実態と撤廃に向けた取り組み女児に対する差別と暴力
房野 桂:編著, 田中 正子:編著
発行:明石書店
この版元の本一覧
四六判 164ページ 上製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2609-2 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年08月
書店発売日:2007年08月13日
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紹介

JAWW(日本女性監視機構)は、2007年「婦人の地位委員会」国連会議における日本政府の提言を優先テーマ『女児に対するあらゆる形態の差別と暴力の撤廃』のもとに日本の女児の現況を調べ報告書を作成した。本書はその内容と会議で決議された合意結論を伝える。

目次

はじめに
第1部 女児に対するあらゆる形態の差別と暴力の撤廃報告書
 1 女児に関する国内行動計画がない
 2 女児に対する否定的な文化的態度および慣行の撤廃
 3 女児に対するあらゆる形態の暴力の根絶
  1 性暴力
  2 あらゆる形態の家庭内暴力
  3 児童ポルノ・児童買春等を含む性的搾取(人身取引を含む)
 〈状況〉
  1)児童買春
  2)出会い系サイト
  3)児童買春事件
  4)児童ポルノ
  5)人身取引
 〈政策的問題点〉
  1)児童買春・児童ポルノ禁止について
  2)被害を受けた女児のケアと予防対策について
  3)人身取引の予防、処罰、ケア
 4 教 育
  1 科学技術と女児
  2 スポーツ・体育と女児
 5 女児の保健ニーズ
  1 性教育
  2 思春期保健対策
 6 まとめ
第2部 第51回国連婦人の地位委員会
 1 会議の概要
 2 第51回国連婦人の地位委員会の内容
  1 開会ステートメント
  2 ラウンドテーブルとパネル
  3 一般討論
  4 国際女性の日祝賀行事
 3 第51回国連婦人の地位委員会で採択された決議と合意結論
  1 「女性・女児・HIV/エイズ」に関する決議
  2 パレスチナ女性の状況と支援
  3 女性性器切除撤廃
  4 強制・早期結婚
  5 出生前性の選別および乳女児殺しの有害な慣行の撤廃
  6 「女児に対するあらゆる形態の差別と暴力の撤廃」に関する合意結論
あとがき

前書きなど

はじめに
 「女児」とは、「児童の権利条約」でいう「児童」の定義に当てはまる、18歳未満の女の児童のことです。ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのバイブルとも言われる「北京行動綱領」が、1995年の第4回世界女性会議で採択され、世界が一体となって取り組むべき12の重大問題領域が決められました。その1つが‘the girl-child’でした。当初、当時の総理府では、この‘the girl-child’を「少女」と訳していました。国連の文書では、この「女の児童」のことを、‘the girl-child’と述べている箇所と、ただ単に‘girls’ と述べている箇所があり、「少女」でも構わない場合もありますが、出生前に超音波で胎児の性別を調べ、女だとわかると中絶してしまう、また、女の乳幼児を故意に放置して死亡させる「乳女児殺し」などが行われている国があることから、「少女」よりはもっと広い意味でとらえなければならないという声が起こりました。最近では政府の刊行物は、‘the girl-child’のことを「女児」と訳しています。
 一般の人々にわかりやすく、本書のタイトルを「女の子」とするという案もありましたが、女性の人権やジェンダー平等を論じる時に普通に使われている言葉は「女児」ですし、政府の刊行物でも、新聞紙上でも「女の子」という言葉は使われていません。「女の子」という言葉が持つ侮蔑的なニュアンスを嫌う人々もいます。「女児」いう文言を定着させるためにも、本書のタイトルにあえて「女児」を用いました。
 国連婦人の地位委員会では、2007年の会議の優先テーマを“Elimination of All Forms of Discrimination and Violence Against the Girl-Child(女児に対するあらゆる形態の差別と暴力の撤廃)”と定め、2月26日から3月9日までの2週間、45の委員国とオブザーバー国が集まって、世界中で差別され、暴力を受けている女児の問題を議論し、4つの決議と1つの合意結論を採択しました。
 日本は、国連婦人の地位委員会の委員国で、毎年2月から3月にかけて2週間開かれるこの国連会議に、外務省、内閣府、文部科学省、厚生労働省などより代表団を送ります。昨年と今年は、NGOからも1名が政府代表団に参加しました。
 JAWW(日本女性監視機構)では、日本政府が会議で取るべきスタンスを提言するために、日本の女児が今、どういう状況に置かれているかを調べ、国連婦人の地位委員会の2007年の優先テーマと同じ、「女児に対するあらゆる形態の差別と暴力の撤廃」という題の報告書を作成しました。
 JAWWとは、以下のことを目的とする団体です。(1)「北京行動綱領」と「女性2000年:21世紀のジェンダー平等・開発・平和」と題する第23回国連特別総会成果文書の実施、(2)5年ごとに「北京行動綱領」の12の重大問題領域に新たな領域を加えた20ほどの領域の日本における実施状況を調査する「日本NGOレポート」を作成、(3)国連婦人の地位委員会に代表を派遣、(4)重要国連会議に関する報告会・勉強会の開催、(5)APWW(アジア太平洋女性監視機構)との協力、(6)若い女性の活動奨励。
 本書では、その報告書の内容と、実際に国連で「女児」の問題がどのように議論されたかをお伝えしたいと思います。

著者プロフィール

房野 桂(フサノ ケイ)

津田塾大学学芸学部英文科卒、教育学修士(テンプル大学)
かながわ女性会議代表、国際大学女性連盟(IFUW)委員会委員を経て、現在、国際婦人年連絡会国際部長、JAWW副代表、社団法人大学婦人協会理事
主著書:『性と生殖に関する権利——リプロダクティヴ・ライツの推進』(訳書、明石書店、1997年)、『リプロダクティヴ・ライツ——世界の法と政策』(訳書、明石書店、2001年)

田中 正子(タナカ マサコ)

お茶の水女子大学理学部化学科卒、工学博士(北海道大学)
元東京工業大学助教授
かながわ女性会議代表、国際大学女性連盟(IFUW)委員会委員を経て、現在、社団法人大学婦人協会会長、JAWW事務局長
主著書:『女性研究者の可能性を探る』(JAICOWS編、分担執筆、ドメス出版、1996年)

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