発行:明石書店
この版元の本一覧
B5変 264ページ 並製
定価:1,333円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2591-0
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年07月
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紹介
「慰安婦」問題の歴史と現在を描き06年韓国で反響を呼んだルポ漫画。1巻ではオランダ,韓国の被害女性が沈黙を破り告発に立ち上がっていく過程,日本軍‘慰安所’制度の歴史,今を生きるハルモニたちの日常が,親しみやすい絵と文で描かれる。
前書きなど
『「慰安婦」レポート』を出版して
題名に示したように、このまんがは日本軍‘慰安婦’に関する物語である。第2次世界大戦当時、日本軍は自らを‘慰安’するために、アジアと占領地の女性たちを拉致(らち)し、性奴隷にした。彼らはこの組織的強姦制度の獲物を‘慰安婦’と呼んだ。戦争は終わったが、‘慰安婦’の真相は明らかにせず、50余年間も闇に葬り続けることに成功した。日本社会がそれを隠そうとしたのは言うまでもなく、戦後の新たな冷戦体制のもとで、国際政治は日本の戦争犯罪を可能な限り覆い隠す方向で進められた。その上、被害当事国たち、特に解放された南北の朝鮮社会もまたそのことを明らかにしようとはしなかった。結局、高齢になった被害当事者たちが強いられた羞恥心(しゅうちしん)を振り払いみずから立ち上がってようやく、‘慰安婦’という名前は歴史の表面に姿を現すことができた。
羞恥心と自己嫌悪の中で、みずからのプライドをもって被害事実を証言したこの女性たちの姿は、それだけで十分感動的だった。彼女たちの勇敢な行動によって、もはや日本軍‘慰安婦’ということばは、少なくとも韓国で1つの常識として通用するほど広く知られるようになった。
しかし、‘常識’は常に単純化の危険をともなう。また、あまりにも当然と思われて、それ以上の認識をはばみもする。日本軍‘慰安婦’の場合も同様である。ハルモニたちを訪問して、関連資料を山ほど持ち帰る日本人たちにくらべて、韓国の学生たちは、ひたすら悲しみ憤るだけで、資料を求めることが少ないという関係者の話が胸を刺す。事実、私たちは日本軍‘慰安婦’問題の実際の内容とともに、それがもつ様々な現在的意味について、皮相的で一面的に受け止めてきた傾向が強い。
たとえば、ほとんどの韓国人は、日本軍が‘慰安婦’制度をつくることを可能にした社会歴史的背景の中に、当時横行した女性の人身売買と売春市場の存在があり、それらが現在の韓国社会でも依然として健在であるという事実をしっかり受け止めようとしない。解放後50余年間、真実を隠し、無視し続けてきた歴史的脈絡についても、また、その中の私たちの問題についてもまともに考えようとしない。単に、植民地時代にわが民族に強いられた苛酷な苦痛に対する悲しみと怒りだけが、日本軍‘慰安婦’問題に関する‘常識’のすべてだといっても過言ではない。そして、そこに小さな突破口をあけたいという思いがこの本を作らせたのである。私は‘日本軍がしたことがどれだけ残酷なことだったのか’をもう一度告発することに専念するつもりはない。そのことに関するいかなる叙述も、被害女性たちの証言に勝るものはない。それよりも、あのようなことが可能だった状況を明らかにし、それが今日の私たちにどのような問いを投げかけているのかを追究しようと思う。
そうした考えのもとで、本書は時間軸に沿って次のような問題を取り上げた。
まず1巻では、日本軍‘慰安所’の歴史を扱う。それがどのような背景のもとで、どのような過程を経てつくられたのか、被害者の多数を占める朝鮮人女性たちが日本軍の‘慰安所’にどのように拉致・連行され、性奴隷生活を強いられるに至ったのか、そして戦争が終わってどのように捨てられたのかについて叙述する。
2巻はその後の終戦処理と、東京戦犯裁判で‘慰安婦’問題がどのように処理されたのか、しっかり議論されなかったとすればそれはどうしてなのか、そして、解放後の日韓関係史をたどりながら、賠償や請求権問題を踏まえ、それが朴正熙(パクチョンヒ)政権の日韓会談にどのように間違った形で引き継がれたのかについて扱う。また国内にも目を向け、私たち[大韓民国]には問題がないのかをみるつもりである。すなわち、国家が制度的に女性の性を支配し利用したという点で、日本の‘慰安所’運営を連想させる朴正熙政権の‘基地村’政策と、ベトナムでの韓国軍人たちによる戦時強姦について扱う。これを通して、解放後にも被害者たちが息をひそめて生きるしかなかった私たちの社会の問題点を振り返るつもりである。
最後に3巻では、91年に金学順(キムハクスン)ハルモニの証言から本格化した日本軍‘慰安婦’関連運動の歴史を扱う。韓国で始まり、他国の被害者たちと連帯の話を広げ、国際女性運動の中心課題となって、2000年の日本軍性奴隷戦犯女性国際法廷を実現させるに至った闘いと、今も続く戦時強姦の苦痛について紹介する予定である。
解放されてすでに60年が過ぎた今年、韓国社会は新たに、私たち自身の過去の出来事をめぐってもめている。日本軍‘慰安婦’問題も同じ脈絡から反省的に歴史の読み替えを議論すべき時である。本書がそのきっかけとなれば幸いである。
2006年3月25日 鄭慶娥(チョンギョンア)
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