外国人・民族的マイノリティ人権白書
外国人人権法連絡会:編
発行:明石書店
この版元の本一覧
四六判 296ページ 並製
定価:2,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2625-2 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年09月
書店発売日:2007年09月25日
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紹介

わが国を訪れる外国人が急増する一方、外国人への差別や偏見に基づくトラブルは跡を絶たない。問われているのは、われわれの未熟な人権意識である。本書は、さまざまな事例をもとに、わが国で暮らす民族的マイノリティに対する人権侵害を明らかにする。

目次

はじめに(丹羽雅雄)
第1章 清算されない植民地主義
 1 ウトロ立ち退き問題(斎藤正樹)
 2 無年金の高齢者と障害者(田中 宏)
 3 拉致・ミサイル・核実験報道後の「在日叩き」(江頭節子)
 4 「嫌韓流」と在日コリアン(板垣竜太)
 5 戦後補償裁判リスト(新谷ちか子)
第2章 加速する排外主義・人種主義
 1 「外国人」に対する職務質問と治安政策(高谷 幸)※高は口がはしご
 2 アフリカ系アメリカ人に対する入店拒否(普門大輔)
 3 大阪入居差別訴訟(康由美)
 4 仙台バス乗車拒否事件(北見淑之)
 5 ゼノフォビア・東京オリンピック(佐藤信行)
第3章 「労働力導入」と「選別・分断・管理」
 1 転換期を迎えた外国人労働者受け入れ政策(鈴木江理子)
 2 「テロ対策」と人権(旗手 明)
 3 フィリピンからの労働者受け入れ(藤本伸樹)
 4 外国人研修・技能実習制度(旗手 明)
 5 難民認定制度とその実態(関 聡介)
 6 「扉の向こう側の真実」——入管収容の現状(佐藤直子)
 7 在留特別許可(児玉晃一)
第4章 移住女性への暴力
 1 人身取引(吉田容子)
 2 移住女性への家庭内暴力(DV)(大下富佐江)
 3 DV被害女性の逮捕事件(東海林路得子)
第5章 子どもたちの「教育への権利」
 1 「愛国心通信表」と教育基本法(李博盛)
 2 不就学の子どもたち(小島祥美)
 3 民族学級の子どもたち(金光敏)
 4 枝川朝鮮学校取り壊し裁判(金舜植)
 5 外国人学校・民族学校の制度的保障(師岡康子)
第6章 「国民国家」という虚構
 1 出生による国籍取得(張學錬)
 2 外国人の司法参画(吉井正明)
 3 外国籍住民の地方参政権(佐藤信行)
 4 中国残留日本人(草加道常)
 5 在日インドシナ難民(金宣吉)
第7章 人権と反差別の法制度に向けて
 1 人権擁護法案と国内人権機関(山崎公士)
 2 国連特別報告者による日本報告書と日本政府(小笠原純恵)
 3 外国人人権基本法制への提言(渡辺英俊)
あとがき

資料 外国人・民族的マイノリティの権利に関する市民法案・市民提言
〈資料1〉外国人住民基本法(案)
 (外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会)
〈資料2〉多民族・多文化の共生する社会の構築と外国人・民族的少数者の人権基本法の制定を求める宣言
 (日本弁護士連合会)
〈資料3〉外国人・民族的少数者の人権基本法要綱試案
 (日弁連第47回人権擁護大会第1分科会実行委員会)
〈資料4〉人種差別撤廃条例要綱試案
 (東京弁護士会外国人の権利に関する委員会差別禁止法制検討プロジェクトチーム)
〈資料5〉人種差別撤廃法要綱
 (自由人権協会)
〈資料6〉外国籍住民との共生に向けて——NGOからの政策提言
 (移住労働者と連帯する全国ネットワーク)
〈資料7〉日本における人権の法制度に関する提言
 (人権の法制度を提言する市民会議)

