日本の政治をどう見て何を考えるべきか(森田 実/政治評論家)
 民主党、政権交代への正念場(井原康宏/共同通信政治部)
 三つの課題の道筋を示せるか(住沢博紀/本誌編集委員)
【特集】雇用・労働破壊とたたかう
 座談会
  格差社会ニッポンを撃つ!
  (熊沢 誠/甲南大学名誉教授・櫻井純理/大阪自治研センター研究員・中村 研/ユニオンぼちぼち・[司会]小畑精武/本誌編集委員)
 労働破壊の原点としての「主婦のパート労働」(江原由美子/首都大学東京大学院教授)
 格差論争から貧困論へ(葛西 豊)
 最賃までデフレにされてたまるか(要 宏輝/元連合大阪副会長)
 公共サービスの雇用と公契約(吉村臨兵/福井県立大学教授)
 働く若者のいま(徳永裕介/ジャーナリスト)
 「介護はすでに死んでいる」のか(水野博達/特別養護老人ホーム花風・施設長)
 これではパート差別はなくならない(酒井和子/均等待遇アクション21)
 非正規雇用のもう一つ別の救い方(濱ロ桂一郎/政策研究大学院大学教授)
 職種最賃設定が「雇用格差」解消の突破口(小林良暢/グローバル産業雇用研究所長)
 外国人労働者政策は何処に(旗手 明/(社)自由人権協会)
 労働運動再生への糸口は何か(高須裕彦/一橋大学フェアレイバー研究教育センター)
 フランスの労働破壊(稲葉奈々子/茨城大学准教授)
 韓国社会における高学歴化と生存戦略(福島みのり/早稲田大学非常勤講師)
[メディア時評]
 安倍改憲路線の挫折(喜多村俊樹/ジャーナリスト)
[深層]
 韓国で進行中の労働破壊(李 正九/韓米FTA阻止汎国民運動本部)
[ある視角]
 ワーキングプア現状報告二〇〇七(信友直子/テレビ番組ディレクター)
[警世閑話]
 軽すぎた安倍発言(江川 弘/新潟サロン21代表)
[この一冊]
 『格差社会ニッポンで働くということ』熊沢誠著(本田由紀/東京大学大学院准教授)
 『われ、一粒の麦となりて』尾崎庄太郎著(牛越(李)国昭/「陸軍外邦測量」史・中国人強制連行問題研究者)
[現代と思想家]
 ウエッブ夫妻とフェビアン協会(名古忠行/山陽学園大学教授)
 「戦う昭和天皇」を顕彰する論理(千本秀樹/筑波大学教授)
 安倍教育改革の転倒した「公」概念への批判(池田祥子/本誌編集委員)
 グラムシは世界でどう読まれているか(片桐 薫/グラムシ研究者)
08新春号(VOL.14)予告
編集後記

前書きなど

特集のことば
 今夏参院選は“〇七政治体制”との言葉も生み出す政治世界を現出した。安倍の政権放り出しの顛末は後世の歴史に語られるお粗末さであった。いささか下品ではあるが“ざまあみろ”の気分になった人も多かったのではないか。しかし安倍の崩落で事が済んだわけではない。いま我々が考えるべきことは、安倍政治とは何であったのか、国民は何を拒否したのか、我々は何を否定し、どのような社会を構想し選択するか、ではないだろうか。
 確かにその政治の問題としても「格差」の克服が議論されてきている。しかし、そこでは「地方の格差」に問題が切り縮められている。現実には「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」などという呼称が生まれる状況である。そして、日本の貧困率は世界でもアメリカに次いで第二位。「一億総中流」は遠い過去の「想い出」になった。
 問題の根本は、人々が生きる糧を得る労働の世界において、格差が拡大し、深刻な貧困を生んでいるところにある。普通に働いても「まともに飯が食えない」という、あたかも初期資本主義に戻ったかのようなことが起きている。市場原理主義、規制緩和という「政策」によってもたらされたこれらの事態をくい止め、押し返すには、迂遠に見えても、原点にもどることが必要だ。それは、熊沢誠さんのことばによれば、働く者が「自分の状況について発言権を確保する営み」であり、労働組合運動の復権に他ならない。そして、か細い光ながら、その端緒は確実に見えている。
 本特集は、働く人々の中の格差問題を現場から報告する一方、原則的な運動の道を論じている。そして、フランスや韓国、アメリカ等の世界の現状にも触れるものである。解決策として通常語られるのは「セーフティーネット」の充実だが、労働の現場で状況を打破する政策的対処が議論される機会は少ない。本特集では、そのレベルの問題として、労働者派遣制度など、賃金を払う者と現場の労務を指揮する者の分離を認める「間接雇用」を批判し、大胆な「ワーキングシェアー」を提起している。「働く」ことが素直に「普通に暮らす」ことに結びつく、そんな社会を実現することをめざしたい。
 小泉−安倍とは異なる“もう一つの日本、もう一つの社会はありうる”との視座から、その思想と政策の対抗論を構築することは本誌に課せられた重要な使命であると強く思う。

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