発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 168ページ 並製
定価:1,600円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2476-0 C0082
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年01月
書店発売日:2007年01月09日
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紹介
英文法や英語構文の理解を中心とする日本の英語教育では,生きた英語は身に付かない。あくまでも“道具”である英語に振り回されず,自分の志向・ライフスタイル・ニーズに合った英語を学んで“英語病”を克服し,そうして身に付けた英語で素敵な海外時間を過ごそう。
目次
はしがき
第1章 海外へ出発
1 その前に、本当に学校で英語を学んでいたのでしょうか
2 マナーについて
3 リスク回避のためには
4 トラベルとトラブル
5 スーツケースが…ない!!
6 イギリスよ、こんにちは
第2章 他人様の家に泊まる勇気と楽しみ
1 イギリスの朝食と紅茶
2 イギリス家庭の一場面
3 ホストファミリーさまざま
4 食事、食べ切れない時は?
5 ついに覗いたホストファミリーの冷蔵庫
第3章 国際理解への道
1 国際理解はPs & Qsから
2 ホストファミリーを選ぶ時には
3 パックランチ(お弁当)の中身は?
4 バーベキュー(BBQ) その1
5 バーべキュー その2
6 チップ 基本編
7 チップ 応用編
第4章 語学を鍛えたいなら、まず暮らしを味わおう
1 苦手な英語も数打ちゃ当たる
2 ショッピングから味覚まで
3 小売り店に行ってみよう!
4 レンタカーで田舎を味わう
5 医者にかかるのも楽ではない
第5章 ツールとしての英語
1 語学と旅行
2 共通語としての英語
3 旅は道連れ
4 馬車(トンガ)タクシーの御者からビジネス交渉術を学ぶ
5 便利な言葉、チャロー
6 ビジネス交渉とカラ約束
7 語学研修というビジネス
前書きなど
はしがき
英語の上手な人に、「どうしてそんなにうまいのですか。」と尋ねると、「単語を覚えるごとにそのページを破って食べた。」とか、「中学時代からESSに入って、色んな大会に入賞した。」、「英語が3度のメシより好きだった。」、「小学校時代の数年を、両親と一緒にロンドンで暮らした。」などという返事をもらうことがよくあります。するとこちらは、失望のどん底に突き落とされます。辞書のページが口に合わない人や、クラブといえば草野球チームしか知らない人、どうしても3度の食事はきちんと取りたい人、小学校時代、いや学生時代を通じて旅行と言えば修学旅行に臨海・林間学校、最近では大学のゼミ旅行しか行かなかった(行けなかった)人は、一体どうすれば英語がうまくなるのでしょうか。“I am Tom.”を、「ボクは( I )トム( Tom )です( am )。」、と訳すことは簡単です。日本語と英語の各々の語がそれなりに対応しているので、そんなに苦労は要りません。“I like apples.”や“Do you like apples ? ”もなんとか、理解をしていたような気がします。英語を中学校で習い始めてから、ある時、ある部分からさっぱりついていけなくなります。
ある時英語の先生が、「be動詞」という言葉を何度も口にされました。それで隣の席の同級生に、「be動詞って何?」と小声で聞きました。「ボクも知らない、分からない。」、と彼は答えました。それから数ヶ月後、“Would you please …? ”の文が何度か板書されました。テキストの後ろにある索引で“would”を調べてみました。「wouldはwillの過去形」と、記されていました。これでは分からないので、“will”のところを見ました。「willは未来を表す助動詞」と、説明されていました。それで、「未来を表す助動詞」の“will”を過去形にしたものが“would”であることは理解できましたが、頭の中を無数の星と鳥が飛び回っていたことをいまだに記憶しています。
高校に進学すると、さらに英語教師は、情け容赦のかけらも無く「完全自動詞」、「完全他動詞」や、「仮定法過去完了」さらに「独立分詞構文」などという漢語を板書して追いうちをかけてきます。英語を勉強しているのに、ノートを見ると漢字ばかりで、「やっぱり語学の才能は無いのか。英語は自分には無理なのか。英語をしゃべっている外人のすべては天才に違いない。」と諦めるしか手だてはありません。英語学習の思い出はストレスのシャワーを全身に浴びるようなものでした。幸い、筆者はその頃、ロックバンドにストレスのはけ口を見い出していました。そのおかげで、胃かいようにもならず、円形脱毛症に悩まされることなく青春を過ごすことができました。ミック・ジャガー、ジョン・レノン、それにポール・マッカートニーには今でも手を合わせて感謝しているくらいです。