前書きなど

はじめに
 2005年12月8日、私たちは、強まる差別・排外主義、外国人嫌悪(ゼノフォビア)、治安監視社会化に対峙し、「外国人・民族的マイノリティ(少数者)人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定、「政府から独立した国内人権機関」の設立を基礎的条件とする多民族・多文化共生社会の実現に向けて、「外国人人権法連絡会」を結成しました。
 その際、この「連絡会」の主な活動として、日本社会、国および自治体に対して、その法制定と条例制定の必要性を訴え、市民法案・市民条例案を提案していくこと、年1回、『外国人・民族的マイノリティに関する人権白書』を発行することなど、8項目を掲げました。
 そして2006年、日々現実に生起している人権課題を24項目にまとめ、『日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書 2006年度版』として発刊しました。
 今回の『外国人・民族的マイノリティ人権白書』は、主に2006年1月から12月までの1年間に生起した人権課題を対象としつつ、より多様で深刻化する人権課題を加えて掲載しました。

 この間、21世紀日本社会が、少子・高齢化による人口減少化時代を迎えることから、政府や経済界を中心に、「外国人労働者の受け入れ」に関する論議や政策提言が多数出されています。しかし、これらの論議や提言内容の多くは、「労働力」の導入という狭隘な国益や経済利益からの観点から主張されており、移住労働者・移住者とその家族の生活者からの視点や、反差別・人権保障と共生に関する政策提言はほとんど存在していません。そして、何より、現在日本で働き生活している200万人以上に及ぶ外国籍の人びとや、民族的マイノリティの人びとに関する人権法制度に向けた提言は皆無に近い状態です。
 他方、この間、日本政府は、憲法改定、教育基本法の改定の動きと連動して、諸施策の内容に国権主義的な要素を導入することを強めています。特に、外国籍の人びとに対しては、「テロの未然防止」「外国人犯罪の抑止」「不法滞在者の半減」をキーワードとして、さらなる治安監視と管理政策を強化しようとしています。
 2006年5月17日に成立した改定入管法は、特別永住者や16歳未満の者などを除くすべての外国籍者に対して、上陸審査時に指紋や顔写真などの個人識別情報の提供を義務づけ、長期にわたってこの個人情報を管理し、治安警察目的などに利用しようとするものです。
 日本で生活する外国籍の人びとやマイノリティの人びとに対する人権状況は、日本社会を映し出す鏡であるといわれます。この間の住基ネットを含む国家による一元的情報管理と、治安警察を中心とする住民監視・管理政策は、近い将来、日本社会が住民相互に密告・監視し合う「超監視国家社会」の到来を予感させるに十分です。
 このような日本社会の状況であればこそ、私たちは、強まる「逆風」に抗して、すべての人びとに人権が保障され、「共に生きる社会」を実現するために、監視・管理法制から多民族・多文化の共生社会の実現に向けた「人権法制」への転換を図ることが緊要の課題であると思います。

 2006年7月24日、韓国においては、国家人権委員会が「差別禁止法」案を策定し、この法案をもって、国務総理に立法勧告を行なっています。12月13日には、国連において、「障害者の権利条約」が総会で採択されました。また、10月、国連人権理事会において、ディエン国連特別報告者の「人種差別等に関する日本公式訪問報告書」が討議されました。
 日本国内においても、2006年10月11日、千葉県議会において、「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」が全会一致で可決・成立しました。また、05年10月に鳥取県議会で可決・成立した「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」は、その後、同条例の施行が停止されたものの、現在、「速やかに実効性ある条例を施行」するために、検討委員会の下で条例見直し作業が続いています。
 さらに、2006年3月30日に結成された「人権の法制度を提言する市民会議」は、被差別当事者やマイノリティの視点から、同年12月5日、人権救済制度に関する当面の課題、人権の法制度に関する基本的課題について、11項目に及ぶ提言を行なっています。
 このように、現代日本社会における新自由主義政策がもたらす格差社会化や、「戦争ができる国家」化の動き、強まる人種差別や監視社会化の時代状況に抗して、被差別当事者やマイノリティの人びと、そして民衆による人権の法制度を確立するための営みは、国際的にも国内的にも着実に前進しています。
 より多くの皆さんが、人権運動の現場や人権に関する研究の場の最前線で活動している執筆者によって作成された『人権白書 2007年度版』を手に取っていただき、人権法制度の確立に向けてさらに前進するために、大いに活用していただくことを希望します。

丹羽雅雄(にわ・まさお/弁護士)