日本語と英語の間には、構造的な関連性はほとんどありません。語順が異なることも厄介です。それでも第二次世界大戦後、日本国民はほぼ強制的に、英語を学習することを義務付けられてきました。社会人になっても社内教育や資格取得を奨励され、半ば強制され、余暇を削ってでも学習するサラリーマンの姿を、あちこちで見かけます。中学校や学習塾に始まり、一生涯に一体どれだけ我々は、英語を学習しているのでしょうか。あるいはもうすでに何百時間を、英語学習にエネルギーを注いできたのでしょうか。金銭的コストも無視できません。また、どれだけ学習すればもうよろしい、とお墨付きがいただけるのでしょうか。この国の人達は皆仕事中毒(ワーカホリック)と同じように、英語学習に取りつかれているようにさえ見えます。そして異口同音に、「英語が下手です。」、「英語がうまくならない。」、「英語を上手に話したい。」、などという言葉をよく耳にします。極め付けは、「娘がアメリカ人と結婚してくれたら幸せだ。英語を話せる孫を自慢できるから。」などと考える人に出会うことすら、この国ではままあるのです。これはもう、皆さん立派な病気です。
高校2年生頃になれば、自分の進路が理系か文系は、いくらオクテの方でも判明します。なんとなく化学が好きとか、地理が好きとか、といった具合です。気が付けば歴史に関する本ばかり読んでいた、勉強は嫌いだけれど、ミュージカルばかり見ていたとか、ハード・ロック系ばかり聴いていたのなら、その分野に関する英語や生活環境を求めるほうが、ずっとストレスは小さくなるはずです。ウキウキと、語学を勉強できるはずです。このような自分の興味、なんとなく好きな分野に、自然にフィットさせた読み物や、視聴覚機器を取り入れた教材で英語教育を受けた人はとても幸せな方でしょう。
反対に多くの日本国民は、英語教育との関わりにおいて、とても不幸だったかもしれません。「あれはリンゴですか、それともオレンジですか。」、「それはリンゴです。」の英文と日本語訳を何度もオウム返しで暗唱させられた人はたくさんいるはずです。リンゴを見れば、どう考えてもオレンジではないことぐらい見分けがつくはずなのに。「テーブルの上にカップかグラスはありますか。」と「いいえ、カップもグラスもありません。」の文もそうです。見ればあるのかないのか、それくらいの判断がつくはずです。このような英語の授業を、筆者も中学生の頃に経験しました。で、現在の筆者の到達した結論は、「海外の食べ物や文化(海外暮らし)をとりあえず楽しもう、楽しまなくては。」、ということです。ただし日本語と日本文化を決して疎かにしないという条件付きで。
(中略)
苦しみながらの語学学習は、もうそろそろやめにしませんか。ましてや、社会人になってからも英語学習に相当な時間とお金を支払うのもやめませんか。TOEFLやTOEICの成績が悪くても、立派な仕事をしておられる人はあらゆる所におられます。古典文学を読まなくてもビジネス交渉はできます。海外でのホームステイに必要な英語は、その時が来たら、1〜2週間もあれば準備ができます。出かける前に中学生レベルの英語を復習するだけでも、十分効果はあります。
日本語を一言も話せなかったインドネシアから来た女子高校生が、ある家庭にお世話になりました。そして、日本の高校に通い始めました。帰宅するなり、食事、入浴、睡眠以外は、テレビの前にどっかりと座ったままです。3ヶ月くらい経つと、日本語をペラペラと話し始めたそうです。これは、インドネシアからの女子学生を預かられたご家庭から、直接伺った話です。
ですから、ストレスがたまるようなハードな語学学習は、やはりやめにしませんか。好きなジャンルの書物や雑誌をながめたり、読んだり、なんとなく気に入った領域の学問にふと心が引かれることもあります。その関連知識を吸収するために、必要なコンテンツの詰まった英語に巡り会った時が運命の時です。そのような内容がぎっしり詰まった英語を、じっくり読めばいいのではないでしょうか。そのようなものがいつかきっと貴方の前に現れると思います。現れなかったら、貴方の生活に英語という道具は必要なかったのです。現れないうちは、その道具は必要ありません。
この国の人々は、「英語病」を患っているのではないでしょうか。英語ができなくても海外旅行はできます。英語を話せなくても、海外でおいしいものを食べることはいくらでも可能です。貴方のライフスタイルに合わせて、英語という道具をお使いください。悪い英語教育に振り回されないようにしましょう。今まで惜しげもなく、英語学習に時間を注いできました。無駄にした時間は戻りませんが、これからは英語学習の後遺症に引きずられずに、海外時間を大いに楽しもうではありませんか。これ以上英語病を悪化させないために。
2006年12月
北摂の山並みを前にして
加藤 靖弘
著者プロフィール
加藤 靖弘(カトウ ヤスヒロ)
大阪府高槻市在住。
文学修士(大谷大学)、商学修士(広島修道大学)。
《主著》
『貿易商務の手引〈第2版〉』(共著)、酒井書店、1998年。『風呂で覚える旅行英会話』、教学社、1997年。『貿易商務の手引〈初版〉』(共著)、酒井書店、1994年。『世界の先住民族』(共訳)明石書店、1992年。『世界の少数民族を知る事典』(共訳)明石書店、1990年。
《所属学会》
国際ビジネスコミュニケーション学会、国際商取引学会、国際経済法学会、日本貿易学会、日本民俗経済学会、日本比較文化学会。
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