関連リンク

外国人人権法連絡会

著者プロフィール

外国人人権法連絡会(ガイコクジンジンケンホウレンラクカイ)

「外国人人権法連絡会」とは
A 目的と名称
 多民族・多文化共生社会の実現に向けて、「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定、「国内人権機関」の実現をめざすネットワークとして2005年12月8日に結成された。
○名  称:「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定を求める連絡会
○正式略称:外国人人権法連絡会

B 主な活動
(1)日本社会、国および自治体に対して、その法制定と条例制定の必要性を訴え、市民法案・市民条例案を提案していく。
(2)市民団体・労組・教会関係団体など人権NGOと、弁護士・研究者・市民の広範なネットワークを構築する。
(3)日本人と、在日コリアンなど旧植民地出身者および移住労働者・移住者・難民との「共同の取り組み」を推進する。
(4)これまで個別に提起されてきた法制定運動や、NGO・研究者・弁護士による提言を尊重し合い、国会ロビイングや国際人権活動において、情報の交換と蓄積を行ない、それぞれの取り組みの連携を図る。
(5)国会議員や政党、経済団体、労働団体、自治体関係者、在日民族団体・外国人団体との意見交換の場を積極的に設ける。
(6)各地域において人権NGO・国際交流団体・民族団体・労組や、弁護士、研究者、自治体職員、地方議会議員による学習会・協議会・集会を積み重ねることによって、地方自治体において、「人権基本条例」「差別撤廃条例」が実現していくよう共同で取り組む。
(7)年1回、『外国人・民族的少数者に関する人権白書』を発行する。
(8)ホームページを開設し、外国人人権法連絡会が主催・共催する集会資料や声明などを掲示していく。

C 組織と運営
○上記A・Bに賛同する団体・個人の加盟による連絡会とする。
○年に1回、総会を開催し、共同代表と運営委員を選出する。
◆共同代表……田中 宏(龍谷大学教員)/丹羽雅雄(弁護士)/渡辺英俊(移住労働者と連帯する全国ネットワーク)
◆運営委員……江頭節子(弁護士)/郭辰雄(コリアNGOセンター)/金 秀 一(かながわみんとうれん)/金 哲 敏(弁護士)/佐藤信行(外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会・RAIK)/鈴木 健(移住労働者と連帯する全国ネットワーク)/鈴木雅子(弁護士)/関 聡介(弁護士)/張 学 錬(弁護士)/鳥井一平(生活と権利のための外国人総行動実行委員会)/難波 満(弁護士)/旗手 明(自由人権協会外国人の権利小委員会)/リリアン・テルミ・ハタノ(甲南女子大学教員)/原 啓一郎(弁護士)/坂東 希(反差別国際運動日本委員会)/藤本美枝(自由人権協会外国人の権利小委員会)/師岡康子(弁護士)/矢野まなみ(移住労働者と連帯する全国ネットワーク)/渡邊彰悟(弁護士)
○2カ月に1回、共同代表と運営委員の合同会議を開いて「共同の取り組み」を企画・準備する。
○運営委員の中に、メーリングリスト管理、名簿管理と会計の責任者を置く。
○メーリングリストなどによって構成メンバー間の意見交換と情報交換を図る。
○会計年度を1月〜12月とし、年会費を団体:一口1万円、個人:一口5000円とする。
 ◆郵便振替口座 口座番号 00100−5−335113
         口座名称 外国人人権法連絡会
○事務・通信費・事業費については年会費から、集会などの経費については、そのつど賛同金を募る。
○対外的な共同連絡先を、次の4カ所に置く。
〒160-0023 東京都新宿区西新宿7—5—3 斎藤ビル4階
      みどり共同法律事務所
      電話03-5925-2831(張/師岡)
〒112-0002 東京都文京区小石川2—17—41 TCC2—203 移住連
      電話03-5802-6033(高谷)※高は口がはしご
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2—3—18−52 RAIK・外キ協
      電話03-3203-7575(佐藤)
〒537-0025 大阪市東成区中道3—14—17 さんくすホール2F
      コリアNGOセンター
      電話06-6978-7676(郭)
○ホームページ http://www.g−jinkenho.net/

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